副業を考えたときに役立つ資格とは

Last Updated on 更新日2021.2.10 by 川口 翔平

政府による「働き方改革」の推進により、副業や兼業を禁止していた企業が徐々に解禁され始めています。

一方で、これまで企業勤めしか経験のない人にとって、突如「副業してもいいですよ」と言われても、どうやって仕事を受注すればいいのか、そもそも自分には仕事がもらえるだけの価値があるのか、そういった不安を抱える人が一定数存在します。

そのような不安を抱える人が解決策として真っ先に思い浮かぶことが「副業のために資格を取得すること」だと思います。

そこで本稿では、副業のための資格取得は有効なのか、また副業に向いている資格は何なのか、副業を始める際の注意点も交え述べていきます。

副業における資格の価値とは

副業しようと思ったときに、何か資格を持っているほうが役に立つんじゃないか、そう思われる方が多いのではないでしょうか。どのような資格が有効なのかを述べる前に、まずは副業をする上で「資格」はどのような価値をもたらすのか、一度立ち止まって考えてみたいと思います。

自分ブランドが高まる

企業勤めの場合、「〇〇株式会社の△△さん」といったような肩書きがつきます。役職に就かれている場合はなおさらですね。一部を除き、取引先は「〇〇株式会社の△△さん」であるからこそ仕事を依頼します。なぜなら、「〇〇株式会社」の事業内容を理解し、仕事の品質を把握しているからです。

一方、副業の場合はどうでしょうか。よほど旧知の仲である場合を除き、「△△さん」がどのようなことを得意とし、相手にどんな便益をもたらしてくれるのかが分かりません。有形なものを販売するのであれば別ですが、サービスやノウハウなど、無形なものを提供する場合において、「△△さん」ができることや得意とすることを証明するものが必要となります。

そこで生きるのが、「資格」です。例えば、「ファイナンシャルプランニング技能士の△△さん」であれば、マイホームや子どもの教育、老後のためのお金に関することについてアドバイスしてもらえそうですし、「フォトマスター検定1級の△△さん」であれば、HPや名刺に載せるプロフィール写真を上手に撮ってくれそうです。

このように、副業をする上で「こんなことができます」を表現する方法の一つとして「資格」が有効なのです。

会社依存からの脱却

企業に勤めている場合、特定の業種を除き、何か資格がないと仕事ができないという状況にある人は少ないのではないでしょうか。会社勤めを通じて身に着けた知識や経験があれば、「勤めている会社で働く限り」突然仕事がなくなったりすることは稀なケースです。

しかし、副業だとどうでしょう。副業では途端に「会社」という後ろ盾がなくなります。この強大な後ろ盾がなくても、生きていける・食べていける・仕事ができるというスキルを身につけるきっかけとなるものが「資格」です。取得した資格を活かすことがいわゆる「セカンドキャリア」つまり第二の収入源に繋がるというわけです。

今の時代、終身雇用という神話は崩れ始め、一生を会社が守ってくれる時代は終焉を迎えようとしています。自分の身を自分で守るためにも、資格を活かした稼ぎ方を身に付け、会社依存から脱却する必要があると言えます。

でも、資格をとっただけでは稼げない

では、資格を取ったら稼げるのでしょうか。答えはノーです。資格を取っただけでは、副業で稼げるとは言えません。仮に資格独占のある医師や弁護士が、医師としての経験や技術、あるいは弁護士としての実務経験が全くないとしてとして、稼げるでしょうか。

つまり、資格=稼げるではないのです。先ほども述べたように、資格はあくまで「△△さんはこんなことができます」を表現するものであり、当然資格と合わせその中身が伴っていなければなりません。資格はあくまでもキャリアを補強する武器であるわけです。

目的はスキルアップなのか、看板なのか、許認可なのか

さらに別の角度から「資格」を考えてみます。例えば、これまでの企業勤めで経理の仕事をしてきたとします。更にレベルの高い仕事をしたいと考え簿記1級を取ることは、「スキルアップのための資格」と言えます。

一方、先ほどと同じく経理の仕事をしており、業務においてすでにかなりレベルの高い仕事をこなせるとします。しかし、そのことを外部の人に伝えたいと考え簿記1を取ることは、「看板づくりのための資格」と言えます。

もう一方で、今度はこれまでの経理の経験を活かし、企業の税務面のお手伝いができる仕事をしたいと考え、簿記1級および税理士資格を取得することは、「許認可を得るための資格」と言えます。

つまり、副業で稼ぐことを目的とした場合に、資格を取得するという手段が直結するのではなく、その間にある「どうやったら稼げるのか」をしっかりと考え、そのための手段として資格を取得する必要がある、ということです。

このように、一言で「資格」といっても取得する目的によりその価値も変わります。資格を取るためには相応の努力と時間を要するため、なるべく価値を高めるためにも「副業のためになぜその資格が必要なのか」をじっくりと考えてから取り組むことが大切です。

