コーチングを子育てに活用する。 添田敦子

Last Updated on 更新日2018.3.23 by

 今回、取材した添田敦子さんは、自身の子育て経験から早期のキャリア教育の重要性を説いています。また、主婦とは『主婦業』という業務であり、その経験が今の自分のキャリアを作っているとも語ってくれました。 女性の重大なイベントである結婚や子育てから、何を学び成功へ繋げたのか?その秘密に迫ります。

子育てにコーチングという人材育成を

___添田さんの事業では、どのようなサービスを提供していますか?

 家庭内の関係改善を目指したサービスを提供しています。噛み砕くと、お子さんに対して、コーチングが出来る親御さんを目指してもらいます。一般的に、コーチングなどの人材育成を、社会人になってから受けたりしますよね。ですが、子供の時から将来を視野にいれた人材育成となる子育てに力をいれたいと思い、この事業をはじめました。

 その考えをもとに、私の子育て経験とコーチングの専門知識を組み合わせた「親子のメンタルコーチ®」を行なっています。独自の子育て実践法を親御さんに伝えて、お子さんの潜在的な力を引き出してもらいます。

___子育ては人材育成であり、そのためには親子でのコミュニケーションを見直す必要があるのですね。また、バレリーナを目指す親子向けの講座もあると聞きました。

 そうですね。娘のバレエ留学を私がサポートしていた経験から、バレリーナを目指す親子に向けた講座も開いています。私の経験からアドバイスをする講座はもちろんですが、一流の講師を招いた講座も開催しています。

 バレエ留学が一般的ではない日本では、準備に関する情報が少ないのが現状です。つまり、どうすればいいのか分からない親子が大半なんです。なので、バレリーナを目指す親子は試行錯誤しなければなりません。

 そこで、私と娘のバレエ留学経験が活かせると思い、バレリーナを目指す親子の疑問を解決するお手伝いを行なっています。
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子育てという人材育成の重要点とは

 ___たしかにバレリーナを目指す家庭が少ない日本で、サポートを必要とする親子は多いかもしれないですね。気になったのが「親子のメンタルコーチ®」という子育て法ですが、具体的にどのような指導を行っているのでしょうか?

 大きく2つに分けて、以下の指導を中心に行います。

  • お子さんのコミュニケーション能力が伸びる接し方
  • お子さん自身の人生に覚悟を持たせる


 お子さんが小さい頃に、この二点をどのように意識して親が接するかで、お子さんの将来に大きな影響を与えるのです。学校など外での環境から影響を受けるのはもちろんですが、家庭環境から大きく影響をお子さんは受けます。

コミュニケーション能力向上

 例えば、家庭内でのコミュニケーションのとり方は、外での環境で顔を出します。つまり、親子でうまくコミュニケーションが出来ていれば、お子さんは外で良い人間関係を築けるのです。逆に言えば、家庭内でうまく関係を築けていないと、外での人間関係で躓いてしまう可能性があります。

 また、 家族内のコミュニケーションで大切なのは、家族をチームとして捉える考え方です。チームとして捉えれば、コミュニケーションは円滑に進み、人間関係を上手く構築することが出来ます。なので、家庭でチームワークがとれていれば、他の環境でもチームワークをとることが出来るのです。

___お子さんのコミュニケーション能力向上と人生への覚悟が人材育成の鍵なのですね。まず、コミュニケーション能力向上におきましては、家庭内のチームワークが大事だという話でした。添田さん自身もお子さんとチームワークをとっていたのですか?

 私も子どもたちとチームワークをとりながらコミュニケーションを行なっていました。お互いでチームとしての目標を共有し、お互いの足りないところを補い合っていましたね。

 その時、私自身が子育てと仕事で忙しかったので、何でもかんでも子どもたちに手をかけることが出来ませんでした。ですが、お互いをチームとして認識していたので、私ができないことは正直に伝えていました。子どもたちはそれを理解してくれて、私ができない点は助けてくれるのです。子どもたち自身もチームの一員として、親である私をサポートするのが当たり前でした。

