Last Updated on 更新日2020.3.20 by 44@jyuku
今回お話をうかがったのは志師塾卒業生、株式会社My MENTORの山口正人さんです。山口さんは女性起業家を中心にプレスリリース作成を指導するコンサルタントとして活躍されています。
2019年1月に独立した山口さんは、これまでの豊富な人生経験を活かし、次世代の若手人材、とりわけ女性に活躍してもらいたいという強い思いを持っていらっしゃいます。
今回の取材を通じて山口さんのプレスリリースに対する思いと、ビジネスの方向性を掴むきっかけとなった志師塾についてお伺いしました。
この記事の目次
女性起業家専門のプレスリリース作成コンサルタントとして活躍
プレスリリースはビジネスの本質を表現したもの
「プレスリリースって、じつは経営そのものを凝縮したもの、つまりビジネスの本質を表現したものなんですよ」と笑顔で語ってくれたのは、女性起業家を対象にプレスリリース作成のコンサルタントとして活躍されている山口正人さんです。
プレスリリースは、自社商品やサービスなどの情報をマスメディアに向けて適切な形で発信・提供することで、TVや新聞などの媒体に取り上げられる確率を高めることができると言います。とくに、資金力の乏しい個人事業主やスタートアップ企業が知名度や信頼度を上げる有効な手段です。
とはいえ、プレスリリースと聞いて具体的に何を書けばよいのかわからず、ついつい顧客に向けた宣伝内容をそのままメディアに発信してしまい、「売り込みチラシ」として読まれず捨てられてしまうことも多いのだそうです。
「プレスリリースには20種類ほどの書き方があると思っています。たとえば、新商品を出しました、その後の反響はどうでした、こういう心掛けで事業をやってます、などです。つまり自分のビジネスが社会にどう貢献し、役に立っているのかを伝えるものです。それを世の中に出回っているニュースから逆算し、メディアが社会(=読者)へ伝えやすいようトランスレートして発信することが大切なんです」
メディア側の欲する情報の「書き方」を知り尽くしている山口さん。プレスリリース作成のための体系化された独自メソッドはできており、あとは本人がどれだけ思いを込めて根気強く継続できるかどうかだと言います。
女性起業家・経営者を対象とする理由
山口さんは大学卒業後、銀行に入行、40歳を目前にして大手広告代理店に転職しました。それらの組織に属していた経験が、現在の若い世代や特に女性起業家に活躍してもらいたいという思いの原点だと言います。
「私自身が一時期シングルファーザーをしていたことがあり、家事と仕事を両立することの大変さを実感しました。ワーキングママの労働時間って本当に凄いなと。勤務時間以外の家事や育児の時間を含めると、18時間19時間は確実に働いていると感じました。一方で、産休や育休から復帰すると、能力が十分に活かせない部署に配置替えされたりしていて、もっと適材適所があるのにと感じることも多かった。せっかくの優秀な人材が埋もれてしまっている、そういう女性を多く見てきました」
そのような企業に見切りをつけ、課題意識を持って独立した女性もたくさんいたそうです。「そういう女性起業家にこそ徹底的にブレイクしてもらい、同じような境遇でくすぶっている女性を引き上げてほしいと思うのです」その結果、女性がもっと働きやすく活躍できる社会の実現に繋がると山口さんは語気を強めます。「課題意識を持って独立した女性起業家を世の中にもっと知ってもらい活躍してもらいたい。そのための手段としてプレスリリースを活用することが有効なんです」
志師塾との出会い
独立したはいいけど効率が悪い
ホップ・ステップ・ジャンプの願いを込め、2019年1月23日に山口さんは独立しました。
常に顧客志向でお客さんから応援されるような企業であった広告代理店での仕事は、魅力的だったと山口さんは言います。
「ところが創業社長が急逝したあたりから、内向きで官僚的に急変してしまった。そのため、次第に会社への貢献意欲がスポンジに吸収されて消えていくようになってしまったのです」山口さんは当時58歳、「自分の価値を社会に直接問うなら今しかない」と独立の決断に至ります。
「組織にいると、声が小さいと目立たず報われないことも多い。でも声が小さくとも仕事ができる人はいっぱいいるんですよ。そういう人にこそ光を当ててあげたかった」と、特に若い世代を中心に自信を持ってほしいと、一人ひとりに寄り添えるメンターとして生計を立てようと考えます。国家資格であるキャリアコンサルタントの資格を取得していた山口さんは、当初は学び仲間から仕事を個々に紹介してもらっていました。しかしながら、ビジネスとしては非常に効率が悪く、ステップどころかなかなかホップすら踏めない状況だったと言います。次第に仕事もなくなりビジネスの方向性に迷っているとき、学び仲間から志師塾の存在を耳にします。
