Last Updated on 更新日2019.4.28 by 44@jyuku
「エステティシャンとは、お客様の半歩前を歩き続けることが大切なんです。」エステティシャンになったばかりの研修で学んだ言葉を20数年間実践されている塩川由美さん。
エステティシャンを目指したのは、自分自身がニキビに悩んだ経験からでした。その後、念願のエステティシャンになり、4年後に独立を果たします。
お客様により喜んでもらおうと東洋医学などの勉強を始めたものの、お客様の数は減ってしまいます。そんな中で出会った志師塾。塩川さんに、どんな変化をもたらしたのでしょうか。志師塾で学んだこと、今後の展望などを伺いました。
この記事の目次
エステティシャンを志す
塩川さんは小学生から高校生まで、ニキビ肌で悩んでいました。お世話になったサロンのおかげでニキビ肌が治り、自分自身の人生が大きく変わったと実感されました。そして、悩みのない肌によって人生がどんなに明るく楽しくなるかということを知りました。この経験をたくさんの人に伝え、悩みを改善していきたいと思うようになり、エステティシャンになろうと決心されます。
現在はエステティシャン兼オーナーとして、大阪でフェイシャル専門のサロンを経営されています。より高い作用、より高いお客様の満足度を求めて、創業当時から新しい機器の導入にも力を入れてきました。エステティシャンになって4年で独立し、20数年間、お客様の肌と向き合い続けてこられています。
伝わらないお客様への想い
塩川さんのサロンに通うお客様の多くは、施術後に次回の予約をされ、エステが習慣になっています。なかには、22年間毎週通うお客様もいて、施術を楽しみにしている方ばかりです。
そんなお客様のため、さまざまな角度から悩みを解決できるようになりたいと考えました。肌を見ただけで、体の状況、性格も把握することができるという20数年から得た統計を理論として落とし込みたいと思い、東洋医学に関する勉強会に参加していました。他にも、薬膳、カラーセラピーなど、肌や心、体を綺麗にするための知識を深めていきました。
しかし、対照的に減っていくお客様。喜んでもらうために、学んだ知識を伝えていましたが、お客様側にとっては以前と言うことが変わって考えがぶれていると受け取られていたようでした。
志師塾との出会い
そんなお客様減少の状況をなんとか変えたいと思っていたとき、志師塾に出会いました。志師塾の講座ではブランディングのため、改めて自分自身を見つめ直しました。異業種で仕事をされている参加者とディスカッションし、自分の考えに対して意見をもらうことで、より深く考えるきっかけとなります。
施術する自分自身の手、最先端機器の導入、聞き上手であること、という強みをもつ塩川さん。「肌を綺麗にしたいのか、癒しを与えたいのか、どちらなのか?」と聞かれた問いには、どちらも大切にしたいという想いが強く、自分のとんがった強みは何なのかについて卒業した今も向き合い続けています。
志師塾に通うことで、決心することも多くありました。ちょうどこの頃、検討していた最先端機器の購入を決めました。それに伴い、低迷していた売上も回復してきました。志師塾に行くと「決めた」ことで、迷いがなくなり、物事がうまく回り始めました。
エステティシャンであり続けるという決心
もうひとつ、志師塾に通って決心したことがあります。それは、「自分の手でお客様に輝きを与えるエステティシャンであり続ける」ということです。東洋医学など多分野について学んできたけれど、施術でお客様の肌を思った通りに綺麗に出来ている自分の手の力には自信がありました。「やっぱり私はエステティシャンなんだ。」という核が明確になりました。
また、お客様の悩みを聞いたうえで提案することが一番大事だと気づきました。今までは、肌に関することから東洋医学に関することなど、何でもできるという受け入れ態勢は整えていましたが、お客さんの悩みをしっかり把握して提案できていなかったことに気づきました。どの職種にも共通していえることですが、状況を把握し、原因を突きとめ、対策をするということがエステでも重要です。日常の話をすることで、気持ちを発散することを楽しみにしているお客様もいますが、エステティシャンとして、「今日のお肌の状況はどうですか」と訪問された際に都度確認することで、お客様自身が自分の肌と向き合う時間を作ることを大切にしています。
半歩前を歩き続ける
美容に関する勉強や最先端機器の情報収集など、常に前進し続ける塩川さん。そんな塩川さんにとってエステティシャンとは「半歩前を歩く女性」です。これは20数年前、エステティシャンになったばかりの研修で学んだ言葉でした。
1歩前だと遠すぎて、普段の何気ない悩みを話すことができない。半歩前というのは、身近ではあるが、憧れられる存在であるということを表しています。
「お客様はほんとうに尊敬します。ここに来てくださるという行動が綺麗になりたいという努力の表れだと思うんです。」お客様の努力に向き合うため、塩川さん自身も美への追求の努力は怠らない。20代から毎月美容院に通い続け、自分自身のケアに加え、施術を受ける側になることで、お客様の気持ちを理解するということを習慣にされています。
安心して任せられるエステティシャンはいますか?
エステで使用する化粧品に対してもこだわりぬいています。商品は誰から買うかが重要です。塩川さんは長野の農家から直接りんごを購入されています。この「顔が見える農家」のように相手の顔が分かり、信頼しているところからエステ用品を購入するようにしています。ほんとうに良いものは何かという判断は長い経験と継続したお付き合いによって磨かれています。
自分が肌で悩んでいたので、お客様の気持ちがよくわかる。気温や湿度によって扱いが異なる化粧品を手間がかかっても施術に使うのは、お客様にほんとうに良いものを提供し、綺麗になって欲しいという想いからです。
「塩川さんに施術してほしい」と安心して任せられるエステティシャンであり続けたいと思います。
夢は東京サロン
今後の描いている夢は、東京サロンを開業することです。以前から最先端の情報を収集するために、年に数回東京を訪問していました。東京に拠点を構えることで、最先端の情報に接する機会を増やし、より良いものを見つけて取り入れていきたいと思っています。現在経営している大阪のお店も大切にしたいので、週の数日を東京で過ごし、残りの数日を大阪で過ごすという生活を考えています。東京のお客様の悩みにも向き合っていけることを楽しみにしています。具体的なプランはこれからですが、10年以内に実現することを目指し、着実に取り組んでいきたいと思っています。
ほんとうのエステの価値を伝えたい
エステ業界に長年身を置いているので、エステ離れも実感しています。最近では、動画やWebの情報を参考に自分でお手入れをしたり、自宅でも手軽にお手入れができるエステ機器、肌の悩みを解決する化粧品などもあり、エステに通う人が少なくなっています。エステティシャンの仕事は今後なくなってしまうように思われるかもしれませんが、決して「なくなってはいけない仕事」だと感じています。「お肌は心の鏡、体の鏡」です。エステティシャンは肌を見て心の状況、体の状況を判断し、アドバイスができる仕事、人と関わり合うことで癒しを提供できる仕事です。
ほんとうのエステの価値を伝えていきたい、そして、その価値を提供出来る人材を育てていかないといけないと思っています。これは今後のエステ業界にとって大切なことだと考えています。
取材を終えて
今回の取材を通して、お客様に綺麗になって欲しいという想い、そのために自分自身も努力を怠らないというプロ意識の高さを実感しました。
また、献身的でサービス精神旺盛な塩川さんだからこそ、お客様も継続し、長年通い続けているのだと思います。お客様との会話からも親密度やお客様からの信頼度が伝わってきました。
肌の状態をしっかり分析して実施する施術、長年の経験を踏まえた確かな技術、聞き上手な相槌。お客様が長年「またここに来たい」と言われる気持ちが分かりました。
文:橋本幸恵(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部