 そのように家庭内でコミュニケーションができれば、子どもたちが他の環境でも同じように人間関係を築けるようになってくるのです。娘もバレエ留学しましたので、日本の文化や価値観が違う環境で生活をしていました。ですが、家庭内のコミュニケーションが反映されるように、留学先でも上手く人間関係を構築出来ていましたね。つまり、コミュニケーションが上手くいく本質は、どの環境でも同じなのです。
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子どもの人生に覚悟を持たせる

___まさに、チームワークができている親子関係は理想的な親子関係と言えそうですね。ここで、お子さん自身の人生に覚悟を持ってもらうについても、具体的にお聞きしていいですか?

 人生の覚悟を持つのはキャリア教育と同じですね。大学生が就活前に将来のことを考えるように、子供の時から自身の将来について考え、責任を持ってもらいます。子ども自身の10年後や更にその先のキャリアに覚悟を持たせるのです。自分の人生に覚悟をもってもらうことで、目の前の問題にぶつかっても立ち向かう力ができるようになります。 なぜなら、目の前の挫折より先の目標が見えているからです。

___小さい頃、自分は人生の覚悟なんて意識していませんでした。一般的に、自分の将来を考えられる子供さんは少ないように思います。どのようにして子どもたちに覚悟を持ってもらっていたのでしょうか。

 覚悟とは大人や環境が強制するのではなく、お子さん自身で決めなければなりません。なので、子どもたちに対して、私は「どうしたいの?」とよく問いかけていました。そこで、子どもたち自身で考えてもらい、人生の覚悟について一つ一つに悩んでもらうのです。そうしていくうちに、子どもたちの口から将来の夢や人生の覚悟が出てくるようになります。あとは、親としてのその夢や覚悟に必要なサポートを私はするだけでした。
 
 息子が小さい頃、「薬剤師になりたい」と言ったときがありました。その時、私は強制せずに客観的なアドバイスや現状に適した選択肢を提案するのです。例えば、「今の君の成績だとA校とB校があるけど、A校は優秀だけどもっと勉強が必要かな~」と本人の現状から見た客観的なアドバイスをしていました。あとは、アドバイスを聞いた本人がそこから自分で考え判断していったのです。
 
 それを繰り返すうちに、覚悟をもって進むという行為が身についていきます。今では息子は大手企業に勤めていますが、その先の夢も語っていて、私自身はそれを聞いて面白いなと思っていますね。

___覚悟をもって生きると聞いて身構えていましたが、楽しく生きるともいえそうですね。

 そうですね。将来の目標をもつことで、心豊かに行きていけるようになると思います。

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子供の人材育成に至った経緯とは

___小さい頃から将来を視野にいれた人材育成の重要性が伝わってきました。そもそも、その子どもの人材育成を始めるきっかけは何でしたか?

 まず、子供の人材育成をする前は、営業マンを中心に営業を教えていました。営業成績をあげるために、一緒に考えたり、自分自身の営業を見せたりしていたのです。子供の人材育成とは反対に、私が仕事や主婦生活で学んだことを伝えて、大人の人材育成をしていました。

 大人の育成をしていく中で、一人一人考え方の癖が違うのに気づき、その癖を活かしてどう営業成績を伸ばすか考えていました。そのうち、どうして考え方の癖が違うのかと疑問に思い、本人にいろいろ聞いていったのです。そうすると、その人の生きてきた思い出話など小さい頃の記憶が出てくるのです。そこで、人は家庭環境が根っこになって個性が出来上がり、その個性が学校や職場で顔を出すのではないかと気づきました。つまり、小さい頃の家庭環境によって個性が形成されるのです。

___大人の人材育成をしていくうちに、過去の経験が人の個性を形成するのですね。それに気づいてから子供の人材育成に、どうして取り組むことになったのですか?

 それから、本人が問題を抱える前に、予防として子供の人材育成をやりたいと考えるようになりました。もちろん、大人の人材育成も悪くなかったのですが、大人の場合だと本人がもっている問題を対処していくしかないのです。また、その場合だと本人の家庭環境によっては、こちらでは対処しきれないケースもあったりしました。本人にだけアプローチをしても、その人を変える効果が限られるのです。なので、子供の頃から人材育成をすることで、問題が発生する前に予防をしようと決心しました。まさに、本人が問題を抱える前に、原因となる家庭環境から改善する予防医学のようなものです。
 
