労働者とその家族がいきいきワクワクと暮らしていける社会を目指して ~オフィスえいむ人財労務サポート 小林裕幸さん~

Last Updated on 更新日2020.1.16 by 44@jyuku

IT業界でのかつての自身の苦い経験を活かし、独自のスタイルで経営者のみならず従業員にも親身に寄り添う二人三脚型コンサルタントとして活動する「オフィスえいむ人財労務サポート」特定社会保険労務士の小林裕幸(こばやしひろゆき)さん。会社勤務時代の経験や社会保険労務士試験受験時のエピソード、開業当初の苦労や志師塾での学び、そして今後の目標や実現したい夢についてお話しを伺いました。

コンサルティングを行っています

「今は、コンサルティングだけをやっています」。場所は、東京都新宿区にあるシェアオフィス「知恵の場Office」の会議室。小林さんは、最初の質問「現在の仕事」に対して笑顔で答えてくれました。物腰が柔らかく優しそうだな、というのが第一印象です。
社会保険労務士の仕事は、大きく3つに分類することができます。1つ目は、申請書類の作成・提出手続き代行を行う「1号業務」。2つ目は、帳簿書類の作成を行う「2号業務」。3つ目は、コンサルティングを行う「3号業務」です。1号業務と2号業務が社会保険労務士の独占業務で、社会保険労務士と聞くとこちらの書類作成や手続き代行を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし、小林さんはコンサルティングに専念し、書類作成や手続きはお客様に内製化していただいていると言います。キャリアコンサルタントの資格も持ち、色々な相談を受けてきた小林さんは、このやり方が効果的・効率的という結論に至りました。

社名「えいむ」は志を大事にしようというあらわれなんです

事務所名も特徴的です。特に目を引く「えいむ」という言葉。これは英語の「aim」を平仮名にしたもので、「志す」の意味を持ちます。柔らかい印象を持たせたくて平仮名にしました。
小林さんの願いは、ご自身のホームぺージにも掲載している「企業の発展!労働者とその家族がいきいきワクワクと暮らしていける社会」の実現です。これは、小林さんが過去に勤めていたIT企業での経験から考えたことです。

IT業界で人が辞めない組織づくり(https://aim-roumu.net/

IT業界は問題が多いんです

小林さんが独立・開業する前に長く勤めていたIT業界は、過重労働問題が多い業界です。ITの現場では、請負契約のフリーランスの人や派遣契約の人など、様々な労務形態の人達が一緒のプロジェクトで働いています。そのため労務管理が複雑で難しく、過重労働が発生しやすくなります。小林さん自身も、営業、顧客サービス、品質管理などに携わり、過重労働を体験してきました。

パワハラは苦い思い出です

小林さんが勤めていた会社では、給与計算や人事管理のシステムを扱っていました。これがきっかけで、もともとコンサルタントの仕事に憧れを持っていた小林さんは社会保険労務士の資格取得を目指すことになります。
しかし、会社勤務時代は勉強時間を確保できませんでした。上司と相談し、7、8月の試験直前期の勉強時間を確保するために、5、6月の残業時間を増やして仕事をこなしたにもかかわらず、結局約束は反故にされました。平日は残業を下命され、試験前日の休日までも出勤となってしまったのです。「話がちがうじゃないか!」と怒りがおさまりませんでした。このようなパワハラが続き、結局、資格を取得したのは退職してからとなりました。
小林さんは、「会社勤務時代のことは、あまり思い出したくありません」と素直に言います。パワハラを受けていた経験は嫌な思い出ですし、そして今思うと「自分でパワハラをしてしまったこともあった」ということに気がついて、もっと嫌な思い出になっているからです。
しかし「この経験は、忘れてはいけないものです」、と小林さんは言います。「この苦い経験があるからこそ、今、お客様に対して真剣かつ有効なアドバイスができるのだと思います」。ここまでにこやかに話していた小林さんですが、少し真剣な表情に変わりました。過去の懐かしい思い出なのではなく、今なお心に深く残っている経験なのでしょう。

