Last Updated on 更新日2018.7.3 by
この記事の目次
ファイナンシャル・プランナー(以下FP)とは?
FPは、主に個人や中小企業のお客様からの相談に応じて資産に関する情報を分析し、ライフイベントにあわせた資金計画の設計やアドバイスを行う仕事です。例えば「マイホームの購入を考えているんだけどローンを返していけるだろうか」、「年金で老後の生活は大丈夫だろうか」といった不動産、資産運用、保険など人が生きていく上でお金が関わる場面に対して、専門的な立場から適切な助言を行っていきます。お客様の目標を達成し、目的に応じた生活を送れるよう手助けするのが、FPの仕事となります。
FPの仕事って?
先ほどFPは個人や中小企業のお客様に資産計画について相談にのり、アドバイスを行う仕事と表現しました。要するに個人や中小企業の資産についてコンサルティングを行うことが仕事になります。コンサルティングというと思い出される職業に同じ国家資格である中小企業診断士がありますが、実は仕事の内容も似ています。
【中小企業診断士】 ⇔ 【FP】
・診断・助言 ⇔ 相談
・執筆 ⇔ 執筆
・講演・講師 ⇔ 講演・講師
中小企業診断士は中小企業のコンサルタントとして、企業診断を行い改善提案し、専門知識に関する執筆や、セミナーなどで講演を行います。FPについても同じで個人や中小企業のお客様の資産設計について相談に応じ最適な資産設計をアドバイスをし、保険や不動産についての執筆を行い、個人のお客様向けにセミナーを行います。中小企業診断士は中小企業の「経営」に対してコンサルティングを行うのに対して、FPは個人や中小企業の「資産設計」についてコンサルティングを行うという違いがあるだけで、コンサルティングという仕事については同じものになります。
FPの仕事①『相談』
相談業務はFPのが一般的に最も時間をかける仕事になります。
たとえば「将来、分譲マンションを買いたい。でも子供の学費や生活費、老後の資金のことを考えるといつ頃購入できるのだろう? どれぐらい貯金をしておいたら老後は安心して暮らせるのだろう?」このような相談に対して、お客様の現在の保険や不動産を含めた資産状況・負債・収入・支出・税金等の幅広い観点から、そのお客様に最適な資産の運用方法、金融商品、保険を検討し、最適なライフプランを提案します。
要するにお客様の目標を達成することが出来るライフプランを提供し、生活設計を応援するのがFPの仕事になります。直接お客様のライフプランに触れることが出来るFPとして仕事の醍醐味を感じられる業務です。またFPそれぞれの職務経験などに応じて不動産に特化したり、保険に特化したりして専門分野を絞り相談に乗ることも多いです。あるいはFP個人の経験を活かして、子供の教育資金の運用などの相談に応じたり、富裕層への相談に特化したりとターゲットを特定することもあります。FPの業務範囲は広く、しかもそれぞれに特化することも可能です。
FPの仕事②『執筆』
FPの行う執筆業務は、FPの専門分野である「お金」に関するテーマをもとに、雑誌やインターネットの記事などで文章を書いたり、取材を行ったりして、その内容を掲載する仕事になります。
昨今はNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった個人向けの投資資産が出てきています。またビットコインなど仮想通貨など、「お金」に関する情報量が多くなってきています。それらを「お金」の専門的な知識を有するFPがそれらをまとめて記事にすることで読者に有益な情報を提供するといった機会も増えてきています。
また記事をみた読者の方から相談を受けることもあり、記事が自身の広告の役割を果たすこともあります。より多くの方にFPとして「お金」に関する知識を広められる業務です。
FPの仕事③『講演・講師』
FPの仕事としてもう一つは講演・講師業があります。「お金」の専門家として金融機関や保険会社、不動産販売会社などでFPとして講演する機会があります。一般のお客様から企業で勤めている会社員までその対象は様々です。
講師業は、FP資格取得のため勉強している方々に対する講師や、「お金」に関してのセミナー講師、はたまた金融機関や保険会社、不動産販売会社などで研修講師として呼ばれることもあります。実際に人前に立ち、話すことでダイレクトにお客様の反応を知ることが出来る業務です。
どれが本当のFPの仕事なのか?
どの業務を中心にFPとして活躍していくのか、悩まれる方も多いと思われます。FPは個人の「お金」の運用を手助けするのが仕事と考え「相談」を中心に行う方。家庭があるため、自宅で作業でき時間の融通が利きやすい「執筆」を中心に行う方。人前で話したり、人に物事を教えたりするのが好きなので「講演・講師」を中心に行う方。それぞれバランスよく満遍なく行う方。
FPという仕事は型に決まったものがあるわけではありません。FPとして自分が歩んでいきたい業務を行うことが出来ます。自分が得意なことを仕事にすることが出来るのがFPという仕事の特徴でもあります。ご自身の今のライフスタイルに合わせて、仕事のスタイルも変化させてください。
FPとしてお客様にアピールするためには?
様々な種類の業務を行うことが出来るというFPの仕事の醍醐味を書いてきましたが、ではどうやってFPとして他のFPと差別化していくのか?FPとして独立開業を目指す方、独立した方双方の悩みだと思います。
「自分は○○が得意だから、この分野専門で業務を行う!」という人が多いかもしれません。しかし、それで本当によいのでしょうか?自分の出来ることから差別化するよりも、『お客様が何を求めているのか』といった『ニーズ』をまず把握することが大切です。FPとして自分がこんな事が出来るとお客様にアピールしても、それをお客様が求めていなければ、どんなにすごい事が出来たとしても仕事には繋がりません。反対に小さな事でもお客様が求めているものにヒットすれば、そこからお客様との繋がりを深めていくことが出来るのです。
FPの仕事はアドバイスやコンサルティングといった無形のサービスです。形があるものではありません。だからこそお客様の様々な『ニーズ』にも対応することができます。例えば、子育て中で外出できないお母さんに対して子供のライフプランを自宅出張でするようなことや、会社で働いていてライフプランニングをする余裕がないような人に対して出張サービスを行うなど、『モノ』を売るのではなく『サービス』を売るということは、その知識だけを売るのではなく、そこに様々な付随した『サービス』をプラスして付加価値を付け、お客様の『ニーズ』にマッチしたサービスを展開できる可能性があります。
どうやって『ニーズ』を知るのか?
