Last Updated on 更新日2017.6.15 by
士業のホームページは文章力で勝負
士業は、資格を取っただけでは食べていけない…と、聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?その理由として、士業の数が増えたことが考えられます。それだけではなく、「役所」も士業のライバルだと言われています。
社労士、弁護士、税理士、行政書士、司法書士などの「士」がつく職業の方を指しますが、コーチ、コンサルタント、カウンセラー、セラピスト、トレーナーの方々も十分当てはまります。ここでは、まとめて「士業」と述べさせていただきます。
役所のサービスは劇的に向上しており、役所のホームページは使い勝手も良くなっています。書類の作成・提出を士業の方々にお願いしなくても、お客様自身で手続きができてします時代になってしまったのです。このような時代の中を勝つ抜くためには、ライバルよりも質の高いサービスを提供する必要があります。「自分でやるよりも士業の先生にお願いした方が良い!」ということを、お客様に伝える必要があります。
そのために必要なのが、「文章力」なのです!
その理由は、役所に申請するときや、お客様に説明するときにも、文章を書く必要があるからです。お客様は、スマートフォンまたはPCを使って、士業の先生のホームページを見るはずです。必要なツールは、ホームページ、メール、紙の文章、そしてSNSなど、すべて「文章」で情報を伝えるものなのです。現代、これらのツールを使わずに仕事をすることはできません。だから、「文章力」が必要なのです。
ここでは特に、士業の先生方がホームページを作成する時の文章の書き方についてご紹介させていただきます。この記事を読むことで、「お客様から問い合わせがくる文章が書ける」ためのキッカケとなっていただけると幸いです。
士業のホームページを作成する際の注意点
この時代を勝ち抜くために、「文章力」が必要だということをお伝えしましたが、「士業のホームページを作成するための重要なポイント」という視点からも、文書力の大切さをみていきたいと思います。士業のホームページを作成するうえでの重要なポイントはたくさんあります。例えば、ホームページのデザイン・色使いや、SEO対策、どのようなユーザーがホームページを見ているか分析を行うウェブ解析など、検索上位にさせるための対策やツールが多く存在しています。
では、この対策をすれば本当に検索上位になり、本当に良いホームページを作成することができるのでしょうか?
答えは、できます!しかし、次のポイントをしっかり押さえたうえでの対策でないとあまり意味がないものになってしまう恐れがあります。士業のホームページを作成するうえでの大切なポイントは、次の2つです。
- 誰に見てほしいホームページなのか?
- 自分には何ができるのか?
見えるところばかりにこだわってしまったり、検索上位にさせるための対策にばかり目がいってしまったりすることが多いのではないでしょうか?「外側をガッチリ固めたものの、中身はそうでもない」というケースをよく目にするように感じます。
自分自身をより理解する
士業は、自分が商品です。つまり、自分自身のことをしっかり理解したうえで、はじめてホームページを作成することができるのです。ここで、自分自身を知っているかどうか、次の2つの質問に答えてみてください。
- なぜ「その資格」を選んだのか?
- 他の同業者とどう「差別化」をしているのか?
いかがでしょうか?
今あげた2つの質問は、自分を知るための質問のほんの一部にしかすぎません。まずは、ここにしっかり答えられるまで自身をしっかり理解する必要があります。
現状を見て必要なポイントを見極める
士業のホームページを作成するうえで重要なポイントはたくさんあると言いました。どこが一番大切なポイントだ!ということではなく、どれも大切なポイントであることには変わりはありません。今の自分が、どの段階にいるのかで大切なポイントがそれぞれ変わってきます。順序としては、次のようなステップになります。
- 自分自身について知る。
(資格を取ったときの「想い」、「こんな人を助けたい」という気持ちなど) - 他の同業者と自身との「差別化」がしっかりできている。
(顧客のニーズ、ライバルと自分自身との違いを分析できているのかなど) - 自分自身のイメージ、見てほしい顧客のイメージに合うホームページを作成する。
(全体のデザイン、色使いなど)
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生活者の目線で文章を選ぶ
自分自身の棚卸を「言葉」として落とし込み、自分の想い・情熱を伝える。ライバルとの違いをしっかり分析し「言葉」として落とし込めている。ここがしっかり自分自身で腑に落ちているかどうかで、質の良いホームページになるかが決まってきます。「言葉」に落とし込むということは、「誰がみても分かりやすい文章になっている」という状態を示します。
士業の方は当たり前と思っている言葉が、お客様にとってはとても難しい表現である場合があります。「お客様の目線」という言葉をよく耳にするかと思いますが、そのサービスを利用する「生活者の目線」で言葉を選ぶと伝わりやすい文章になると思います。
士業のホームページの文章の書き方
では、実際にどのようなポイントに注意して、ホームページの文章を書けばいいのかについてご説明します。
肩書きだけでは仕事がこない!