開業当初は何でもやってました

退職後、社会保険労務士として独立した小林さん。開業当初はお客様がいないという焦りもあり、「来るもの拒まず」のスタンスで、コンサルティング以外の仕事もすべて引き受けていました。しかし、仕事の単価は安く、依頼件数も伸びません。もがき苦しんだ時期が続きました。

志師塾でお客様視点の重要性を学びました

小林さんは、「自分の本当にやりたかったことはなんだろう?」と改めて考え、「やはりコンサルティングをやりたい」ということに行き着きました。
しかし、お客様を獲得するための有効な方法が分かりません。飛び込み営業も考えましたが、他の社会保険労務士の方に話しを聞いてみると、どうやら顧客獲得は厳しい状況のようです。また、WEBでの集客を試みようと志師塾のプレセミナー(単発セミナー)に参加して自分でホームページを制作してもみました。しかし、お客様は集まりませんでした。
そこで、なんとかこの状況を打破するため、志師塾への入塾を決めました。決して安くはない投資でしたが、「なんとかしたい」と、必死の思いでした。
結論を言うと、志師塾での学びは大いに役立ちました。特に「お客様の視点を持つ」というアドバイスは、小林さんにとって大きな転換点となりました。
小林さんは志師塾に入塾する前からホームページを運営していましたが、そこではお客様に向けて、「こうするとうまくいきますよ」、「こうするべきですよ」という自分の思いを書いていました。しかし、それは自分の考えを一方的に押し付けているに過ぎず、お客様の望んでいるものではありませんでした。志師塾の学びから、「大事なのはお客様の思いやニーズで、それに対して自分が何をできるのか、というスタンスが重要である」と気づきました。
また、自分の業界で当たり前に使われている言葉には注意が必要である、ということにも気がつきました。自分が分かる言葉でもお客様には分からない言葉がある。これでは言いたいことも伝わりません。お客様の立場にたって、お客様に分かりやすい言葉で伝える。頭では理解できても、なかなか対応力を身に着けるのは難しいことです。「志師塾での勉強は大変でしたが、とても重要なことを学び、修得することができたと感じています」と小林さんは言います。また、この学びのおかげでお客様の信頼を得られるようになったという実感もあるとのことです。

仲間からたくさんの刺激を受けました

「志師塾のカリキュラムは充実していて満足していますが、一番良かった点は、仲間からたくさんの刺激をもらえたことです。いろんな人が集まり、いろいろな悩みを持ち、苦労をし、経験されている。みなさんの話を聞いたり、アドバイスしてもらったり、すばらしい経験でした。もちろん今でも仲良くさせていただいてますし、場合によっては一緒に新しい仕事もしています。独学ではこの経験はできなかったですね」と言う小林さん。志師塾では、ビジネスノウハウの獲得だけではなく、モチベーション向上も期待できそうです。

業績は少しずつ上向いてます

「志師塾卒塾後の業績はどうでしょうか?」気になることを聞いてみました。「成果はまだまだだと思います。しかし、毎月の顧問報酬が1ケタから2ケタに増加するなど、少し上向いてきました」と控えめの答えが返ってきました。「志師塾で学んだことは有効だと感じているのですが行動が伴っていない」と、もっと改善の余地があると感じているようです。

経営者と従業員両方の相談にのってます

小林さんの特徴は単にコンサルティングに専念している、というだけではありません。コンサルティングの方法自体も独特です。「従業員と経営者の橋渡しをしています」と言う小林さん。通常コンサルティングは経営者と話をして仕事を進めていきます。小林さんのように、従業員の方たちとの話を重視する社会保険労務士は珍しいでしょう。
また、「本当は、先生なんて呼ばれたくないんです」とも言います。「例えば業務を改善するとき、私が正解を教えるわけではありません。私は、お客様自身が考えるためのツールや方法を提供して、そしてお客様と一緒に悩んでいくんです」。お客様と一緒に会社を改善していく。このスタンスも小林さんの大きな特徴と言えます。社会保険労務士の資格を取得する前にコーチングの勉強もしていたという小林さん。そのスキルも存分に使っているようです。

