税理士としての独立と成功を、7つの対立軸で考える

zeirishi

独立後の姿をリアルに描こう

想像してください。

目の前にはいま、あなたの事務所があります。

隣には誰がいますか?
オフィスはどこにあって、どんな広さ、雰囲気ですか?
そこであなたはどのような仕事をしているのでしょうか?

今の質問に対して、皆さんはどんな想像をしましたか?

「独立はしたいけど、普段忙しくしていて考える暇がなく、まだイメージを固められていないんだよな…」

そんな方がほとんどではないかと思います。

この記事では、そんなお忙しい皆さんに、税理士の独立に関する7つの対立軸を示すことで、記事を読んだ後には、皆さんが独立後のイメージを固めるためのヒントをご提供できればと思います。

7つの対立軸とは

ご紹介したい7つの対立軸は、次のとおりです。

① 自宅開業 or オフィス開業
② 大都市圏 or 地方
③ ホームページを作る or 作らない
④ 一人 or 共同事務所
⑤ オールマイティ型 or 専門特化型
⑥ 提携先を持つ or 持たない
⑦ 跡を継ぐor 継がない

では、早速①から⑦まで順番に見ていきましょう。

① 自宅開業 or オフィス開業

税理士の資格を取得すると、「自分の城を持つ」ということが、現実味を帯びてきます。努力に努力を重ねて税理士の資格を取得したあなたなら、「自分の城を持つ」ことについて、特別な思い入れがあるでしょう。

税理士にとっての商品仕入れとは、自分の頭脳、つまり、“知識と経験”だけです。そのため、税理士事務所は、他の業種と比べて開業資金がほとんどいらない特殊な業種です。

独立開業しようと思ったときに、一番に頭に思い浮かぶのは、自宅を職場とするのか、それともオフィスを借りてそこを職場とするのか、ということだと思います。

自宅開業のメリットで主なものは、

  • 今すぐにでも開業できる
  • 通勤時間が0分
  • 家賃がかからない
  • といったことが挙げられます。

    税理士事務所は会計ソフトとパソコンさえあれば自宅ですぐにでも開業できます。それから、通勤時間がなくなり、心身ともに余裕ができることもメリットです。また、賃料という固定費がかからないのは大きなメリットです。

    自宅開業の注意点としては、これまで自宅で開業する場合は、固定電話を持つ必要がありましたが、税理士会によっては、携帯電話での登録も認められるようになってきているようです。開業登録時は、ご自身の所属される税理士会に電話回線について確認してみてください。

    自宅が持家でない場合は、賃貸借契約で使用目的が「居住用のみ」と定められていないかどうか確認する必要があります。ただし、居住用のみとなっている場合でも、大家さんに交渉すれば、事務所として登録してもよいと許可してもらえるケースもあるようです。

    自宅開業のデメリットとしては、

  • 公私のメリハリをつけにくい
  • クライアントを自宅に呼べない
  • 自宅住所が名簿に載る
  • といったことが挙げられます。

    自宅と職場を兼ねるので、仕事とプライベートの境目がわからなくなるという人は少なからずいます。

    また、自宅を事務所用に改築する場合は問題ありませんが、そうでない場合は、基本的には客先に訪問することになります。

    特に女性の場合、自宅開業すると住所が名簿に載ってしまうので、自宅の住所を知られたくないという声もあります。その場合には、自宅開業は避けた方が無難でしょう。

    オフィス開業のメリット
    としては次のものがあります。

  • 公私のメリハリをつけることができる
  • クライアントを事務所に呼びやすい
  • 固定費分を回収しなければとモチベーションになる
  • 自宅開業の場合、仕事を辞めたということ以外あまり変化がなく、集客できずに再び勤務税理士となったという税理士もいます。固定費を負担するのは覚悟がいりますので、それがかえってモチベーションとなり、成功を収める税理士もいます。

    オフィス開業のデメリットとしては、

  • 事務所を探すのが手間
  • 固定費がかかるので自宅開業よりリスクが高い
  • といったものが挙げられます。

    ただし、オフィス開業の場合、仲間の税理士とシェアオフィスというパターンもあります。
    シェアオフィスネットワーク

    ② 大都市圏 or 地方

    開業する場合、どこの地域で開業するかもポイントとなります。ここでは、成功例と失敗例を見ながら、どちらがご自身に合いそうか、イメージしてみてください。

    ■成功例
    ・Aさんは、東京の大手税理士法人で7年間勤務したのち、両親の介護のため実家に戻り開業した。東京では当たり前のようにやっていたことを話すだけで、「こんな話ははじめて聞いた!」、「さすが東京で税理士をやっていただけあるね!」と、ありがたがってもらえる。

    ■失敗例
    ・Bさんは大都市圏で自宅開業した。都市圏だと顧客は多いと思い大都市圏で開業する決意をしたが、その分競争も激しい。さらに、情報が溢れていて、求められるレベルが高いうえに価格競争になっている。クライアントを思うように集められず勤務税理士に戻ろうか悩んでいる。

