Last Updated on 更新日2018.11.19 by
属する組織から外れ、自分自身の力で道を切り開いていく独立という道は、多くの方が一度は考えてみる事でしょう。
しかし、どうやって事業を進めていくのか、自分自身何ができるのか、把握できてない人も少なくありません。
若いうちの独立であれば、それも良いでしょう。体力のある若いうちであれば、経験や技術が未熟でも、勢いや情熱で成功するかもしれません。もし失敗しても、やり直しは十分可能です。
しかし、ある程度年齢を重ねた40代となるとそうはいきません。
独立に失敗した場合のやり直しをスムーズに行う事は難しくなります。いずれにしても、独立後の事業に活かす自分自身の経験や技術をきちんと見える化し、必要な事業計画を作成し、取り組んでいく必要があるでしょう。
その為にまず、自分自身を明らかにしませんか?
自分自身を整理する
その為にまず着手するのは自分自身の棚卸しです。
20代の方であれば20代なりの、40代の方であれば40代なりの積み重ねてきた経験や技術、そして人々との繋がりがあるはずです。それらを俯瞰してみる事で、自分が持っているものが見えてくると思います。
今回やってみるのは、「自分SWOT分析※注」です。
分析と聞いて、「難しそうだな」と思う方もいるかもしれませんが、そんな事はありません。一枚の紙を用意してください。A4用紙くらいの大きさがあれば大丈夫です。
まず用紙を縦半分に折り、次に紙を横半分に折ってください。折り目は十時に、紙は田の時の形になったと思います。
まず手始めに左半分の一番上のあたりに小さく「自分でコントロールできる事」、右半分の一番上あたりに小さく「自分でコントロールできない事」と書きましょう。
ここから、自分自身の分析を始めます。
自分でコントロールできる事(=内部環境)を整理する
自分でコントロールできる事、とはつまり自分自身の持っている経験や技術を指します。
一般に「内部環境」と言い、自分自身の手が届く範囲の事です。
さて、紙は横半分にも折ったので、「自分でコントロールできる事」について、2つのテーマに分けて書いていきます。先ほど「自分でコントロールできる事」と書いた側の上半分の枠に「他の人より強い事」と記入し、下半分の枠には「他の人より不足している事」とサブの表題として書いてください。
それではやってみましょう。
どんな事を書けば良いのか? 自分自身を振り返ったとき、そうだったなと思う事を色々書きましょう。「他の人より強い事」は、自分自身が社会人生活で学んだ知識や経験などが該当すると思います。
士業の方であれば、資格も該当するでしょう。
不動産や車など、仕事に役立てられそうな資産があるなら、書くのも良いと思います。「他の人より不足している事」は、自分自身がやりたいと思っている事業に対して、競合相手を想像してみてください。
競合相手に対して、何が足りないでしょうか?
起業の資金かもしれません。事業に対する経験、技術かもしれません。マイナスな事は書きたくないかもしれませんが、この用紙を見るのは自分自身だけです。
細かい事は気にせずに、色々書く事をお勧めします。
例えば書くならこのような事
【自分でコントロールできる事】
「他の人より強い事」
- 士業の資格を持っている。
- 今までの社会人経験として、営業を主にやっていた。人と話す事は得意。
- 資格を取るにあたって、個性や技術を持った勉強仲間がたくさんいる。
- 志師塾で学んだ講師としてのマインド。
「他の人より不足している事」
- 数字を扱った経験があまりないので、経理的な業務に自信が無い。
- 講師として教える技術はまだこれから磨くところ。
- IT関連の知識は聞かれても答えられない。
自分でコントロールできない事(=外部環境)を整理する
同様に、今度は未記入の右側、の上半分に「チャンス」と記入し、下半分は「ピンチ」と書きましょう。
内容は自由で構いませんが、自分自身で制御できない事柄を記入します。
一般的にこれを外部環境と言います。
書く事は社会情勢や、競合相手の事を想像すれば良いと思います。
「チャンス」は、自分自身が想定する事業に対して、プラスとなる事柄を記入してください。
世界的な景気の上向き、といった大枠の事でも良いです。
地元自治体の企業支援が使えるといった、もう少し身近な事柄でも構いません。
「ピンチ」は逆に、自分自身ではどうにもならない事柄を書きます。
大きな話では人口減社会があたるかもしれません。
身近な事柄では商圏が重なる競合相手がいるという事も考えられます。
例えば書くならこのような事
【自分でコントロールできない事】
「チャンス」
- 高齢化による、ターゲットとなる高齢者層の増加。
- 働き手の不足で、フリーランス人材を活用する企業が増加するかも。
- 地元自治体に創業補助金の申請ができそう。
- 働き方改革が進む事で、創業しやすくなるかも。
「ピンチ」
- 少子化による人口減社会で、顧客が減少する。
- 競合相手の進出で競争が激化
組み合わせて活用の道を探る
四つの枠にある程度、書き込みができたと思います。
「一つしか書けなかった」とか「書いてみたけど、これって違うかも」とか思いがあるかもしれません。
もし、そうだったとしても気にしないでください。
この「自分SWOT分析」に正解はありません。自分自身の棚卸しですから、その時に理解・発見した自分というだけです。
もう一度やったときに、違う結果になっても良いのです。
ビジネスで活用できそうなのは、「他の人より強い事」と「チャンス」の組み合わせです。
逆に「他の人より不足している事」と「ピンチ」の組み合わせは、自分自身では対応できないので、避けるべき組み合わせです。
また、「ピンチ」は「他の人より強い事」で活用する事もできます。
【例えばこのようなまとめ方】
- 士業の資格を活かし、高齢者のセカンドライフの創業を支援する。
- 営業経験を活かし、フリーランス人材と企業をつなぐ人材ハブとして創業する。
- 少子化、人口減によって子供ひとりあたりに掛けられる金額は増えている。高単価の子供向け商品を取り扱う事業を興す。
まとめ
いかがだったでしょうか?
自分自身の事を整理すると、今まで漠然としていて見えていなかったものが見えてくる事があります。
「自分SWOT分析」でチャンスを拾い上げ、自分自身の強い部分を活かして新しいビジネスを興しましょう!!
※注:SWOT分析とは、主にビジネスにおいて、内部環境を強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)の2つに、外部環境を機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の2つにそれぞれ分類し、組み合わせることで、外部の環境変化に応じた経営資源の活用を図る分析の手法です。今回はこの分析手法を自分自身に使用しています。
文:竹内大悟(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部