Last Updated on 更新日2019.5.12 by 44@jyuku
ホームページは、中小企業診断士の先生にとっては重要な営業ツールの一つです。ホームページを作成すると、中小企業診断士の先生のことを広く社会に知ってもらうことができ、受注の可能性が高まります。最近では、日々の活動状況をブログで紹介する中小企業診断士の先生も多くいます。他方、ホームページを始めようとしてもなかなか始められない中小企業診断士の先生や、ホームページが集客につながらず悩んでいる中小企業診断士の先生も多くいます。本記事では、集客につながるホームページの作り方についてご紹介します。
この記事の目次
集客を企画する
ホームページは、それを作成したからおしまい、というものではありません。ホームページは、集客という「目的」のための「手段」となります。そのため、ホームページを作成する前提として、「どのような集客を行うか」「どのように集客を行うか」を先に検討する必要があります。その中で、ホームページの位置付けを明確にし、どのようなホームページを作成するかを検討することになります。その過程では、「誰をターゲットとするホームページを作成するか」「「自分」はどのような価値を提供できるか」を検討することも必要になります。
目的と目標を明確化する
最初に、ホームページを活用した集客を行う目的を明確化します。ホームページには、公開した情報が全世界に向けて発信される、スマートフォンなどから多くの情報を手軽に確認できる、といった特徴があります。これらを考慮して、「特定の地域でのコンサルティング活動だけでなく、近隣地域まで広げて集客する」「現在行っているコンサルティング分野以外の分野にも対応できることをアピールして、その分野の集客を行う」といった目的を設定します。次に、目標を明確化します。「近隣地域の集客により売上を前年比○○%以上増大する」「新規分野の売上を○○円確保する」など、目的を達成する指標を、できる限り数値で設定します。
ターゲット顧客を決め、具体化する
次に、集客により来てほしいターゲット顧客を決めます。最初の段階では、「東京都在住の40代の男性で、○○に興味がある人」のように、ある程度の客層まで絞り込むことになるでしょう。しかし、それだけではどのような商品を軸に、どのように集客したらよいか、具体的な集客イメージはつかみにくいものです。集客方法を具体的にイメージするためにも、「東京の港区在住で43歳のIT企業経営者の山田さん」というように、具体的な個人を設定してみましょう。中小企業の先生であれば、これまでのお付き合いからイメージはつくことでしょう。少し時間を取って、付き合いたいと思うお客様の事を思い出してみてください。
「自分」という商品を明確化する
ターゲット顧客が決まったら、先程の「山田さん」から選んでもらえる「自分」という商品を明確化します。そのためには、「自分」のポジショニングを明確化する必要があります。中小企業診断士の先生には独占業務がない分、自由度は高いものの「自分」の軸が定まりにくくポジショニングが不明確になりやすいので注意が必要です。ポジショニングの明確化に際しては、先生が得意なことであるだけでなく、「なぜ、山田さんはその商品を選ぶのか」「なぜ、山田さんは先生を選ぶのか」という観点から、ターゲットから選ばれやすいポジショニングを設定する必要があります。
集客の動線を設計する
ターゲット顧客と先生のポジショニングが決まったら、「ターゲット顧客が先生を見つけてから、高額受注に至るまで」の過程を設計します。通常の商圏外のターゲット顧客に対してホームページを通じて認知を高め、小さな仕事から請け負い、高額受注につなげる、既存のターゲット顧客にホームページを通じて多様な実績を伝え、より広範囲な業務を受注する、など、ターゲット顧客やこれまでの関係性から動線を設計します。ただし、人の心理として、ホームページ経由だけでは高額な取引にはつながりにくいものです。そのため、ホームページは広範囲の情報伝達や名刺に記載できない情報の一覧などの役割を持たせ、最終的な受注はオフラインで実施したほうがよいでしょう。
ホームページを作成する
ターゲット顧客、先生のポジショニング、ホームページを含めたターゲット顧客が高額受注に至るまでの動線を整理した後は、実際のホームページを作成します。作成に当たっては、内容の検討、構成の検討、そしてプロフィールのような固定的な情報のみならず最新情報をターゲット顧客に伝える仕組みの検討が必要になります。
コンテンツを整理する
ホームページを作成するにも、その中身が必要です。中身についても、ターゲット顧客が先生のことや先生の仕事に興味が持てるものを準備する必要があります。1. プロフィール。先生の基本情報をターゲット顧客に知ってもらうことができます。2. 仕事概要。先生のポジショニングから、先生の独自性を知ってもらうことができます。3. ストーリー。先生がこれまで歩んできた道から、先生がそのポジショニングを選ぶべくして選んだという納得感をターゲット顧客に感じてもらうことができます。4. 実績や経験。先生が確実に仕事してくれるという印象をターゲット顧客に感じてもらうことができます。5. 理念、ビジョン。先生が将来にわたってターゲット顧客を正しい方向に導いてくれるという印象を与えることができます。
ターゲットに響くホームページを作る