    上記のAさんとBさんの成功例と失敗例は、あくまでも一例にすぎません。大都市圏であっても成功している税理士はいますし、地方でクライアントがどんどん廃業していき、厳しいという税理士事務所もあります。

    大都市圏では、クライアントはたくさんいますが、それだけ競争が激しく、経営者が持っている情報も多いので、差別化が難しいです。

    それに対して地方では、圧倒的に情報が不足しており、人材不足も手伝って、一通りの知識と経験があれば、重宝されやすいです。ただし、地域によっては会社数が減少しており、営業をかけるにも限界があるというデメリットがあります。

    要は、大都市圏であってもそれ以外の地域であっても、それぞれの特徴を把握したうえで、どちらの道を進む方が自分に合っているかを考えることが重要となってきます。

    ③ ホームページを作る or 作らない

    こちらのタイトルを見て、ホームページは作成した方がいいに決まっているのでは?と思った方も多いと思います。ですが、必ずしもそうとは限りません。ホームページの作成についても、成功例と失敗例を見ていきましょう。

    ■成功例
    ・Cさんはある音楽アーティストの熱狂的なファン。そのことを税理士事務所のホームページで宣言した。すると、同じくその音楽アーティストファンである経営者からの依頼が殺到し、訪問時はその話で盛り上がり、信頼関係も出来て良いことだらけで驚いている。

    ・Dさんは資格学校で教師をしている有名講師。なので、ホームページはあえて作っていない。クライアントは全員紹介でのみ引き受けることにしており、年々増えるばかり。ホームページを作成すると、クライアントが殺到してさばききれなくなるので、このやり方が最も良いと思っている。

    ■失敗例
    ・Eさんは、ホームページの作成にお金をかけた。だが、今のところ一件もホームページ経由での問い合わせは来ておらず、維持費の支払いに頭を悩ませている。

    このように、ホームページを作ることが直ちに集客につながるかというと、必ずしもそうではないことがお分かりいただけたでしょうか。お金をかけてホームページを作成したにもかかわらず、それを活かしきれていない税理士事務所は実際に多いと思われます。

    そんな中で、ホームページで成功している税理士事務所にはある共通点があります。それは、

    「他の事務所にはない“尖った魅力”を訴求できているか」

    ということです。Cさんは、無意識のうちに音楽アーティストのファンであることを、その事務所のアピールポイントとして発信していました。税理士とは全く違う切り口ですが、それがその事務所の特色となり、集客ができた好事例といえます。

    また、あえてホームページを作らないというのも戦略の1つです。税理士事務所に限った話ではありませんが、顧問先の獲得方法で最も理想なのは、口コミや紹介です。

    実際に顧問先が友人の経営者に、

    「私の顧問の先生は、何でも親身に相談に乗ってくれて、よくしてくれているよ」
    とおすすめされたら、

    「そっかぁ~、今の先生はあまり相談に乗ってくれないんだよね。うちもその先生に頼もうかな」

    となりますよね。

    それには必ずしもホームページは必要ではありません。

    集客の方法は他にもあり、

  • 書籍の執筆、専門誌への寄稿
  • セミナー
  • 税理士事務所以外の事業からの集客

  • などが考えられ、その場合あえてホームページを作成していない税理士もいます。

  • ホームページは本当に必要なのか?
  • 必要でない理由は何か?/必要だと思った理由は何か?
  • 作成するとしたら、どんな人がターゲットで、どのようなメッセージを発信するか?
  • 作成しない場合の集客方法はどうするのか?

  • について、ご自身の戦略としてどうするのがよいか、一度立ち止まって考えてみてください。
    考える人

    ④ 一人 or 共同事務所

    税理士事務所を開業する時に考えるのが、一人でやるのか?それとも、誰かと一緒にやるのか?ということです。

    ■成功例
    ・FさんはGさんと一緒に共同事務所を立ち上げることにした。それぞれ独立した税理士だが、同じ事務所で登録をしている。家賃や水道光熱費、コピー代など按分しており完全に独立採算制をとっている。しかし、一人では難しい案件はチェックを相互にお願いしたり、自分の専門でない税目は紹介したりといい関係を築けており、事務所が拡大してきた。

    ■失敗例
    ・HさんとIさんは一緒に一つの税理士事務所を開業した。売り上げや経費はすべて折半にするというルールを決めた。しばらくすると、Hさんがクライアントを集める営業担当で、Iさんは事務所内で申告を作成するなどの社内業務担当という役割分担が自然にできた。すると、Hさんが「仕事がこれだけ増えたのは、自分が外回りしてクライアントを連れてきているからだ」として、売上が折半では納得がいかないと主張するようになった。Iさんは、「Hさんが営業できるのは自分が事務所で作業系のことをこなしているからだ」と不満に感じるようになった。

    上記の成功事例と失敗事例は、いずれも共同事務所でうまくいったケースと、うまくいかなかったケースです。誰かと一緒に開業する場合は、最終的にお金のことでもめるケースが多々見受けられます。それぞれが独立した事務所として、事務所の費用負担だけ一緒という方がうまくいくケースが多いようです。

