意識していますか?士業のマーケティングにおける「商品・サービスの3つの段階」

Last Updated on 更新日2019.5.10 by 44@jyuku

「業界のことは知っており、ターゲットも決まっている。自分の強みも棚卸している。高品質の商品・サービスもある…でも、なぜか顧客がついてこない」
「顧客は集まるが、本当に買ってほしい商品・サービスの購入に繋げられない」
士業の先生には、上記のようなお悩みをお持ちの方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では実例を交えながら、士業のマーケティングに活かせる「商品・サービスの3つの段階」についてご紹介していきます。あなたの受注・売上アップに繋げるヒントとしてお読みください。

人はどうやって購買行動に向かうのか?

どのようにあなたの商品・サービスを売るかを考える前に、まず「人はどうやって購買行動に向かうのか?」という問いから、全体像を俯瞰していきましょう。
社会心理学の名著『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』(ロバート・B・チャルディーニ著、誠信書房)によると、人々が(無意識的に)動かされてしまう要因には、いくつかのスイッチ=「影響力」が存在するとして、以下6つの「影響力」が事例分析をもとに解き明かされています。

①返報性(恩義を受けたら、お返しをしないと気持ち悪い)
②コミットメントと一貫性(自分で宣言したものには筋を通していたい)
③社会的証明(人は行列を見て列に並ぶ。何の列かは気にしていない)
④好意(好きな人、尊敬している人からは何でも、何度も買ってしまう)
⑤権威(ブランドや専門家を盲目的に信仰してしまう)
⑥希少性(限定タイムセール、○○でしか買えない、に魅力を感じる)

これらの影響力が意味していることは、「人の購買行動には、通常はなんらかの心理的な抵抗感が伴う」ということです。よって、抵抗感を減らすための「影響力」を商品・サービスに組み込むことで、お客様はスムーズに購買行動に向かうことができるようになります。

士業における商品・サービスの3つの段階

人の購買行動には心理的な抵抗感が伴い、その軽減のための「影響力」があることを俯瞰してきました。次に、士業における具体的な「商品・サービス」の打ち出し方を考えていきましょう。
 マーケティング戦略論の名著である『図解 実戦マーケティング戦略』(佐藤義典著、日本能率協会マネジメントセンター)によれば、商品・サービスには「3つの段階・役割」があります。
第一段階が、「あげる商品」、第二段階が、「売れる商品」、そして第三段階が「売りたい商品」です。これらの効果的な組み合わせを設計することが、お客様をスムーズな購買行動に導くための重要なポイントです。以下の段落では、各段階の具体的な内容に触れていきましょう。

あげる商品

「あげる商品」つまり無料で提供する商品は、お客様にその商品・サービスを「試してもらい、慣れてもらい、信頼してもらう」ためのものです。
 士業においては、例えば無料メルマガ、SNS、ブログ記事などでの情報発信、無料開催のセミナーや相談会、診断サービスなどが「あげる商品」にあたります。この段階では、お客様のメールアドレスや属性情報を把握するとともに「後続の商品群購入への心理的ハードルを下げられるよう、お客様を教育する」という効果を狙っています。
 商品としての儲けを生み出すものではないので、費用を低く押さえつつ、集客に繋げられるようにするための動線設計が非常に重要です。
 「あげる商品」は別名「ドアノック」とも言われ、『影響力の武器』でいうと①返報性や③社会的証明などと関連しています。

売れる商品

「売れる商品」つまり売りやすい商品、お客様がぜひ買いたいと思う商品は、「お客様にとって買いやすい価格・心理的ハードルで提供することで、顧客層を広げる」ためのものです。
 士業においては、例えば有料メルマガ、書籍、有料の初心者向けセミナーなどがこれにあたります。この段階では、「実際に商品・サービスを購入頂いたお客様の満足度とお気に入り度を高め、更に後続の商品群の購入に繋げていただく」という流れを意識します。
 商品としての儲けは少ないかもしれませんが、ここでご満足頂いたお客様は、長期顧客、ひいてはあなたの「ファン」になっていただける可能性があります。
「売れる商品」は別名「フロントエンド」とも言われ、『影響力の武器』でいうと①返報性や⑤権威、そして⑥希少性などと関連しています。

売りたい商品

「売りたい商品」つまりあなたの利益を稼ぐ商品です。通常の場合、高価格・高利益率の商品です。裏を返せば「お客様にとっては買いにくい価格帯」であることが多く、「あげる商品、売れる商品を駆使して心理的なハードルを低くし、あなたへの信頼を高めること」によって、購買行動に繋げるようにします。
 士業においては、例えば高額のコンサルティングや上位レベルのセミナー・研修、あるいは長期の顧問契約などにあたります。
 「売りたい商品」は別名「バックエンド」とも言われ、この段階になると『影響力の武器』では②コミットメントと一貫性、④好意などと関連しています。

あなたの商品・サービスは戦略的に揃っていますか?

ここまで見て頂ければお気づきのように、「売りたい商品」にスムーズにお客様を誘導するためには、各段階の商品・サービスのラインナップを設計し、「あげる商品→売れる商品→売りたい商品」という流れを作ることが重要になります。
 特に士業の先生の場合、「値決めはお客様の話を聞いてから…」ということで、ホームページなどにサービス紹介や価格表を明記しないケースがよくあります。もしあなたがすでに大量の紹介を受けられるようなネットワークがあるのでしたら話は別ですが、そうではない場合、以下のように商品・サービスを設計することをお勧めします。

①横軸に、「あげる商品→売れる商品→売りたい商品」と書きます。
②縦軸に、「認知→興味→購買→利用→ファン」と書きます。
③そこにあなたの商品・サービスを置いていきます。

すると、どの段階でどのような売り物が必要なのか、実店舗やWebなど、時間・場所の制約があるのか、縦横軸のスムーズな遷移にはどのような影響力を使う必要があるのか、各商品・サービスにあなたの限られた時間をどのように配置していくのか、値決めは適切なのか…などが可視化されていきます。ここまでが見えれば、士業のマーケティング活動は一歩前に踏み出したと言えるでしょう。

いかがでしたでしょうか。本記事では、まず①「人はどうやって購買行動に向かうのか?」を『影響力の武器』をもとにご説明しました。更に、②士業における商品・サービスには「あげる商品→売れる商品→売りたい商品」という3つの段階があることをお伝えしました。そして、③商品・サービスを「戦略的に揃える」ことがお客様の抵抗感を薄め、スムーズな購買に繋がることをお伝えしてきました。
あなたの商品・サービスは3つの段階に基づき、戦略的に揃っているでしょうか?もしどこかでお客様がつまずきそうなポイントがあれば、そこが品揃えを見直すポイントになるかもしれません。本記事が、先生方の更なる受注・売上アップのための一助になれば幸いです。

文:北村 和久(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部

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