Last Updated on 更新日2018.11.19 by
「ご自身の経験やノウハウを生かして独立開業したい」。近年、独立開業に向けて準備をはじめている先生がとても増えてきています。一方で、「リスクが高い」、「所得・収入が不安定」など独立開業に対して二の足を踏んでいる先生も多いのではないでしょうか?
中小企業庁の資料によると、独立開業(起業)の5年後には約2割が、10年後には約3割、20年後には約5割の企業が廃業しています。個人事業所の場合、その確率はさらに高まるという、独立開業を検討されている先生方にとても厳しい結果が出ていました。
「独立開業しても失敗したくない」「そもそも、どうすればいいかわからない」。そんな先生のために今回は、「心・技・体」からはじめる独立開業の準備について、一緒に見ていきましょう。
「心」の準備:そうだ!「心」を整えよう
いざ、先生業として独立開業したとしても、さまざまなトラブルに見舞われ、失敗や挫折をしてしまうこともあるかもしれません。ひとたび、悲観的な感情に支配されてしまえば、「心」が折れてしまい、先生業を続けていくことが困難になってしまいます。そうならないためにも、独立開業の準備段階では、「心」をマネジメントする方法を身に付けておく必要があります。
「心」をマネジメントする方法の一つとして「瞑想」をお勧めします。「瞑想」を行うことでストレスから解放され、「心」をしっかりと休息させることができるためです。
「瞑想」は、以下の順に行います
①できるだけゆったりとした服装で行います。体を締め付ける服装だとリラックスできません。
②目を軽く閉じます。そして、背筋を伸ばし、胸を軽く開いて座ります。
③ゆっくりと鼻から息を吸って、鼻から吐き出しながら、呼吸の感覚に意識を向けて集中していきます。
「瞑想」を実施すると、自然と「心」が穏やかになります。毎日、15分程度でも構いません。独立開業する準備のひとつとして習慣づけておくと良いでしょう。
「技」の準備;兎にも角にも「受注力」
独立開業後を考えておられる先生は必ず、顧客に価値を提供できる「腕」を持っています。しかし、独立開業しても仕事が獲得できない先生の多くは、すでに素晴らしい「腕」を持っているにもかかわらず、仕事を獲得するために、さらに「腕」を磨き上げようとしてしまうのです。実はそこには大きな落とし穴があります。先生業に必要な「技」は「受注力」です。
どんなに素晴らしい「腕」を持っていても、受注することができなければ、顧客は「0」のままです。逆に、そこそこの「腕」でも、抜群の「受注力」を持っていれば、リピートが増え、信頼獲得による高単価での仕事を受注することができるようになります。また、経験を積むことで、「腕」にも磨きがかかります。
まずは、将来、顧客となる見込み客にご自身の「腕」や「人柄」を知ってもらい、関係性の構築に努めましょう。そのためには、初対面の人にも印象に残るキャッチコピーを作る必要があります。
キャッチコピーの大切なポイントは、以下の3点です
①サービス提供先のターゲットが明確であること
「自分のためのサービスだ」と思わないと見込み客は反応しません。ご自身のサービスがどの顧客層をターゲットにしているのか?考えてみてください。
②サービス提供者のメリットが明確であることメリットとはご自身のサービスを受けた顧客がどういった状況になれるか?ということです。見込み客がサービスを受けた後、理想の姿になった自分を想像できるよう
にします。
③具体的に表現できていること
「誰向けのサービスであるか?」「メリットは何か?」を示しても具体的な表現でないと見込み客には伝わりません。数字など定量的に示し、具体的に表現しましょう。
素晴らしい「腕」をきちんとアピールするために、キャッチコピーを作ることが、「受注力」を高める第一歩になります。
「体」の準備:一番大事なのは、先生の健康
先生業は「体」が資本です。ご自身の健康管理はしっかりされていますか?独立開業後は会社員とは異なり、昼夜を問わず働き、休日もない日が続くこともあります。睡眠時間が削られるばかりではありません。まともに食事をとれなかったり、逆に、飲み会や宴席が増えることによる暴飲暴食を繰り替えしたり、不規則な生活を強いられることになるかもしれません。ご自身の「体」のことは二の次で、知らず知らずのうちに体調を崩すようなことになったら…。
独立開業の準備として、「体」作りに努めましょう。
例えば、以下のようなことに取り組んでみるのはいかがでしょうか。
①運動の習慣を作る
ジムに通ったり、ランニングをはじめたり体を動かす習慣を作りましょう。もし、ハードルが高いなと思ったなら、まずはラジオ体操や簡単なストレッチからはじめてみるのも良いのではないでしょうか。
②生活習慣を改善する
例えば、懇親会の二次会は参加しない、夜は何時までに寝る、食事はぬかないなど独立開業前に生活習慣を整えておきましょう。
③健康を管理する
自分でルールを決めても、独立開業後、それを押し通せない時もあります。せめて、定期的に健康診断や人間ドックを受診し、ご自身の健康状態を把握しておきましょう。また、少しでも不調を感じたらすぐに診てもらえる「かかりつけ医」を見つけておくことも大切です。
独立開業したら、ご自身の健康はご自身で守らなければなりません。自己管理をしっかりと行いましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?本記事では「心・技・体」からはじめる独立開業の準備として、以下の内容を一緒に見てきました。
「心」の準備……「瞑想」を習慣化し、「心」をマネジメントする。
「技」の準備……「キャッチコピー」を作り「受注力」を高める。
「体」の準備……「体」を動かす。「生活習慣」を改善する。「健康」を管理する。
最後に、「心・技・体」の準備が整ったら、ぜひ、行ってほしいことがあります。それは、独立開業するという「覚悟」を決めることです。
「どんなつらい状況に陥っても、先生業として独立開業し、成し遂げたいことがある」。その「覚悟」をノートや手帳などに書き起こし、あとで見直すことができる状態にしておきます。独立開業後にくじけそうになった時に、きっとご自身の支えとなってくれるはずです
文:太田泰嗣(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部