カウンセラーとして独立は可能か?

カウンセラーというとどういうイメージをお持ちでしょうか。「カウンセラー」×「求人」というキーワードで検索すると、ブライダルカウンセラー、ビューティーカウンセラー、留学カウンセラーなどとたくさんの職種がヒットします。「カウンセラー」という呼称の使い方は自由であり、ましてや名称独占資格でもないので、職種名としても用いられやすく、誰もがカウンセラーと名乗ることに制限はありません。「カウンセラーになって悩んでいる人の気持ちに寄り添いたい」、「自分が苦しい経験をしたので、それを活かして苦しんでいる人の役に立ちたい」「カウンセラーとして自由な時間で働きたい」と考える方は多く、カウンセラーは人気の職業の一つとなっています。また、独立を考えている方が多い職種でもあるといえるでしょう。そこで、本稿ではクライエント(*)視点から、カウンセラーとしての独立の可能性について現実的に述べていきます。
*カウンセリングなどの心理療法を受ける人を指す

クライエント視点から見たカウンセラーの選び方

あなたが何か悩みを抱え、カウンセラーに相談したいと思ったとします。そんな時、どのようにカウンセラーを探しますか。「知人に信頼できる人を紹介してもらう」「インターネットで検索する」など、いろいろな方法があるでしょう。ちなみに、Googleで「心理相談」と検索すると、検索候補の一番上に「心理相談 電話 無料」と挙がってきます。クライエントには、無料で質のよいカウンセリングを手軽に受けられるなら、それに越したことはないと思っている人が多くいるのです。
今は公的機関でも臨床心理士を配置しているところが多く、無料で心理相談を受けることができます。メンタルクリニックでも回数に制限はあるものの、認知行動療法を保険適用で受けることができるところもあります。また、たいていの大学では、心理相談室を設置し、希望する学生に対して心理相談を実施しています。
ただし、無料でカウンセリングを受けられるところは、予約が取りにくかったり、利用方法に制限があったりと、公益性を重視するあまり、利便性は高くありません。
では、あえて有料でカウンセリングを受けたいという人は、何を基準にカウンセラーを選ぶのでしょうか。料金や場所以外の基準としては、おおむね以下の点が挙げられます。カウンセラーのプロフィールを確認することなく、有料で依頼をすることはまずありません。

・自分の相談したい分野についての豊富な知識とカウンセリング経験
・心理相談の場合は、一定の認知度を持つ関連資格を持っているかどうか
・実際にカウンセリングを受けた人の評判

有資格カウンセラーの現状について

先に述べたとおり、カウンセラーと一口に言っても分野は様々です。大きく分けると、大学院等で所定のカリキュラムを学び、心の問題を扱うカウンセラーと、自分自身の経験やカウンセリングスキルを活かしてそれ以外の分野を扱うカウンセラーがあります。
心の問題に取り組む心理専門職としての証となる資格に「臨床心理士」があります。臨床心理士になるには、指定大学院や専門職大学院等を修了後、受験資格を得て、資格試験に合格する必要があります。合格率は60%台で推移していますが、受験資格取得までのハードルはかなり高いです。にもかかわらず、臨床心理士で独立開業している人は決して多くありません。自分の専門分野の関連施設(病院や学校、公的機関など)に勤務したり、クリニックや学校など、いくつかの非常勤の仕事を掛け持ちして、自由度の高い働き方をしている人もいます。
カウンセリング関連の資格には、他に、産業カウンセラーや、キャリアコンサルタントなどがあり、資格取得のハードルは比較的低いですが、資格取得後に独立している人は少ないのが実情です。

「独立」をどうとらえるか

ただし、「独立」をどう定義づけるかで見方が変わってきます。たとえば、キャリアコンサルタントの場合、自分でカウンセリングルームを開設している人の割合はかなり少ないですが、個人事業主として、いくつかの団体や行政、大学等と業務委託契約を結び、学生の就職相談業務(この場合はほとんどが季節労働)や、セミナー/研修講師、資格受験生支援など、何足もの草鞋を履きながら、精力的に活動している人もいます。
いずれにせよ、有資格者であっても独立後、有料カウンセリングだけで一定の収入を得ていくのはなかなか難しいのが現状です。しかし、講師などいくつかの業務に取り組むことで、収入アップだけではなく、専門知識やネットワークが広がり、相談業務との相乗効果が期待できます。

経験をどのように積んでいくか(未経験者の場合)