副業に最適な資格とは

それでは具体的に、副業に最適な資格とはどんなものがあるかをご紹介したいと思います。ただ先にも述べたように、これからご紹介する資格がすべての人の副業に向いているのではなく、これまでの経験やスキルに応じて副業に向いている資格は変わるのでご注意くださいね。

前提として

なお、以後ご紹介する資格は「副業」を前提としています。ですので、資格取得までに膨大な時間を要する「司法試験」や、準じて難易度の高い国家資格の大部分は除いています。また、特定の仕事に特化しているような資格、例えば「医師国家試験」のような資格も除いています。

副業に適した資格リスト

本業との親和性の高い資格 行政書士・社会保険労務士

企業勤めでのキャリアを活かす、もしくはキャリアを証明するための資格として適している資格があります。例えば総務部や法務部など、社内の各種書類管理や行政の許認可書類、企業法務や契約書のチェックの業務をされている場合、「行政書士」という資格が向いているかもしれません。

なぜなら「行政書士」は契約書の作成代行や官公署への書類申請といった業務を主とするからです。飲食店を始めたい、建設業を開業したい、契約書をチェックしてもらいたい、こういった要望に応えることができる資格が「行政書士」です。

また、例えば人事部で労務管理などの業務をされている場合は、「社会保険労務士」という資格が向いているかもしれません。「社会保険労務士」は人材に関する専門家であり、採用から退職までの労働・社会保険に関する諸問題に加えて年金の相談にも応じるなど、幅広い業務を行います。

企業勤めでの業務と非常に関連性が高いため、資格取得の際も抵抗なく勉強ができるかもしれませんね。

FP技能士は2つの意味で稼げる

「ファイナンシャルプランニング技能士(FP技能士)」という資格をご存じでしょうか。顧客の資産に応じた貯蓄・投資等のプランの立案・相談の技能を認定する資格なのですが、この資格には2つの「稼げる」理由があります。

1つは「ファイナンシャルプランナー」として住居・教育・老後など将来のライフプランニングに即した資金計画やアドバイスを行うことができることです。

そしてもう1つは「自分自身のお金(貯金)に興味を持つようになる」ことです。

資格を取得する際には任意の人のライフプランを作成する作業を行うことになりますが、身に付いた作成スキルを活かして「自分自身のライフプラン」を作成してみたくなります。そうすると、何歳までにいくら貯めないといけないか、どれだけの稼ぎが必要か、これまで考えていなかった「お金」に関することが次々と気になってくるのです。

結果、支出が抑えられ貯蓄に回すお金が増えることで結果的に「稼げる(お金が貯まる)」というわけです。

副業する上で必須 PC操作のためにMOS検定

今やPCは仕事をする上でなくてはならない存在です。ましてや副業となれば、業務終了後の移動中やカフェなどスキマ時間を活用して行うこともあり、効率的にPC作業を行う必要があります。

副業におけるPC操作の最低限のスキルを身に付けるために「MOS検定」を受けることは有用だと言えます。「MOS検定」とはWord、Excel、PowerPointなど、仕事で使わない日はないといっても過言ではないこれらソフトの利用スキルを証明する資格です。

スキマ時間を有効に活用するためにも、PC操作が得意になっていることは重要と言えますよね。

営業経験を見えるカタチに コミュニケーション検定

法務や労務といった専門的な業務に就いている場合は、「私は〇〇をやっていました!」といいやすいかもしれません。一方で営業職である場合、この〇〇を説明することが非常に難しいのではないでしょうか。

営業職というとセールスやルート回りといったイメージを持つ人もおり、聞く人によってその捉え方は様々だと言えます。しかしながら、「トップ営業マン」や「社長賞」など、営業を経験されてきた人の中には、類稀なスキルを身に付け会社の売上を支えている方もいらっしゃいます。

営業職のスキルとは何か。それはやはり「コミュニケーション能力」ではないでしょうか。コミュニケーションに関する基本的な知識や場面に応じた状況対応力を客観的に測定する検定が「コミュニケーション検定」です。

社内で表彰された経験がなくても、この「コミュニケーション検定」を持つ営業マンであれば、顧客の困りごとを円滑に解決してくれるのでは、そんな期待が持てますね。

副業を始める前に

これまで「副業で稼ぐ」ことを前提に資格の紹介をしてきました。ただし大前提として、お勤めの会社で副業が就業規則に抵触しないかどうかをしっかりと確認して下さいね。

そして、副業にいそしむあまり本業をおろそかにしないことも重要です。副業の収入が上がったのにも関わらず本業での評価が下がり給与がダウンとなれば、元も子もないですよね。

あと最後に一つ。副業で一定以上稼いだ場合は納税もきっちり行いましょう。納税は国民の義務ですから。

まとめ

資格が単なる「飾り」とならないためにも、目的をもって資格を取得することが大切です。目的をもって得た資格は、これまでのキャリアを具現化するツールになったり、スキルの幅をアピールする証になったり、その資格を持つ人しかできない仕事をする際の通行手形となります。

ご自身に相応しい資格を取得し、本業以外の第2の柱をスムーズに築いていただければと思います。

文:花岡貴志(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部

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