独立中小企業診断士の活躍フィールドと成功のポイント

Last Updated on 更新日2019.5.12 by 44@jyuku

難関資格の1つである中小企業診断士は、独占業務がなく、認知度が低いなどの理由から、「何ができる資格なの?」「足の裏の米粒(取っても食えない)だ」と言われることがあります。
しかし、中小企業診断士は国内で唯一のコンサルタント資格であり、活躍できるフィールドが非常に幅広い特徴があります。実際に、中小企業診断士として独立し活躍されている方々も多くいらっしゃいます。
 今回は、中小企業診断士として独立したい方に向けて、中小企業診断士の活躍フィールドと、成功するためのポイントをお伝えします。

中小企業診断士の活躍フィールド

中小企業診断士の活躍フィールドは、「診断する」「話す」」「書く」の3つがあります。
仕事内容によって特徴や難易度、報酬が異なりますので、これらを押さえて戦略的に業務の幅を広げていくことが重要です。
 
1)「診断する」仕事
中小企業診断士にとっての中核業務である、中小企業の診断・支援業務です。診断内容は、経営全般や販路拡大、事業再生、人事労務支援など多岐にわたります。

①公的診断
国・地方公共団体や商工会議所、商工会などの依頼に応じてコンサルティングを行う仕事です。費用は公的団体が負担し、個別の企業や団体が抱える問題点に対して経営の改善を行います。報酬は、行政機関や公共機関の規定・予算によって金額が定められています。コンサルタントとしての実績を積むのに、とてもいい仕事です。

②経営相談
商工会議所、中小企業支援センター、中小企業振興公社などの公的機関にある、中小企業を対象とした無料相談窓口の仕事です。相談者は個人から中小企業者まで幅広く、相談内容も、経営革新から設備導入、販路開拓まで非常に多岐にわたります。報酬は①と同様ですが、週数回の期間契約が多く、安定収入源となります。また経営相談がご縁となり、企業の経営コンサルタントや顧問契約に結び付くこともあります。

③民間経営診断・支援(コンサルティング)
個別企業からの依頼を受けて、経営診断・コンサルティングを行う仕事です。内容も短時間で終わる経営相談から、数名でチーム編成し長期間にわたりクライアントの経営診断を行うものなど様々です。報酬は診断士本人の経験や知名度、またクライアントの規模やコンサルティングの内容によって大きな差異があります。

④顧問経営指導
会社・団体などで、経営者の良き相談相手として長期にわたり経営に関与する仕事です。顧問契約を得るためには、仕事を通じて経営者との信頼関係を築くことが重要です。報酬は、③と同様に差異があります。月々の安定収入となるため、独立診断士の経営安定に大きく寄与します。

2)「話す」仕事
中小企業診断士としてのビジネス・経営の知識をベースに、企業や商工会・商工会議所、学校などから講演・講義・研修などの形で話す仕事です。

①研修・セミナー講師
企業が社員に対して知識・スキル向上を目的に実施する研修や、公的機関や民間企業が主催するビジネスセミナーなどで話す仕事です。設定されたテーマに精通した専門家として呼ばれるため、講師を務めた縁でコンサルタントの依頼や顧問契約につながることもあります。

②専門学校講師
専門課程を置く学校で、ビジネス・経営等について講義する仕事です。中小企業大学校など診断士との縁の深い学校や、ビジネス学校など講義場所は幅広いです。事前勉強を行うことで知識習得もでき、スキル向上にも最適です。安定収入が得られ、専門学校の講師という社会的信用度の向上にもつながり、仕事の幅が広がるきっかけにもなります。

③受験予備校講師
受験予備校で、中小企業診断士試験などの講義を行います。過去に通っていた予備校で仕事があるか相談してみるといいでしょう。人気講師となれば報酬は上がり、安定収入を得ることができます。

3)「書く」仕事
雑誌・専門誌などへの論文や記事執筆など多岐にわたります。時間と手間はかかりますが、多くの人に自分の専門分野を知ってもらうのに最適です。また執筆テーマについて勉強することで、そのテーマについて知見を深めることができます。

① 雑誌・記事
 業界紙・専門誌などに論文・記事などを執筆する仕事です。一般書店向け、会員向けなどがあり、読者層が限定されているため、専門知識が求められます。先輩診断士からの紹介など、人脈を通しての依頼も多いです。

②調査・研究レポート
様々な種類があります。代表的なものに業種別レポートがあり、統計資料などのデータ引用や業界団体へのヒアリングなどをもとに業種の問題点や課題、今後の方向性などをまとめます。数を多くこなすことで専門性を高めることができます。

