はじめてのインタビュー記事の書き方

Last Updated on 更新日2018.11.23 by

インタビュー記事を書くのは難しくない

もしあなたが取材を依頼され、インタビュー記事を書くことになったとします。そのときに、どのような準備を行い、取材対象者にインタビューをし、インタビューの内容を記事にしていくか、具体的にイメージできるでしょうか。

今回は、取材までの準備、取材当日の流れ、および記事の執筆の各段階において、必要となる準備や心構え、ノウハウを紹介します。この記事を一読し書き方のポイントを押さえることで、インタビュー記事が難なく書けるようになります。

まずは掲載媒体をチェックしよう

まず、取材の依頼があるということは、記事が掲載される媒体が必ずあります。そのため、掲載される媒体が既にある場合は、必ず目を通しておきましょう。掲載媒体の過去のバックナンバーを一読し、記事の分量・書き方(ですます調、である調など)などをあらかじめ押さえておきます。特集記事や、新たに作成される媒体の場合は、依頼元の方(編集長など)とやり取りを行い、不明な部分について具体的なイメージを合わせておきます。

また、掲載される媒体の読者層、他の記事(連載や特集など)の特色、掲載される時期などを考慮したうえで、メインとなる読者層、記事を通じて伝えたい内容をあらかじめ想定し、具体的にしておくとよいでしょう。

取材対象者の下調べをしよう

取材対象者があらかじめ決まっている場合は、取材対象者についてできる限り下調べを行います。あらかじめチェックする主な情報源として、以下のものがあります。

  • 著書:取材対象者が執筆した著書がある場合は、必ず一読しましょう。執筆されている著書が多数ある場合は、取材内容に近いものや、直近で発売されたものをチェックするとよいでしょう。
  • 新聞や雑誌の記事:著書と同様に、直近でマスコミに取り上げられたものがあれば、こちらもチェックします。
  • ブログ:取材対象者のブログがある場合は、こちらも一読します。著書に比べてより取材対象者の生の声を見ることができます。
  • SNS:Facebook・Twitter・Instagramで取材対象者のアカウントがあれば、こちらもチェックし、取材対象者が興味を持っていることを把握しておくとよいでしょう。また、取材開始前の話題として利用することもできます。

これらの情報源をできる限りチェックし、取材対象者への理解を深めながら、取材当日の質問項目を挙げていきます。

質問事項を整理しよう

取材対象者の下調べのときに挙げていった質問項目を、あらかじめ整理しておきます。整理することで、質問の順番を考えたり、質問の優先度付けをしたりすることができます。整理する方法はいくつかありますが、お勧めするのは「G(現在)」「K(過去)」「G(現在)」「M(未来)」の時系列順で質問事項を構成していく方法です。例えば、以下のようになります。

  • G(現在):取材対象者の紹介やイントロダクションとなる項目。現在取り組んでいること。
  • K(過去):学生時代までにやってきたこと、現在の業務に関わるようになったきっかけや動機。失敗談などの過去の出来事。
  • G(現在):過去の出来事を受けて、取材対象者に現れた変化や成果。
  • M(未来):現在の状況を踏まえた、今後の方向性、目標、夢。

このように整理するメリットとして、取材対象者への質問がしやすいことや、この順番で記事にしていくことで、記事としての体裁を整えやすく、書きやすいことがあります。

また、整理した質問事項を取材中に見られるようにしておくことで、質問したい内容を伺い忘れてしまうといったアクシデントを防ぐこともできます。併せて、あらかじめ取材前に質問案をお伝えできると、取材対象者側でも質問内容への回答を準備することできます。そのため、質問案を送付できるとより良いです。

インタビュー記事の形式を把握しよう

インタビュー記事の形式は、大きく分けて次の3つがあります。

ルポルタージュ(ルポ)

取材対象者の発言を交えながら記述する形式です。書き手の考えや想いを伝えやすいです。反面、取材対象者の発言は多く入れられないため、適切にピックアップする必要があります。

モノローグ

取材対象者が一人称で語る形式です。インタビュワーの発言が入らないため、取材対象者の発言がより直接的に伝えることができます。反面、インタビュワーの発言が入らないことから、書き方を工夫する必要があり、他の形式と比べて難易度が上がります。

Q&A

インタビュアーが質問をし、取材対象者が質問に応えていく形式です。インタビューの臨場感を伝えやすいです。反面、質問項目や順番を間違えると取材対象者から話が聞き出せない、記事の内容が深まらないことになります。

どの形式にも一長一短があるため、自分で形式を決められる場合は、掲載媒体にふさわしい形式を選びます。また、依頼元からあらかじめ指定される場合は、どの形式でも書くことができるよう、あらかじめ具体的なイメージを持っておくとよいでしょう。また、あらかじめ依頼元とイメージをすり合わせておくとよいでしょう。すり合わせを行うことで、納品後の原稿イメージのずれを小さくすることができ、手戻りの発生を抑えることができます。

男性

いざ、インタビュー

インタビュー当日は、約束の時間に遅れないよう取材先に訪問します。取材対象者と面会したら、世間話などでアイスブレイクをしていきます。話題はなんでもよいですが、今日の天気や取材先に到着するまでに見聞きしたこと、あるいは取材対象者のブログやSNSを話題にしてもよいでしょう。場が和んできたところで、ICレコーダーの利用を了承いただき、本格的なインタビューを始めていきます。