 そして、子供二人が自立した時にお金に余裕ができたので、子供の人材育成にシフトしました。子供の人材育成といっても私が一人一人の子供さんに向き合うのではなく、親御さんにコツを伝えて育ててもらうようにしています。私が子供さんを教えたのに、家に帰って実践できないと結局、意味が無いですから。なので、親御さんの関係に注目して取り組んでいます。
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添田さんのキャリアの原点は『主婦業』

___個人的なイメージですが、仕事をしながら主婦生活をおくるのはかなり大変そうですよね。その生活を乗り越えて、添田さん自身に何か残るものはありましたか。

 確かに主婦生活が大変だった分、私のキャリアに大きな影響がありました。結婚生活20年間は、子育て、仕事やお嫁さんを兼業した忙しさや苦労は、私を鍛え上げていきました。特に私の場合は甘えられない・慣れない環境でしたので、なおさら鍛えられたと感じています。また、価値観が全く違うような環境に嫁いだので、そこでの関係を築くのにも努力しました。ですが、結婚生活が厳しかったからこそ、社会で生きる能力を身に着けていった。つまり、主婦生活が私のキャリアの原点になっているのです。

___主婦生活で多くのことを学んだのですね。ですが、仕事ではなく、主婦生活がキャリアの原点なのは驚きました。

 私自身は、キャリアにおいて主婦も仕事も関係ないと考えています。主婦とは『主婦業』という業務であり、結婚はお勤めするようなものなのです。一般的には、結婚のイメージは幸せにしてもらうと考える方が多いかもしれません。それは違っていて、結婚はお勤めであり、能動的に幸せを勝ち取るのです。また、結婚を機に組織された部署で学んだことを、私はコーチングで伝えているのです。

___仕事と同様に、結婚生活も学ぶこと沢山あるのですね。

 そうですね。私にとって、家族の中での経験が全て力になったと考えています。

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主婦業が重視される女性のキャリアとは

___最後に、これからの具体的な目標をお聞きしてもよろしいでしょうか?

 『主婦業』の経験が重視される社会を作りたいです。今の社会において女性の社会進出が注目されすぎていて、立派な業務である『主婦業』が軽視されてしまっているのでしょう。女性が社会の中で働かないといけないという脅迫概念があり、主婦という大切な時期が分からなくなっているのです。もちろん、社会での経験も大切ですが、主婦業での経験も女性のキャリアにおいて重要だと伝えていきたいです。

 同時に、子育てという大切な『人材育成』の時期が削られてしまっています。人材育成をしなければいけないのに、家に指導者がいない状況に違和感を感じてしまいます。本来であれば、その時期には子供としっかり向き合う時間をとるべきなのです。だから、子供が自立するまで向き合った後に、女性が社会復帰できるようなシステムを作りたいと考えています。

 なので、私が目指している社会の目標としては

  • 主婦などの時期を考慮してくれる社会をつくる。
  • 主婦業という経験を社会で活かせるように橋渡しをする。


を掲げています。どれくらい時間がかかるか分かりませんが、今できることを積み重ねて頑張ります。

___最後に女性のキャリアについてもお聞き出来て良かったです。本日はありがとうございました。

 こちらこそ、ありがとうございました。

まとめ

 早期の人材育成の重要性とキャリアの原点である『主婦業』について詳しくお聞きしました。女性の社会進出に注目されている中で、家庭の在り方や女性のキャリアについて考えさせられる話でした。

 最後に、添田さんのやりがいは何かとお聞きしたところ「人の気付きになるだけで嬉しいです。その後のお客様のご報告など、お裾わけを頂けるだけで良い。」と語ってくれました。自分の趣味かのように仕事を楽しんでいる様子が印象的な方でした。

 困難を乗り越える力は、自身の仕事をライフワークにすることで、湧いてくるのかもしれません。添田さんの言葉や様子から、仕事と生きがいを同じ方向に向いているのが伝わってきました。

 仕事をライフワークにする添田さんのエネルギーが、子育てや女性のキャリアに対する価値観を変えていくかもしれません。

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