Last Updated on 更新日2021.3.12 by 川口 翔平
政府による「働き方改革」の推進により、副業や兼業を解禁する企業も増えています。会計士で副業を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
会計士が副業を行うイメージがない方もいらっしゃるかもしれませんが、実は副業がオススメな職業です。本業では経験できない仕事を通じて、スキルや知識を得られるだけでなく、幅広い人脈も得ることができます。
それらは本業で活きるだけでなく、独立開業や転職の際にも役立ちます。本記事では、会計士の副業にはどんなものがあるのか、副業する際のメリットと注意点は何かを解説します。
この記事の目次
会計士が副業を行う3つの目的とは?
会計士が副業をするイメージがない方もいらっしゃるかもしれませんが、本業では得られない幅広い経験を通じたスキルアップを期待して副業・兼業を許可している企業もあります。会計士の側からすると、目的は大きく3つに分かれます。
1つ目は、本業以外から収入を得ることによる収入アップです。最もわかりやすい目的ですね。
2つ目は、パラレルキャリアによるスキルアップや自己実現です。自身のスキルを活かしながらも本業とは異なる経験を得たいと思う方はこのような目的を持つのではないでしょうか。
3つ目は、独立開業や転職に向けた準備です。副業を活かして有利にキャリアチェンジをしたいと思う方が持つ目的です。
会計士の副業には後述するように様々な活動がありますので、副業を検討している方は、メリットと照らし合わせながら目的に合った副業を選ぶのが良いのではないでしょうか。
会計士が副業を行う4大メリット
では、会計士が副業を行うことによって何ができるのでしょうか。そのメリットを4項目に整理してみました。
1つ目は、現在の収入をアップすることができることです。閑散期などのスキマ時間を有効活用して収入を得ることができたら嬉しいですよね。
2つ目は、社外の人脈を得られることです。特に、将来独立開業を考えていらっしゃる会計士の方は、仕事を得るためのパイプが必要になります。副業を通じて社外のコミュニティーに顔を出すことで、本業だけでは得られない幅広い人脈を築くことができます。
3つ目は、本業だけでなく転職や独立に向けたスキルを身につけることができることです。いきなり転職や独立を目指すことが不安な方も、副業を通じて必要なスキルや経験を得ることで、準備を整えた状態でキャリアチェンジに臨むことが可能になります。
4つ目は、自分自身のブランド作りに役立つことです。例えば執筆や講演など、会社を飛び出して個人で仕事をすることで、自分の名前で仕事をする機会が増えます。すると、会計士としての自身のブランドを構築することができ、独立して仕事を得たい場合などにも集客に役立てることができます。
会計士にオススメの副業5選
ここからは、会計士のスキルや知識を活かすことができる副業を5つご紹介します。
執筆活動
会計士としての知識を活かして雑誌やWebサイトのコラム記事などの執筆を請け負うことは、副業として始めやすく人気です。
執筆活動であれば仕事の合間のスキマ時間でも取り組みやすいですね。誰にとっても分かりやすい文章を書く力がつき、記事によっては執筆者の名前も出るので自身のブランド作りにも役立ちます。人によってはビジネス書や専門書といった書籍の執筆に携わる機会を得ることもあり、ブログなどで会計士の受験テクニックや会計知識を発信し続けたことで、出版社から声がかかり書籍化されたケースもあるようです。
会計士の副業は、書くことが好きであればやりがいのある仕事だといえます。将来独立する際も、自身が執筆した書籍や記事があると名刺代わりとして活用できるメリットもあります。
予備校や大学での受験指導
予備校や大学における会計士資格取得の受験指導も副業の1つとして挙げられます。具体的には講師や採点といった業務があります。自身の会計士受験ノウハウや会計知識を活かすことができるとともに、大勢の前で話すことになるので、「分かりやすく人前で話す力」を身につけることもできます。また、人によっては教材の作成や書籍の執筆機会を得られる場合もあります。
開示書類のチェック業務
企業によっては、決算や監査に必要な計算書などの開示書類の作成業務について社内では手が回らず、書類チェックを外部委託する場合があります。書類を受け取ったら会計士は期限までに各自の裁量で書類の正確性や網羅性を確認し、フィードバックを行います。時間や場所を拘束されずに本業のスキマ時間で対応できるので、副業として始めやすい仕事だといえます。
中小事業者のバックオフィスサポート
知人が経営する会社や、個人事業主の知人の経理や税務申告の手伝いを頼まれることから副業をスタートする方もいらっしゃいます。小規模事業者や個人事業主はマンパワーが足りず、バックオフィスまで手が回らない場合が多いです。
そのような企業に経理などのバックオフィス業務のサポートや、バックオフィス業務自体のコンサルティングを行います。支援先の経営者から他の経営者を紹介してもらえるケースもあり、クライアントを増やすことで会計士としての独立に繋げる方もいます。
ベンチャー企業の社外CFO
さらに踏み込んで、副業で非上場企業の社外CFOとして経営に携わるという選択肢もあります。近年、会社経営における財務戦略の重要性が高まり、CFOを配置する会社が増えています。人を抱える体力はないものの、創業初期で資金調達が必要であったり、上場準備を進めたりしているベンチャー企業では、スポットで社外CFOを採用するケースが増えています。
具体的には、資金調達先や監査法人など社外関係者との調整や、必要書類の準備、財務整理などが仕事になります。会計士として将来的に本業でのCFOへの転職を考えている方は、まずは副業を通じて経験を積んでみてはいかがでしょうか。
副業を始める前に
では、会計士の資格やスキルを活かして副業を始めたいという方が気を付けておくべきことは何でしょうか。
1つ目は、本業で副業・兼業が許可されているか就業規則などでしっかり確認することです。副業を認める企業であっても、競合する業務は禁止とするケースがほとんどですので、副業は本業との利害関係を確認した上で引き受けましょう。
2つ目は、本業を疎かにしてはいけないということです。
3つ目は、仕事を引き受ける際は、本当に本業のスキマ時間だけで対応可能かどうかよく考えてから引き受けることです。
副業の場合は、会社ではなく個人の看板で仕事をすることになりますので、個人の信用はとても重要です。納期を守ることができるか、責任を果たすだけのパワーをかけられるかどうか、引き受ける前にきちんと見極めましょう。
まとめ
難関な試験を突破して得た会計士の資格ですから、有効に活用して人生を豊かにしたいですよね。副業・複業解禁の時代の流れもあり、会計士専門のジョブマッチングサイトも存在するなど、会計士が副業できる場はとても増えています。副業は、転職、独立、パラレルキャリアといったキャリアの選択の幅を広げ、より多くの収入を獲得する機会を得る有用な手段の1つです。一方、本業がある会計士の方は普段は忙しく、時間と体力は有限です。
副業や兼業が可能な企業に勤めている方は自身の目的が収入アップなのか、スキルアップなのか、独立準備なのか等を見定めたうえで目的に合った副業を見つけることを検討してみてはいかがでしょうか。
文:地引 智美(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部