士業の数が増えたことで、「資格を持っているだけで仕事が取れる」時代は終わりました。つまり、ホームページに「○○士」と書くだけでは、仕事が取れなくなっています。無数にいるライバルの中からお客様に選ばれる存在になるためには、こちらからお客様を選べば良いのです。
名刺の肩書きを資格名だけで終わらせていませんか?
自分のお客様は誰なのか
「なんでもやります」と言っている人には、お客様は来ません。「誰でもいいから結婚してほしい」という人と誰も結婚しようと思わないのと同じです。仕事を依頼されるためには、「どんなお客様に仕事を依頼されたいのか」を自分自身がしっかり理解している必要があります。
どんなことで困っている人の助けになりたいのか?自分のお客様の具体的な像を思い浮かべましょう。それが、自分自身の肩書き・キャッチコピーになり、ホームページの全体のイメージと書くべき文章が決まってきます。
顧客の絞り込み
ライバルの士業の方々が多くいる中で勝ち抜くためには、自分のやりたいこと・自分のできることだけでは足りません。それだけでは、ベテランの方に仕事が多くいってしまいます。「お客様が自分に仕事を依頼する理由」をしっかり考え抜くことができれば、ライバルの士業の方々との違いをアピールすることができます。ライバルとの差をつけるためには、顧客を絞り込んで「先生の力が必要です!」と思っていただくことが大切です。
具体的な顧客の姿をイメージする
顧客を絞り込むことができたら、具体的な誰かを想像します。今までのお客様の中で、「○○さんみたいな方が来てくれればいいな」と思う人を一人決め、その人が悩みを抱えている状況を想像します。「自分にはこんなサービスを提供できます」というウリを言葉にしましょう。例えば、「はじめて会社を作ろうとしている20代の会社員」など具体的な顧客を絞り込んでみます。悩みを抱えている顧客の頭の中にある言葉を使うと、「それ、それ!」と共感を得ることができるのです。
ホームページの目的を明確に
ホームページ制作会社に高い制作費を払って、インパクトの強いホームページを作成しても、それだけでは何も伝わらないホームページになってしまいます。また、ホームページのデザインにこだわりすぎてしまうと、大手企業や公共機関と同じ雰囲気を出してします恐れがあります。「ここは何でも相談にのってくれそう」や「いつでも対応してくれそう」といった問い合わせが増え、依頼してもらいたい内容より高度な要求をさせることが生じてしますのです。そのため、大切なのは「中身」です。顧客を絞り込み、お客様の言葉で、見てくれる人がお土産を持って帰れるようなホームページを心がけましょう。
ホームページを目的ごとに分ける
「なんでもやるので、仕事をください。」ではなく、ホームページの目的を書き出して、掲載する内容(中身)を明確にします。相手にしっかり伝える技法として、PREP法を使うことをオススメします。
Point(結論)→ Reason(理由)→ Example(例)→ Point(結論)
文章を構成する4つの要素の頭文字をとったものです。はじめに結論をいい、次にその理由を述べます。さらに具体的な例を挙げることで、説得力のある話にすることができます。最後にもう一度結論で締めくくります。PREP法を使ってホームページの目的を書き出すと、次のように完結にまとめることができます。
「○○でお悩みの方は、私に相談してください。なぜならば、私は△△だからです。たとえば、××です。だから、私に連絡してください。」
もし、他にも目的が存在する場合は、目的ごとにコンテンツを分け、複数のホームページを作成するようにしましょう。
ホームページの一等地に大切な情報を
ホームページの目的が明確になったら、それをホームページの一等地に表示させます。一等地とは、スクロールせずに目に入ってくる部分です。ホームページ内のページをスクロールして続きを読むかは、一等地にかかっているのです。もし一等地に大切な情報がない場合、顧客獲得のチャンスを逃してしまう恐れがあります。また、サービスの品質にも影響し、無駄な問い合わせやクレームを増やすことにもつながってしまいます。