コンテンツを整理したら、これらをホームページとして公開していきます。公開に当たっては、トップページからプロフィール、仕事概要、ストーリー (沿革)、実績、理念の各ページに、ターゲットに響く形でリンクを作成します。更に、ターゲット顧客が興味を抱いた際に問い合わせるための問合せフォームなども準備します。ホームページの作成では、JimdoやWixなどのサービスを利用したほうがよいでしょう。最近では、パソコンからだけではなく、スマートフォンやタブレット端末からホームページを閲覧する機会が増えています。パソコンとスマートフォンでは画面の向きや適したデザインが異なりますが、JimdoやWixを活用すると、パソコンとスマートフォンを見分けて、それぞれに適した画面デザインでホームページを表示できます。
日々の活動をブログで紹介する
ここまでで紹介した内容は、あなたに備わったプロフィールをホームページでターゲット顧客に知ってもらうための方法と言えます。ですが、ターゲット顧客は、「先生の生の姿」、を知りたいはずです。そのためにも、リアルなコンテンツを提供する必要があります。その一つの手段が、ブログになります。ブログにより、先生の活動や考え方を、ターゲット顧客に伝えます。その過程で、先生からターゲット顧客に「教える」、ターゲット顧客が先生から「教わる」という関係を構築していきます。なお、ブログを始めるには、アメブロやはてなブログなどを活用して始める、WordPressでブログを構築する、といった方法があります。手軽に始める、ブログに独自性を出す、など、先生のニーズに合わせ、ブログを始めてみてください。
集客に向け活動する
ここまででホームページの作成方法についてみていきました。ホームページを作成した後は、ターゲット顧客に先生のことやホームページのことを知ってもらい、受注につなげていく必要があります。そのためには、顧客リストの作成、ターゲット顧客との関係性構築のための実績作りはホームページの紹介、そしてターゲット顧客を目の間に連れてくることが必要になります。
顧客リストを作る
最初に、顧客リストを整理します。中小企業診断士の先生であればすでに多くの顧客を持っているかと思いますが、ホームページを通じて問合せした顧客も新たに対象となります。ホームページを通じた問い合わせを受けるためにも、問合せフォームの作成は重要になります。名前や住所などの定型的な顧客情報以外にも、どのようなルートで先生の事を知ったのか、顧客はどのようなことに興味があるかなどの情報も収集し、顧客に適したサービス提供の基礎情報とします。そのため、問合せフォームでどのような情報を集めるのか、十分に検討する必要があります。
いろいろな実績を作る
中小企業診断士の業務特性として、成果が先生の業務範囲、力量、人格に依存しているという特性があります。業務範囲はプロフィールでわかるものの、先生の力量や人格は、先生に直接接しないとターゲット顧客からわかりにくいということもあります。高額受注につながる前に先生の力量や人格の一部を示すためにも、顧客からの少額の作業を請け負う、他の先生からの依頼事項を受ける、セミナーを開催するなどして、多くの方に先生の仕事ぶりを見てもらい、「この先生は確実に成果を残せる」とターゲット顧客に感じてもらう必要があります。
ホームページを紹介する
ホームページは、作成したら終わり、というものではなく、多くの顧客にホームページを知ってもらう必要があります。その対応として、オンラインの対策とオフラインの対策があります。オンラインの対策としては、ホームページにSEO (Search Engine Organization) 対策のためにターゲット顧客が興味を持ちそうな用語を多用する、ブログを定期的に更新するなどがあります。SNSを活用してホームページをお知らせしてもよいでしょう。オフラインの対策としては、名刺やチラシにホームページの顔写真と同じ写真を用いる、QRコードを記載して容易にホームページにアクセス可能とする、などがあります。中小企業診断士の先生はターゲット顧客と直接接することが多いので、オフラインの対策にも力を入れるとよいでしょう。
高額受注につなげる
ターゲット顧客が先生のホームページに訪問し、興味を持って頂いた場合、直接会って高額受注につなげる必要があります。そのためには、個別相談につなげ、成功させる必要があります。ただし、直接に個別相談をターゲット顧客に打診しても応じて頂けないことが多いので、じっくりと関係性を構築し、ターゲット顧客から個別相談を打診してもらうように仕向けます。その後は、個別相談の場ではターゲット顧客の不安を取り除きながら、確実に高額受注につなげます。
集客結果を振り返る
ここまでの、ホームページを活用した受注活動の内容を振り返ります。ビジネスの観点では受注件数、ホームページの観点ではアクセス数、ホームページからの問合せ数、直帰率 (ターゲット顧客がアクセスしたホームページだけを見て別のホームページを見る確率) などを評価します。それ以外にも、ターゲット顧客が先生を知ってから高額受注に至るまでの過程において、どのプロセスが順調でどのプロセスが不調か、その原因が何かについても検証し、再発防止を行い、より確実な顧客動線を設計し、その手段としてホームページも改善していきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。中小企業診断士の先生がホームページで集客するには、集客コンセプトの企画、ホームページの作成、先生やホームページについての伝達が必要となります。その上で、高額受注に結び付けるまでのストーリー設定、ストーリー通りに活動できたかの検証と改善を継続的に行います。中小企業診断士の先生は販売のための理論を習得しているので、これら理論の活用のチャンスです。是非とも、ホームページを作成して満足することがないよう、集客に取り組んでいきましょう。
文:小林 健了(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部