    一人で開業する場合のメリットは、

  • 決定権はすべて自分にあり自由
  • 人件費の負担がない
  • といったことが挙げられます。

    独立採算で共同事務所を借りるにしても、複合機の種類でもめて、再スタートとなったという話もあります。細かいところですが、一人であれば、そういったこともありません。

    一人開業のデメリットとしては、

  • チェック機能が不十分になりがち
  • 相談できる人がいない
  • 将来的に「お山の大将」になりやすい
  • というものがあります。

    こちらも、それぞれのメリットデメリットを把握したうえで、どちらの方がご自身のタイプに合うのか、考えてみてください。

    ⑤ オールマイティ型 or 専門特化型

    第2回の会計甲子園で、パン屋専門税理士が優勝したことはご存知の方が多いのではないでしょうか(会計甲子園Webページ:http://k-koushien.org/)。そのほかにも、資産税専門、美容関係専門、病院・歯医者専門といった、専門特化型の税理士事務所が増えています。

    専門特化型の事務所のメリットは、

  • 全国に顧問先ができる可能性がある
  • 同様の案件を数多くこなすことでよりその分野に強くなる
  • ということが挙げられます。
    ただし、デメリットとしては、

  • 業界専門特化型の場合その業界と運命共同体となる
  • ことが考えられ、業界の衰退とともに税理士事務所が傾く可能性も否定できません。

    そのような専門特化型の事務所か、法人税から相続税の申告まで、幅広く仕事を受けるオールマイティ型の事務所にするのかということも、あらかじめ検討しておく必要があります。

    これまでは、完全なるオールマイティ型か、はじめはオールマイティ型でどんな仕事でも受け、軌道に乗ってきたら専門特化型に次第にシフトしていくパターンが多かったように思います。

    ですが、これから独立する方は、AIと税理士の関りについても、考えておく必要があると思います。

  • AIに取って代わられる税理士業務は何か?
  • AIにはできない税理士業務は何か?

  • これらの問いについて考えることは、これから独立する方には避けて通れないことでしょう。その延長線上で、オールマイティ型にするのがよいか、専門特化型にするほうがよいか、検討してみてください。

    ⑥ 提携先を持つ or 持たない

    税理士事務所は、保険会社、金融機関、会計ソフト会社などと提携しているケースが数多くあります。

    提携先を持つ場合のメリットとしては、

  • クライアントを紹介してもらえる
  • 保険が売れた場合など、手数料が入る
  • ということが挙げられます。特に、顧問先を紹介してもらえることは大きなメリットであり、提携先からクライアントが自動的に流れてくるような仕組みがある事務所は、集客の観点からは成功しているといえるでしょう。

    ただし、提携先を持つ場合のデメリットとして、

  • 提携先の意向を常に気にする必要がある
  • ということがあります。

    どういうことかというと、提携先が「売りたい商品」を売る必要があるため、提案内容に制限があることもしばしばです。その提案が、必ずしもクライアントにとってベストな提案といえないケースも出てくるかもしれません。しかし、クライアントを紹介してもらう以上は、提携先の意向に従う必要があります。そういったジレンマに悩まされることを想定しておく必要があります。うまく割り切りができる人にとっては、提携先はあった方がいいと思います。
    dokuritu、success

    ⑦ 後を継ぐor 継がない

    親が税理士事務所を経営しており、後を継ぐケースもありますが、血がつながっていない人が事務所を引き継ぐケースも後を継ぐケースに含めます。

    後を継ぐケースのメリットは、

  • 集客の必要がなく、クライアントも安心
  • 事務所のインフラが整っている
  • ということに尽きます。後継者不足に悩まされているのは、税理士事務所業界も同じですので、親族外承継も多くなりつつあります。

    これに対して、あえて後を継がないということも、実は選択肢となり得ます。なぜなら、
    後を継ぐことのデメリットとして、

  • 自分のやり方に変えるのが難しい
  • クライアントを減らすことができない
  • ということがあるからです。クライアントを減らせない、というのは、たとえば、費用対効果がよくないクライアントでも、先祖代々付き合ってきたクライアントであると、断るにも断れないというケースがあるということです。

    親の税理士事務所を引き継ぐ場合は、こういったことに留意する必要があります。

    7つの対立軸からわかること

    このように、7つの対立軸をみてきてもうお気づきのことと思いますが、基本的に、どちらが良い悪いということはありません。

    ここでまた、質問があります。

  • 税理士としてのあなたの強みと弱みは何ですか?
  • さらに、それらをどのように生かして独立しますか?
  • どのようことが達成できれば、その独立が成功したと言えますか?

  • まずはご自身の強みと弱みを分析されたうえで、自分にとって対立軸のうち、どちらがしっくりくるか、1つずつ選択してみてください。

    そして、税理士としての成功の定義は、人それぞれです。自分にとっての成功の定義がわからないまま独立すると、ゴールがわからないまま闇雲に走り出したランナーのような状態になってしまいます。

    ご自身の強みを生かして成功するためには、ご紹介した対立軸のどちらを採用する方がいいのか。ゆっくりでいいので、お考えいただければと思います。

    この記事が、皆さまの税理士としての独立が成功するために少しでもお役に立てば幸いです。

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