伝え方を変えるだけで、問い合わせが急増する
ホームページは、デザインも大切ですが、文書力も大切だということは何度もお伝えしてきました。ここでは、実際に文章の伝え方を変えただけで、どのように問い合わせが急増するのかについてご紹介します。
士業のホームページにありがちな悪文3パターン
【文字だらけの長文で読む気をなくさせる】
せっかく有益な情報が掲載されているにもかかわらず、専門用語を多用してしまい、長文になってしまうのをよく見かけます。それでは、読む気にならないのです。
【役所のわかりにくい文章をそのまま使ってしまう】
役所の文章をすぐ理解することができれば、士業に仕事は来ません。さらに、わかりにくいのは言葉づかいだけでなく、文章構造もわかりにくくなっています。知りたい情報が後回しになっている構造です。
【押し売り感】
たとえば、「雇用助成金は、社労士にしか代行できない」は確かなことですが、社長が申請すれば済む話なのです。そうではなく、自分がお客様に何を提供できるのかを具体的に書く必要があります。
問い合わせを急増させる改善例
悪い例:
助成金とは
「まず、助成金とはどのようなものでしょうか。
結論から言うと、申請すれば支給されるけれども、要件を満たせば自動的に受給できるものではありません。管轄の官庁に通い、計画や申請を受理してもらう必要があるのです。」
改善例:
助成金=「返さなくてもいいお金」を知っていますか?
「設立したばかりの会社に、低利でお金を貸し付けてくれる制度がありますが、所詮、借りたお金は返さなければいけません。返さなくてもいいのが助成金です。」
いかがでしょうか?
ほんの一例ですが、伝わりやすさが違うのが一目でわかります。士業の方々は、正確さにこだわってしまいがちです。そこはぐっとこらえ、素人目線で「問い」を立て、それに対する回答を書いていくと分かりやすい文章になります。
見やすさを重視する
先ほどの悪文パターンの一つにもあった通り、長文では分かりづらく、有益な情報が書かれていたとしても読んでもらえません。見やすければ理解することも、「読んでみよう」という気持ちになります。また、見やすさに配慮していることが好感をもたれ、得をすることもあります。
文章を見やすくするための2つのポイントをご紹介します。
- 図やイラストなど、一目で情報が伝わるようにする
- 行間にメリハリをつけ、チャンク(情報のかたまり)分けする
図やイラストなど、一目で情報が伝わるようにする
文章を読んで理解できなかったとしても、図やイラストを見ればすぐに理解できることがあります。イラストや写真を載せることで、文章に書かれていることのイメージを一瞬でつかむことができます。1ページあたり、最低1つは視覚に訴えかけるものを入れると良いでしょう。
行間にメリハリをつけ、チャンク(情報のかたまり)分けする
チャンクとは、情報のかたまりのことを示します。チャンクを感じさせるには、行間にメリハリをつけることが大切です。メリハリをつけるとは、一つ一つの情報のかたまりに間隔を設けたり、見出しと本文にも少しスペースを設けたりするということです。情報のかたまりが一目でわかるようになるので、試していただければと思います。
「伝えること」と「伝わっていること」を意識する
士業の先生方がホームページを作成する時の文章の書き方について、大切なポイントをご紹介させていただきました。
「伝えていることと、伝わっていることは違う」
文章に限らず、日常のコミュニケーションのなかで「伝わっていること」を意識する時間はどれだけあるでしょうか?「伝わっていること」を意識するためには、自分が一番伝えたいことを知っておく必要があるのです。まずは、自分が何を伝えたいのか書き出してみるところからスタートしましょう。なにが伝わるのか、どこが伝わっていないのかは、実践してみないとわかりません。日々研究をかさね、ご自身のパターンができることを願っています。
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