事前に準備した質問項目をもとに取材対象者へ質問し、深い内容を聞き出せるようにします。以下に挙げた方法を使うことで、より深く話を聞き出すことができます。

例える

先ほどおっしゃっていたことは、例えば~ということでしょうか。

仮定の質問

もし~をしていなかったら、今どうなっていたと思いますか。

反論する

今~とおっしゃっていましたが、私はそうは思えません。なぜそのように考えるのでしょうか。

また、取材が終わりICレコーダーを止めた後は、取材対象者も緊張から解放されるため、思わぬ本音が出てくることもあります。ICレコーダーを止めたあとも取材が終わるまでは、取材対象者の話を慎重に聞くようにしましょう。

インタビューが終わったらまずやること

インタビューが終わったら、原稿を書く前の下準備を行います。まず、ICレコーダーの音声データや撮影した画像データがある場合は、最初に必ずバックアップを取るようにします。不測の事故でデータがなくなったからといって、もう一度取材をすることはできません。そのため、データのバックアップは重要な作業です。

バックアップが終わったら、まずは音声データの録音内容から文字起こしを行います。文字起こしを行うのは時間がかかるため大変ですが、以下に挙げるようなメリットもありますので、原稿を書くことに慣れないうちは文字起こしを行うことをぜひお勧めします。

  • 取材時の会話内容を改めて聞くことで、話の内容への理解が深まるとともに、ニュアンスを思い起こすことができる。
  • 取材したときに取ったメモで書いていないことや、聞き逃したことを思い出すことができる。
  • インタビューした内容を印刷し読むことで、記事に使えそうな内容を整理することができる。
  • 特にQ&A形式で原稿を書く場合、文字起こしにより原稿の下書きが作成できる。

パソコンに触る女性

記事を書くときに気をつけること

文字起こしが終わり、記事を書くためのネタが揃ってきたら、記事の執筆にとりかかります。文字起こしした内容を清書し読みやすくするとともに、話がつながり読みやすくなるように順番を考慮していきます。また、取材対象者が繰り返し発言されていた内容やキーワードがあれば、これらを軸に記事を書き構成していくのがよいでしょう。

記事を書きながら、タイトルや小見出しも考えていきます。その場合も、取材対象者が繰り返し発言されていた内容やキーワードをもとにしながら、端的に内容を示せるものをつけるのがよいでしょう。記事の掲載媒体にもよりますが、10字から15字程度で1行に収められる文字数が目安となります。

納品前に原稿を校正しよう

原稿を一通り書き上げたら、原稿を校正していきます。まず、日本語として正しい文章になっているかを確認しましょう。具体的には、以下の点に注意して原稿を見直します。

  • 一文が極端に長くなっていないか

一文が長くなると内容が通じにくく、読者も読みにくいです。2つ以上の文章に分けたり、余分な修飾語を削除したりすることで、見やすくしていきましょう。

  • 主語・述語のつながりは正しいか

特に長い文章になると、主語と述語だけの簡潔な文章にしたときに、意味が通じない内容になることがあります。文章の長さと合わせてチェックしていきましょう。

  • 句読点の位置は正しいか

特に読点(、)の位置が正しくないと、意味が通じなくなったり読みにくくなったりします。また、極端に読点が多い文章や少ない文章についても同様です。

  • 助詞は正しく使われているか

例えば「大きな森の木の下で」といった、助詞の「の」が3つ以上続く文章は、読者側で複数の解釈をされてしまいます。複数の解釈がされないよう、助詞を正しく使ったり、場合によっては適切な言葉で言い換えたりするとよいでしょう。(例:大きな森の木の下で→大きな森の中にある木の下で)

  • 一般的ではない言葉が使われていないか

業界特有の専門用語やカタカナ用語は、読者層の大半に通じないと考えたほうがよいでしょう。一般的に使われるわかりやすい言葉に置き換えましょう。(例:デフォルト→初期設定、最初の状態)

なお、記事の掲載媒体が業界誌・専門誌の場合はこの限りではありませんが、それでも相応の配慮は必要です。

  • 否定的な表現が多く用いられていないか

二重否定など否定表現が多く用いられる文章も読みにくいものとなります。言い換えできるかどうか検討してみましょう。(例:できないわけではない→できるかもしれない)

 

原稿のチェックを終えたら、取材対象者に原稿のチェックを依頼します。後日、チェックされた原稿が取材対象者から返ってきたら、指摘された箇所を修正したうえで、依頼元から指定された納品期日までに、原稿を納品します。

記事の原稿を納品した後にやること

依頼元に納品したあと、依頼元から加筆・修正の依頼がくる場合があります。依頼があった場合、指摘された内容を確認し、加筆・修正を行いましょう。もし、依頼元から指摘された内容が書き手側の意図と異なるような場合は、修正点を指摘した意図を依頼元に確認したうえで、修正を対応するかどうか決めるとよいでしょう。

修正対応が完了したら、記事が掲載されるのを待つのみです。記事が掲載される雑誌の発売日、またはWeb媒体への掲載日が決まったら、取材対象者にお知らせしておくとよいでしょう。お知らせしておくことで、取材対象者がSNSで取り上げてもらえるかもしれません。

よい取材は、自身の成長やスキルアップにつながる

取材および記事を書く作業は、最初はなかなか大変だと思います。しかし、取材中は取材対象者と1対1で話をすることができることから、見方を変えれば、大変有意義な時間を取材対象者と共有することができるとも言えます。

また、自身が書いた記事が掲載されるのは嬉しいものですし、これが掲載誌の販売部数やWebサイトのページビューの向上につながれば、依頼元にとっての成果となり、リピートで新たな仕事につながる可能性も出てきます。

よい取材は、ご自身の成長やスキルアップにもつながるものとなります。良い取材および記事の執筆ができるために、本記事が一助となれば幸いです。

文/福田冠司(中小企業診断士) 編集/志師塾「先生ビジネス百科」編集部

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