有料でカウンセリングの依頼を受けるためには、まずその分野での専門知識とカウンセリング経験が必要と言えるでしょう。未経験の方に、お金を払ってカウンセリングをお願いすることはなかなか考えづらいものです。すでに十分に経験がある方はこの部分は必要ありませんが、未経験の方は、どのように経験を積んだらよいのでしょうか。
資格認定団体では、ボランティアを含めて経験の場を提供しているところが多くあります。ボランティアであろうと経験は経験。最初は誰しも未経験、0から1にするためには、そのような機会を積極的に活用していくとよいでしょう。
独立前に、相談業務の勤務経験を積むことも効果的です。一般的に病院や行政、大学などの心理相談は、ほとんどが臨床心理士を応募要件にしていますが、稀に産業カウンセラーや精神保健福祉士でも応募できるところがあります。また、キャリア相談業務への応募の場合、キャリアコンサルタント資格なしには応募できない求人がほとんどであり、経験を積むには、まず資格取得からというのが実情です。しかも、キャリアコンサルタントの有資格者は年々増加しており、未経験では相談業務に就くのさえ難しくなってきています。(国家資格キャリアコンサルタント登録者数 2018年9月末現在37,863名)

ただし、独立したい分野によっては事情が異なります。たとえば、離婚カウンセラーなどは、勤務して経験を積む場はほとんどないので、自分のネットワークを用いた知人からの相談経験などを実績としている方もいるでしょう。今は「ココナラ」など、手軽に利用できるスキルマッチングサービスなども充実していますので、そのようなサービスを活用して実績を積んでいく方法もあります。

資格にこだわらずに活躍している方々

世の中には、臨床心理士資格を有していなくても、海外の大学院などで特定の流派や技法を深く学んだ後、心理専門家として、日々カウンセリング技術を高め、クライエントの信頼を得て活躍されている方も存在します。ただし、そこまで極めている方はごく稀で、その域に達してれば、むしろ資格など問題ではないのです。
 では、無資格または認知度の低い資格しか持っていないものの、ご自身の経験からの知見を活かし、「何とかして同じ悩みを持っている人の役に立ちたい」「その分野でカウンセラーとして成功したい」という方はどうしたらよいのでしょうか。
有料カウンセリングを受けてもらうためには、よっぽどの腕をもつか、無料ではカウンセリングを受けにくい分野で独立することが考えられます。
 現に、恋愛カウンセラーや、離婚カウンセラー、子育カウンセラーなど、クライエント像を明確にした上で、特定の分野に限定し、ご自身の経験からのモチベーションを源泉とし、カウンセリングの技法を身につけて開業して成功している方もいらっしゃいます。
そのような特定の分野でカウンセラー関連資格を授与している団体(一般社団法人など)は多く、サービスの一環として、開業支援やクライエントの紹介をしてくれるところもあり、開業自体のハードルは高くありません。しかし継続していくためには、カウンセラーとしての自己研鑽のみならず、マーケット感覚を磨き、正しい集客の方法を知ることが不可欠です。
ただし、多くの心理系資格には倫理綱領があり、その内容は、マーケティング的発想に基づいた集客方法に反することがありますので、注意が必要です。

自分の専門分野を見つけよう

そもそも、カウンセラーが対応可能な人の悩みというのはかなり細分化できるものです。極論すれば、悩みの数だけカウンセリングのニーズがあるのです。その一つの分野に特化して、経験値を上げ、専門性を深めていくことで、活躍できる可能性があります。ここで注意したいのは、クライエントは、自分自身の悩みや問題に適切に対応してくれる人を探していて、それが必ずしもカウンセラーとは限らないということです。たとえば、離婚を迷っている人にとっては、弁護士が競合になるかもしれません。カウンセラーの競合はカウンセラーだけではないのです。幅広い視点で市場を分析し、競合が少ない分野を慎重に選びましょう。
同時に、自分の経験や知識を振り返り、自分の強みはどこにあるのか、その強みはクライエントの信頼を得るに足るものかをよく考え、今の自分に何をプラスしたら依頼を受けることができるか、クライエントの視点で客観視してみましょう。
十分な知識と技術がないのであれば、心の問題にふみ込んだカウンセリングをすることは危険です。自分の限界を認識した上で、自分が勝負できる特定の分野に精通したカウンセラーを目指していくことが成功への近道です。

参考~新資格 公認心理師について~

「公認心理師」は、日本初の心理職の国家資格です。(臨床心理士は民間資格)
平成27年9月に公認心理師法が成立し、平成29年9月に施行。平成30年9月に第1回の試験が実施されました。受験資格を取得するためには、いくつかのルートがありますが、平成29年9月15日以降、5年間に限り、特別措置として実務経験5年に加えて、指定講習を受けることで受験が可能です。実務経験として認められるためには、文部科学大臣及び厚生労働大臣が認める施設において、公認心理師法で定められた業務を行っていることを証明する必要があるのですが、個人や法人で心理相談室を開業し、同法で定められた業務を行っている場合も実務経験として認められています。すなわち、個人で開業している人は、それを自分で証明することになるわけです。日本で唯一の心理職国家資格だけあって、試験の難易度は高いですが、取得することができれば、社会的な信用は高まることでしょう。

文:鈴木寧々(中小企業診断士・2級キャリアコンサルティング技能士・産業カウンセラー)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部

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