ではFPとしてどうやって『ニーズ』を知るのでしょうか?そのためには世の中の動き『外部環境』を知る必要があります。これは特に難しいものではありません。「お金」の専門家であるFPとして日々「お金」に関する情報を収集し、理解を深め連想していくことで実現できます。
例えば、「少子高齢化」がより進むという新聞記事が出ていたとします。そこから「少子高齢化⇒老後の年金支給額の減額⇒現役の時の貯蓄額の増加・保険による対応」へと連想して、今後のFPの『ニーズ』として「少子高齢化に対応した、現役世帯のライフプランニングの見直し」や「老後生活のための保険運用」などを考えることです。
このように世の中の大きな動きの中から、お客様が何を求めているのか、今後何を求めるようになるのかをいち早く察知して『ニーズ』を知ることが、FPとしてお客様に有用な提案を行い、活躍していくためには重要です。
FPとしてお客様にアプローチするためには?
FPとしてお客様の求めている『ニーズ』を知ることが出来たら、次はお客様へのアプローチが必要になります。チラシを配布したり、HPを開設したり、セミナーを設けたり、執筆したりといろいろなお客様へのアプローチの方法があります。しかしセミナーや執筆は依頼があったり自分で開催したりすることが前提となりますし、チラシは作成に費用がかかります。はじめは無料で出来るSNSやWEBを使ったお客様へのアプローチから始めてみてはいかがでしょうか。
SNSにはFacebookやTwitter、Instagramなど複数ありますが、「いいね」機能・「コメント」機能・「シェア」機能と、お客様との接点を増やす仕組みもあります。FPはサービス業であり、お客様との接触回数が集客につながるサービス業にとってSNSは初動としては最もふさわしいアプローチツールツールとなります。
しかし、こちらからばかり売り込んでいてはお客様にとっては面白くありません。興味のない広告ばかりを見せられると嫌いになってしまいます。SNSを入口としながら、メルマガがHP、ブログなどでお客様が興味を持っているコンテンツを提供してあげる必要があります。いわゆる『コンテンツマーケティング』を活用して、お客様に価値のある情報を届けることで信頼関係を醸成し、お客様にアプローチしていくのがいいでしょう。
新規のお客様を獲得するのに10万円のコストがかかるとすると、既存のお客様にリピートしていただくためのコストは2万円で済む。いわゆる『1対5の法則』があります。またお客様との信頼関係が醸成されれば、そこから口コミやSNSの評価などでお客様が続いていきます。一度お客様になった方をお得意さまとして、つなぎとめてリピーターになっていただくこと。それがFPとして独立して営んでいくためには必要であり、成功するための近道です。
FPとして差別化するためには?
お客様の『ニーズ』を知り、お客様にアプローチする方法も分かりました。その上で、お客様にどうやって自分のところに来ていただくのか?ここで他のFPと違う独自の『何か』が必要になってきます。『何か』とは例えば無料FP相談会のようなものでも構いませんし、出張FPサポートのようなものでも構いません。他のFPが行っていないような独自の取り組みやサービスを行って、差別化をする必要があります。
しかしながら、取り組みやサービス内容は他のFPにも真似されやすいというデメリットもあります。FPという業務は資格がないとできない業務でもないため、決して参入障壁が高いものではありません。そのため容易な取り組みやサービス内容であれば、後発のFPに真似される可能性もあります。あなた独自の、あなたしかできない差別化が必要になります。
真似されないためには取り組みやサービス内容の工夫に加えて、あなた独自の『強み』が必要になります。例えば『強み』として『不動産』×取り組みやサービス内容として『出張プランニング』など『強み』×『取り組み』で他のFPが提供できないサービスをお客様にお届けするなどが考えられます。お客様の望んでいる取り組みやサービス内容を充実させつつ、自分の『強み』と組み合わせて、他のFPとの差別化を図りましょう。
FPとして仕事をしていくためには?
FPとしての仕事はお客様の『ニーズ』を知り、集客することが出来れば終わりではありません。FPが「お金」の専門家としての知識を総動員してお客様の相談に応え、『ニーズ』に即した最善の提案を行う事。お客様の一生のお金の設計をする仕事であり、それがFPとして最も重要な仕事です。
常に知識を補充し、FPとして自己研鑽に励むことで、常にお客様に最善の答えを出せる体制を整えておく。それらの準備が出来ることで、お客様の相談に対して迅速に対応でき信頼が醸成されていきます。お客様から信頼されることで、そのお客様からの口コミ=繋がりが生まれ、更なる仕事の機会もいただけるでしょう。口コミが最強の広告ツールになります。常にお客様には真摯に向き合い、最善を尽くして下さい。
FPとして常に最善を尽くし、お客様の希望に応えることでお客様との信頼関係を築き、FPとして独立して成功する夢をかなえて下さい。また独立して伸び悩んでいる方も、自身の『強み』×『取り組み』で唯一無二のFPとなって、お客様を獲得してください。
文:田中祥太(中小企業診断士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部