仕事では手を抜きません

「心がけていることは何ですか?」いう質問に対し、「仕事に対して手を抜かない、という誠実さですね」という答えが返ってきました。この程度でいいやとか、ちょっと足りないんじゃないか、という感覚で仕事をすると、後で気持ち悪くなって後悔してしまうそうです。お客様のためであることは当然ですが、自分のためでもあるのです。
そしてその「誠実さ」のおかげで、お客様の信頼を勝ち取れていると言います。信頼を得るということは、仕事がやりやすくなるということです。例えば、小林さんが作成した書類に記述間違いの不備があったときのことです。「間違いを訂正させてください」という小林さんに対し、「分かりました」とお客様が即答してくれました。訂正による作業の負担が増えてしまいますが、間違いに対する責めも文句も無く、すぐに訂正に取り掛かることができました。信頼されているからこそ、ミスしたときでもリカバリーを早く行うことができるのです。もっとも、小林さんは普段から「誠実」に仕事をしていますので、めったにミスすることはなく、お客様からは「小林先生がミスするなんて珍しいですね」という反応が返ってきたそうです。

現場をみることが重要です

「直接対面できないお客様はお断りしています」という小林さん。現場を自分の目で見ないと分からない感覚があると言います。例えば就業規則の作成や改定の場合、実際に経営者と会って考え方を聞いたり、従業員の方達がどういう風に働いているかを見たりしてから仕事を行うことにこだわっています。「そうしないと、本当に現場で運用できる就業規則はできないと思っています」。現状ですと、東京、神奈川、千葉、埼玉までが活動範囲になるとのことです。

必要なことを深く勉強していきます

今後は、今の仕事(コンサルティング)に関連ある分野についてもっと深く学んでいきたいと言います。他の仕事に手を広げるための勉強はせず、今の仕事の品質を高めるための勉強に集中する。その方がもっとお客様の役に立てると考えているからです。
例えばキャリアコンサルタントの資格ですが、社会的な背景を考えて取得を目指したわけではありませんでした。お客様と仕事をする中で、「従業員の相談にのってほしい」という要望があり、お客様のニーズとして把握したことがきっかけでした。
今は、人事評価制度の構築などのニーズが多くなってきています。今後は、経営全般、賃金や労働経済、財務などについての勉強を検討しています。
また小林さんは、今の仕事に関連する分野について深く勉強していきたいという思いから、時間節約のために関連が低い分野の勉強は切り捨てています。小林さんは、かつて、AFPやDCプランナー1級の資格も持っていましたが、更新のための勉強に時間がかかることから資格を返上してしまいました。「選択と集中」の実践です。企業においては王道ともいえることですが、個人で考えてみるとなかなかできることではありません。どうしても「せっかく取得した資格だからもったいない」という感情が出てしまいます。小林さんのように、自分に本当に必要な勉強に集中する姿勢を見習いたいものです。

時間管理・生産性向上が課題です

小林さんは、現在ホームページに掲載しているブログをもっと増やしていきたいと言います。志師塾の仲間の中では、教わったことを実践して大きな成果を上げている方達もいらっしゃいます。自分とその方達を比較してみると、ブログ制作などの対応のための行動量が一番大きな違いだということに気がつきました。
「志師塾で学んだことは有効であると実感しています。まだまだ実践が不十分であると感じている現在でさえもお客様からの問い合わせがあり、効果が出ています。もっと実践を増やしていき、更なる効果を上げたいと考えています」。
しかし、今はタイムマネジメントができていない状況で、対応に時間を割けていません。今後時間をどう捻出していくか、時間管理と集中力による生産性向上が課題であると自己分析しています。

もっと広げていきたいです

小林さんの目指す社会は、「労働者とその家族がいきいきワクワクと暮らしていける社会」です。その実現のために、今、小林さんが行っているコンサルティング手法を広めて、もっと多くの人に提供していきたいと言います。しかし、小林さんの手法は手間がかかるものです。小林さん一人では限界もあります。そのため、仕事(顧客)を倍増していくという短期的な目標とともに、長期的な目標として小林さんの経験したことを伝える啓発活動の展開も考えています。そうすれば、目指す社会に近づけることができると小林さんは信じています。
小林さんは、現在、志師塾の仲間や他の方達との協業も視野に入れてビジネスの拡大を進行中です。目指す社会の実現に向けて着実に前進しています。

文:山本 弘樹(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部

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