③教材・テキスト
 学校や研修の講座で使う教材やテキスト作成の仕事です。例えば中小企業診断士受験関連の執筆が挙げられます。受験後、間もない診断士の方が優位と言えます。

④書籍
中小企業診断士の執筆書籍は、経営やマーケティング、独立開業など多岐にわたります。最初は複数人で1冊書く共著に参加して執筆ノウハウを身に着けることをお勧めします。経験を積めば、1人で1冊書くことも可能になるでしょう。

独立後、間もない中小企業診断士の仕事の広げ方

 独立して間もないなどコンサルタント実績が乏しい時期は、どのように仕事を獲得していけばいいのでしょうか。
まずは、先輩診断士や診断士の仲間など人脈を通した仕事の受注や、公的機関での仕事などで実績を積み重ね、実力と信頼を高めることがおすすめです。
ここでは、どのようなことに気を付ければ仕事を増やしていけるか、ポイントをご紹介します。

①人脈を広げる
独立中小企業診断士の成功の秘訣として挙げられるのが、人脈形成です。仕事を依頼する方は、全く知らない診断士と比較して、顔見知りの関係から紹介された診断士の方が信頼関係も形成しやすく、商談に繋がりやすいです。日ごろから中小企業診断士の研究会や懇親会などの集まりに参加して関係性を作り、「この人に頼んでみよう」と思ってもらえるような気配りも大切にしましょう。そして自分のやりたい分野をアピールすることも重要です。

②1つ1つの仕事を実直にこなし、実績と信頼を積み重ねる
特に駆け出しのころは、仕事を選り好みせず、極力断らない姿勢で積極的に挑戦することが重要です。たとえ小さな案件でも1つ1つの仕事を実直にこなすことで、信頼と実績を積み重ねられます。そして積み重ねた信頼は、大きな案件の受注など新たな道を開くきっかけとなります。
また生きた経験は実践でしか得られません。報酬が安くとも積極的に実績を作りましょう。こうした積み重ねが、よりレベルの高い仕事の受注につながります。

③講師、執筆などでプロモーション活動を行う
講演や執筆がきっかけでコンサルタント支援の機会が増え、さらには顧問契約に発展するケースもあります。講演や執筆はプロモーション活動として効果的です。人脈を通して声がかかることも多いので、日ごろから得意分野・専門分野をアピールしておきましょう。セミナー会社や研修会社のほか、中小企業診断士協会や公的機関が主催するセミナー等など参加機会があるものがあれば、参加してみましょう。

独立中小企業診断士として成功するポイント

先輩診断士や公的機関の仕事から、さらに民間企業の大きなコンサルタント案件、企業の顧問契約など、より難易度の高い仕事に携わるためには、更に高い実力が求められます。これを得るための主なポイントを3つ挙げました。

①高い志を持ち成長を続ける
独立すると、時に対応しきれない仕事が舞い込むなど、逆境に立たされることがあります。そのようなときも強い気持ちで粘り強く取り組むことで道は開けていきます。また日々努力し、リスクを取って独立したものに対しては、その志を応援してくれる人がいます。期待を寄せてくれている方々のためにも、諦めない気持ちはとても大事です。

②自分への投資を怠らない
仕事が順調に拡大していくと、忙しさで自己投資を行う時間がなくなってきます。しかし自己投資を止めてしまうと自身の成長が止まり、新たなコンテンツが作れないなどいつかは仕事に行き詰まりが出てきます。時には仕事を断って仕事量を減らし、自分をさらに成長させるための投資を行いましょう。
また、日々の仕事に埋没しすぎず、将来を見据えられる余裕を持つことも大事です。趣味や様々な素養を広げることは人間としての幅を広げることにつながり、結果的に中小企業診断士としての仕事を受注する要因にもなりえます。

③全テークホルダーからの信頼を得る
会社勤めとは異なり、何の後ろ盾もない独立中小企業診断士は、自身を取り巻く全てのすべてのステークホルダーから信頼を勝ち得ることが、成功の最大のポイントになります。どんなに知識があり仕事ができても、信頼・信用が浅ければ成功率は低くなります。逆に高ければ成功率は高まり、大成していくでしょう。 
信頼はあなた自身が作り上げていかなくてはいけません。精神誠意に仕事を進めていけば、多くの関係者から必ず信頼が蓄積されていくはずです。

以上、独立中小企業診断士として成功するための方法をお伝えしました。ぜひ気になったものがあれば実行してみてください。これからの活動の一助になれば幸いです。

文:木村敏子(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部

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