相手の言葉を引き出すコミュニケーション術とは?

Last Updated on 更新日2018.7.3 by

例えば、あなたは独立して間もなく顧客と会うことになりました。相手の置かれている状況を把握するために事前質問の準備もばっちり。いざ企業に訪問し打合せのテーブルにつき、自己紹介の後に準備した質問を次々としていきます。ところがいつまでたっても本質に迫った内容が引き出せなく、気づいたら自分が一方的に話し続けて打合せは終了。結局欲しい情報はとれずに途方に暮れて家路につく。
こうした状況、経験があったり、よく耳にしたりしませんか?
コミュニケーション術はキャッチボール、自分のほしいボールを相手が投げくれないと意味がありません。ですが、あなた自身がもしかしたら意図的に相手が投げにくい状況を自分が作っている可能性があるかもしれません。
今回は相手がボールを投げやすい状況にするコミュニケーション術を紹介します。

あなたのコミュニケーションは北風?太陽?

「北風と太陽」というイソップ寓話はご存知でしょうか?
北風と太陽が力比べをするために旅人の上着を脱がし合う勝負をし、力いっぱい風をおこし上着を吹き飛ばそうとした北風は上着を脱がせず、一方太陽は旅人の周囲を暑くすることで、自分から上着を脱がせることができ太陽が勝利するという話です。
これはコミュニケーションでも同じです。相手から無理に話を引き出そうとしても、相手は話を切り出してくれません。反対に相手から話を切り出す状況を作り出すことで、必要な情報を入手できるようになります。太陽のように、相手が自ら行動するような状況を整えるコミュニケーション術が重要なのです。

具体的な方法

では相手が主体的に話をしてくれる良好な関係を築けるようになれるためにどのようにコミュニケーション術が必要なのか?以下の3つの視点を持つことが重要です。

聞く側の心構え

コミュニケーションの基本で”ほうれんそう”という言葉があります。これは皆さんご存知ですね。
※過去の先生ビジネス百科の記事も参考にしてください。
【2018.03.07 コミュニケーション術の基本は、やはり「報・連・相」】
https://sensei-biz.com/communication-basis

この言葉には続きがあることはご存知でしょうか。それは”ほうれんそう”の”おひたし”です。
“ほうれんそう”は情報を発信する側の心構えです。実は聞く側にも心構えがありそれが”おひたし”です。

  • お:(話してくれたことに対して)怒らない
  • ひ:(相手の意見を)否定しない
  • た:(困っていたら)助ける
  • し:(必要に応じて)指示する

話し出すタイミングが遅くても「なんでもっと早く言ってくれないのですか?」など言うのはご法度です。また顧客が自分なりに出した意見です。その場ですぐに否定してはいけません。内容が間違っていても一つの意見として受け取りましょう。そして話してくれた内容に対して、助言や指示をするようにしましょう。これらは当たり前のようですが、意外とできていない人も多いかもしれません。
それではなぜこうした姿勢が重要なのでしょうか?それは自分から相手に行動を要求するだけでは一方通行になり、コミュニケーションにならないためです。相手の立場を思いやり、自分に心を許してもらうような行動(=お・ひ・た・し)をこちらから先にすることで、自然と相手は主体的に情報を発信してくれます。

コーヒー片手に休憩する男女

手段を選ぶ

長期的に顧客と関わるまたはチームでプロジェクトなどを進める場合、週に一度はフェイストゥフェイスの打合せを行うことが理想です。理由は共有できる情報量が多いためです。対面形式の会話でなら言語的な情報だけでなく、表情や雰囲気を肌で感じた非言語的な情報も合わせて交換できます。
それ以外はメールやグループウェア、SNSなどのコミュニケーションツールを積極的に使うことになりますが、一つ注意すべき点があります。最近はコミュニケーションツールが盛んに使われており、既にSNSでプライベートなアカウントを複数持っていて、連絡先を知るというハードルはだいぶ下がっています。知った際には、そのアカウント宛に仕事の連絡をして良いか確認することが大事です。というのも複数のコミュニケーションツールを使用している方は、それぞれ目的を持って利用していることが多いためです。完全プライベートアカウントもあれば、仕事とプライベートが半々のアカウントもあるでしょう。相手のオンとオフの切り替えの邪魔にならないよう互いに連絡する際のルールを決めておきましょう。

状況に応じる

コミュニケーションの手段はデジタル(メール)とアナログ(フェイストゥフェイスの打合せ)と大きく分けて2種類あります。こちらを状況に応じて使う必要があります。
もちろん仕事に必要な情報についてはその緊急性で判断されるべきですが、アナログは双方向のコミュニケーションがとりやすいことに対して、デジタルは一方的なコミュニケーションになりうることを留意してください。
例えば、デジタルの場合は情報共有レベルの内容に限定する。ネットニュースなどから相手のためになる情報を得たらリンクを添付して送ることが望ましいです。
アナログの場合は、自分の考えや思いを中心に伝えましょう。伝える際の表情や雰囲気で捉え方が変わってしまうため直接伝えるべきです。

女性

最後に

いかがだったでしょうか?今回のコミュニケーション術は、何も顧客との1対1コミュニケーション術に限った話ではありません。独立したからっと言って独りで仕事を進めるケースは稀で、プロジェクトチームの中で自身のスキルを発揮することも多くあります。小さなポイントを押さえれば相手はきちんと情報を提供してくれるようになります。
プロジェクトの場合、進めていくと頻繁に話をする人とそうでない人が出来上がってきませんか?たまには普段疎遠な人の話を聞くと思わぬアイデアが浮かぶかもしれません。
年齢が近くない、趣味が異なる、業種が異なる、価値観が合わない…色々な理由で話をしなくなる人はでてきます。しかし自分と似た境遇の人の意見ばかりに耳を傾けると、考え方が偏ってきます。そうすると物事を多角的に見ることが難しくなり、視野も狭くなってしまいます。話が合わない人でも適切なコミュニケーション術を使って引き出せば、自分の頭の中にはない新たな価値を創造するヒントになります。

適切なコミュニケーション術で相手と良好な関係性が築ければ、自然と相手から話を切り出してきます。どれも小さなことかもしれませんが意識するだけで大きく変わります。

文:折原健治(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部

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