会社依存からの脱却、資格を活かして副業生活と人生100年時代を謳歌する

Last Updated on 更新日2020.2.21 by 44@jyuku

働き方改革関連法の施行により、時間外労働に対する規制が一部の適用猶予を除いて2019年4月より開始されました。幸せの定義は人それぞれですが、時間外手当が生活給となっていた方や子育て世代の方には切実な問題です。さらに、同一労働同一賃金の導入が迫る中で、従来の新卒一括採用と終身雇用制度といった従来からの人材採用と育成の方法も限界を迎えている状況にあります。会社依存から自律した個人が自らの働き方や生き方を設計する時代の本格的な到来にあたり、資格と副業の関係性について纏めます。

資格貧乏論

資格を取ると貧乏になる?

5、6年前、そういった主旨の本や論調が世の中で話題になりました。資格を取ると貧乏になるというのは、あてはまる場合とあてはまらない場合があります。弁護士資格を取得しても弁護士の数ほど仕事が多くはなく旧司法試験の時代の頃ほどの人気がない話や、近年の法科大学院の不人気さなどが示す通り資格取得、士業として独立・開業、稼げるといった構図は成立しなくなっているのも事実です。但し、資格とは一言で言えば、その専門領域における専門性の一定水準を持ち得ている証です。そのため資格自体が悪ではありませんし、食えないには食えない理由があります。

重要なことは、需給バランスが崩れていないか、資格によって提供できるベネフィットと世の中のニーズがマッチするかです。この5年程前は、副業を認める企業はまだ少なく、給与所得者として本業に集中したほうが士業として独立を選択するよりも成功の確度が高かった時代でもありました。現在はそのころとは社会情勢が一変しています。資格=稼げないといった単純な構図では説明できないほど、環境変化のスピードは高く、ニーズや社会的な課題も複雑化しています。

令和元年は副業2年

働き方改革がもたらす社会構造の変化

2018年は副業元年といわれています。そして、働き方改革関連法が2019年4月に施行されました。正式名称は働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律。その法律の趣旨は、「労働者がそれぞれの事業に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講ずる。」と記載されています。(引用:厚生労働省ホームページ)これは、時間外労働の上限を規制する一方で、多様な働き方を推進するための規制を緩和する法律と解すことができます。

規制を緩和すると経済活動が活発化するので規制緩和はいいことだというイメージを持たれる方も多いと思いますが、一概にそうとも言い切れません。そもそも規制はなぜあるのでしょうか。規制をするには理由があり、例えば市場原理だけに任せると公害が発生してしまうなど社会的な損失の発生が懸念される場合に、それを防ぐため規制は存在します。また、今回の規制緩和によって企業が抱えていた人的リスクを個々人に移転する形にもなります。

日本の国際競争力は低下傾向

もう少しマクロ的な観測を加えますと日本の国際競争力が過去20年低下傾向にあり、世界経済フォーラムによると2019年は6位、世界協力センターによると2019年は30位となっています。指標や調査方法が異なるので順位に開きが出ていますが、いずれの調査でも低下傾向にあります。原因として、少子高齢化、イノベーション力の低下といったものがあげられています。また、欧米各国と比べても日本の起業数は少なく、企業倒産も少ないなど、企業は少産少死型であり事業の新陳代謝が不十分といえます。起業を増やして新しい産業と雇用を生み出していくことが、日本全体で必要となっています。

少子化対策と副業

少子化対策として子育て環境の整備を図る一環でも働き方改革は進められています。しかしながら、依然として出産・子育てでいったん職場から離れると復帰できない日本的雇用慣行は残っており、女性が継続して活躍できる環境の構築も必要です。労働力人口が減少するなかで、高い専門性を持つ人材が適材適所で働ける環境、スキル・専門性の向上、労働生産性の向上は喫緊の課題となっています。

こうした中で、多様な働き方や同一労働同一賃金がもたらす先には、転職やフリーランスといった人的資源の流動性が一層高まることが予想されます。定型的な仕事は、AIやRPAといった機械学習を通じて人からシステム・ロボットなどに移行されつつあります。人の行う仕事が、より高い付加価値を生み出す仕事に移行していく、こうした潮流は、技術面、日本の生産性向上、労働関係の規制緩和からも目前に迫っています。

日本の競争力の観点や企業単位では、終身雇用制度で長期雇用を継続することは不幸な結果を生み出す可能性が増大しています。しかしながら、ミクロ・個人単位では、より専門性が求められることや環境変化に対応してジョブチェンジが迫られるようなリスクを抱えることになります。このリスクに対する一つの解が副業への取り組みです。資格は専門性を担保する役割を担い、有資格者ということが仕事の発注者に対する信頼性につながります。

副業と資格から始める人生のリスク管理

与えられた仕事だけを真面目にこなすだけでは将来その仕事がなくなり、いずれ食えなくなるリスクを個人が抱える時代が来ます。16世紀と17世紀から18世紀にイギリスで起きたエンクロージャーのような現象が現代の日本にも起きるかもしれません。こうした環境変化へのリスクを管理するには、一つは不労所得が得られる方法や仕組みを構築する手段もあります。しかしながら、本記事の資格と副業のテーマからは外れますので、資格を活用した副業にフォーカスしてご紹介します。いきなり起業するには知識や経験、人脈も不足する可能性は高く、その不足するリソースについて時間をかけて埋めることのできることが副業の魅力でもあります。そして、副業を始める際に一つの信頼の証となるものが資格になります。