徹底した棚卸しと、とんがりポジョショニング
早速、志師塾のフロントセミナーを受講した山口さんは入塾を即断します。再現性の高い成功するためのメソッドが「ここなら学べる」と直感したからでした。
入塾したのは2019年4月。以降、3カ月間はワークを繰り返す日々が続きます。そしてこのワークこそが、その後の進むべき方向性に繋がったと言います。
「志師塾では徹底的にキャリアの棚卸しをします。最初は勇気がいりますが、受講生仲間みんなで各々のキャリアを共有します、自分の強みはこれとこれでポジションニングはここだ、みたいにです。それに対し、仲間や志師塾の講師から色んな見方や意見をフィードバックしてもらい新たな気づきを得ていきます。これを何度も何度も繰り返して、自分のポジショニングを、どこに定めるのか絞っていきます」
それは同時に余計なものを捨てることだったと振り返ります。一般的に、「あれもこれも、なんでもできます」とアピールしたくなるもの。とかくスキルをたくさん持つ人にとっては、あえて捨てるということは勇気が必要です。しかし、志師塾では「一点突破の全面展開、針の先ほど徹底して尖れ!」と叩き込まれます。これを志師塾では俗に「とんがりポジショニング」と呼びます。
銀行、そして広告代理店を経歴に持つ山口さんもまた、資金調達、マーケティング、広告宣伝、チームビルディング、メンタリングなど多くのスキルを持っていましたが、敢えて捨て去ります。そして、削りに削って最後に仲間と一緒に見つけたとんがり部分こそが、「女性起業家専門のプレスリリースコンサルタント」だったのです。
「信頼貯金」そして「お楽しみさまでした」
志師塾では、「お疲れさまでした」ではなく「お楽しみ様でした」が合言葉。
これは「志師塾で共に学んだ仲間は一生のお付き合い」を意味すると言います。「塾長はじめ、講師陣もみんな温かい人ばかりだった」
だからこそ、一体感のある雰囲気が醸成され安心して自己開示し学べる環境が整っていました。
卒業後も継続実践カリキュラムのほか、定期的に報告会などが開催され、志師塾を巣立った生徒もモチベーションを切らさないような工夫が散りばめられています。さらに、学び仲間や志師塾講師との良好な関係から現在の仕事の紹介にも繋がっているようです。そこには志師塾の教えでもある「信頼貯金」というものが根底にあると言います。
「相手に対して5つ信頼を与えて1つ得る、信頼を相手に与えておくと必ず報われる」という経営者としての「心の持ち方」を身に付け、講座で実践したことも、その後のビジネス展開に大きく影響を与えました。
テクニックだけで終わらないことも志師塾の魅力の一つなのです。
おわりに
サラリーマン生活35年に今ようやく思えた感謝
ビジネスをしていく上で大切にしていることの一つに「本当に相手のためになっているかどうかを何度も自答する」ことだと山口さんは言います。
相手のためになってこそ価値を感じてもらえ、初めてビジネスが成り立つ。そして対価が得られます。
50代で新たな人生として独立を選択しましたが、ようやく自分自身の価値に対して対価が得られ、そして喜んでくれるお客さんが増えつつあることに対し、光が差してきたように感じる山口さん。これまで辛いことも多かったサラリーマン時代でしたが、その経験が現在に繋がっていると思え、素直に「ありがとう」と感謝できるようになったと言います。
もっと光を当てたい
今後は、プレスリリース作成術講座の頻度を増やして、女性起業家をたくさんブレイクさせ、社会に貢献していきたいと意気込む一方で、地方再生にも携わっていけたらと、山口さんは思いを語ります。
「地方にはまだまだ眠っている価値がたくさんあります。プレスリリースを上手く活用できれば、その価値に光をもっと当てることができる。IT技術を使いこれまで蓄積してきた作成術のノウハウを配信することで、地方の起業家の支援ができます。同時に、短時間で誰でも簡単にプレスリリースが作成できるアプリの開発にも手掛けていきたいですね」と目を輝かせて語る姿が印象的でした。
参加者からは「本当にこの値段で良いの?もっと受講料を取ってもいいのでは?(笑)」と声が上がるほど大盛況のプレスリリース作成術講座。
女性起業家だけでなく、起業を考えて悩んでいる方にとってもきっと役に立つプレスリリース作成術講座、山口さんの今後の更なる飛躍が女性の活躍をもっともっと増やしていくことでしょう。
文:神屋裕司(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部