資格の種類1:公的資格・民間検定資格

公的資格・民間検定資格概要

公的資格は、国の省庁の支援する団体が主催する検定試験です。民間検定試験は、主に各種業界団体が運営主体となるものです。概ね検定試験は競争試験ではありません。ある一定の知識や能力の水準に達しているかを検定する試験という位置づけです(もちろん例外もありますが)。そのため、試験問題自体の日本語は平易な表現であることがほとんどです。受験資格も設定されないものが多いですが、業界が主催する研修を受講しないと受験資格を得られないものも存在します。

ビジネス系

日本商工会議所が主催する日商簿記検定や販売士、東京商工会議所が主催するビジネス実務法務検定等が有名です。3級から1級といった等級制度もあります。一般的に3級程度は初心者が目指しても1か月程度学習をすれば合格できるレベルです。2級は、3か月~6か月程度の学習期間が必要です。1級は、専門的なレベルです。学習期間は、おおむね6か月~1年程度必要となります。
それ以外では、受験者数は少ないですが、一般財団法人統計質保証推進協会が実施する統計検定は着目すべき検定試験です。経済産業省が示しているビジョンであるデータ駆動型社会※の到来により、今後一層必要とされるスキルであることは間違いないです。
※データ駆動型社会:データと現実世界との密接な連携により、最適化を目指す社会システムのこと。

カルチャー系

副業の最初の1歩は、好きなことを本業の余暇時間に行うことです。そのため、趣味と実益を兼ねた副業ができればいいのですが、市場ニーズがないと業とはなりえません。例えば、色彩検定などは公的資格でもあり、服飾系のお仕事やWEBデザインに活用できれば、趣味と実益を兼ねることができる可能性はあります。

資格の種類2:国家資格

国家資格概要

副業の観点から人脈や実績の少ない方が仕事を受注する際に、国家資格のほうが信頼性は増します。但し、こちらも副業としてのニーズがあることが前提となります。国家資格には独占業務があるもの、名称独占のもの、そして、技能系の3種類があります。公的資格や民間検定試験よりも競争試験という位置づけが高く、難関資格であればあるほど、社会的な信頼性が増す一方で、試験対策も本格的な対策が必要となり、長期化しやすいこともネックです。

法律・会計系(独占業務あり)

弁護士、公認会計士、税理士などは、難易度も高く、勉強期間も複数年かかります。士業として本業として目指す資格です。取得しただけでは稼げないという話も聞きますが、きちんとしたニーズ把握とその高い専門性が活かすことができれば、工夫次第で稼げる市場は確実にあります。社会保険労務士や行政書士も副業を目指す目的で取得する場合、難易度は高い部類に入りますが、ニーズは確実にありますので、本業へのステップとして、資格取得から副業を通じた実務経験や人脈を構築して、いずれ独立・開業も選択肢としては可能性があります。

コンサルティング系

コンサルティングにおいては、キャリアコンサルタントや中小企業診断士などが有望です。まずキャリアコンサルタントについては、先ほど記載したように少子高齢化や働き方改革によって多様性のある働き方が社会的にも必要となっており、個々人のキャリア構築のサポートのニーズは高いと考えます。

一番オススメするのは、中小企業診断士です。実は、名称独占資格で独占業務はありません。そのため足の裏の米粒(食えない)資格と吹聴する方もいます。しかしながら、企業の分析やコンサルティングノウハウが得られるほか、新しい人脈の構築がしやすい資格です。マクロ環境分析のスキルを得ることも可能ですので、社会構造の変化等に敏感に反応し、課題の抽出と対策を講じることができるようになります。ご自身の「生き方の羅針盤」を得ることができます。食えるか食えないかは、他の資格と同様、活かし方次第です。名称独占なので業務の自由度が高く、他のスキルや専門性と組み合わせることで独自の強みを構築できるといった魅力があります。

技能検定系

技能検定系では、ファイナンシャルプランニング検定、ウェブデザイン技能士に非常に魅力を感じます。前者は、お金の管理や中長期的な計画をご自身の人生設計に活用できる、クライアントにもアドバイスができる資格です。日本では金融知識やスキルについて義務教育課程を含めて体系的に学ぶ機会が欧米等と比較しても少ない状況です。日本において、消費者としても事業者としてもお金の活かし方、増やし方のPDCAを適切に管理できる人は割と少なくそのニーズは高いと考えます。後者は、今後もネット社会が成熟していく過程において、よりUI/UXの価値は高くなるため、継続的なニーズはあります。

目的と手段

一般的には、資格取得は目的ではありません。リスクをコントロールするための手段やご自身の働き方の選択肢を増やす手段として活用していくことがひいては世のため人のためにもなるというものです。また、上記で取り上げた資格・検定試験以外でも副業に役立つものはあります。そうした資格やご自身の専門性を活かした副業が見つかれば、第二の天職になりえます。

まとめ

副業は、今後、一層拡大してゆく働き方です。特に自分の専門性を活かしてそれを深める、人脈を広げる、経験を積むにはピッタリの働き方です。専門性を磨いて、世の中に貢献しその適正な対価を得る、いずれ独立開業も選択肢にできる可能性が広がります。そして対価として得た所得を賢く消費することは、経済活動が活発化し、GDPも向上します。副業は会社にしがみつく働き方から脱却する手段です。一方で、本業から独立することだけが副業のゴールではありません。副業で得られた人脈や経験を本業に活用すれば、本業により高い付加価値、あなただけのオンリーワンの価値を生み出せるはずです。人生100年時代を迎えた日本において、今後必要となることは、自律した経済主体として専門性を活かした自分らしい働き方・生き方を模索することと考えます。資格の取得は副業を成功させるための1つの手段となります。皆様も副業への第一歩を踏み出してみませんか。

文:南多聞(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部

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