社労士が独立開業するために準備すべきこと

働き方改革により、これから私たちの働き方は大きく変わろうとしています。そんな中、労務管理の専門家として存在感を増している士業が「社会保険労務士」、通称社労士です。
これから社労士として独立・開業しようとしている方に以下についてお伝えしていきます。

開業するための条件

◆社労士業務を行うためには登録が必要

社労士として開業するには、社労士の国家試験に合格したうえで、「社会保険労務士名簿」への登録が必要です。
残念ながら、試験に合格しただけの状態では、まだ「社会保険労務士」と名乗ったり、社労士の業務を行うことはできません。
登録するためには、以下の要件のいずれかを満たす必要があります。

(1)試験合格の前後を問わず、通算して2年以上の実務経験を積んだ者
(2)事務指定講習を受講した者

登録要件を満たし、所定の申請を行えば「社会保険労務士」として登録することができます。

◆登録の種類

社労士の登録形態は「開業登録」「勤務登録」「その他登録」があります。
社労士としてどのような活動をしていきたいかによって登録形態を決めましょう。

社労士事務所(社労士法人を含む)を設けて開業したいと考えている先生は、「開業登録」を選びます。

社労士事務所などに勤務する方、一般企業で人事労務等の業務を担当する方は「勤務登録」、開業または勤務のいずれでもない方は「その他登録」を選びます。

ちなみに、すぐに独立開業の予定がなく、勤務・その他で登録をした場合でも、独立開業する際に開業社労士へ登録変更することができます。

開業の手続き

登録要件を満たしたら、いよいよ登録手続きです。登録の流れをご紹介します。

◆登録に必要な書類

登録するときは以下の書類をそろえましょう。

(1)社会保険労務士登録申請書
(2)社会保険労務士試験合格証書の写し
(3)事務従事期間証明書または事務指定講習修了証の写し
(4)住民票の写し(提出日の前3月以内に交付された、マイナンバーの記載がないもの)
(5)顔写真 (縦3センチ横2.5センチ・背景無地)
(6)戸籍抄本(合格証書または従事期間証明書と氏名が異なる場合のみ)

ただし、各都道府県会によって多少違いがあるので(準備する写真の枚数など)、事前にHPなどでよく確認しましょう。

◆登録に必要な費用

登録の際に必要な費用は以下の通りです。

・登録免許税 30,000円(収入印紙)
・登録手数料 30,000円
・社会保険労務士会への入会金および年会費

登録免許税および手数料は全国一律ですが、入会金および年会費は各都道府県や登録形態によって異なります。
登録申請前に各社労士会のHPなどで確認しましょう。

◆申請書の提出先

申請先の社労士会は登録形態(開業・勤務・その他)によって異なります。

・開業登録・・・設置しようとする事務所が所在する都道府県
・勤務登録・・・勤務する事業所が所在する都道府県
・その他登録・・・居住地の都道府県

また、書類の提出方法も社労士会によって様々です。個別に事務局の窓口へ持参する場合や、事前に書類の郵送と入金を済ませ、指定の登録・入会説明会へ参加する場合などがあります。必ず事前に訪問の日程等を確認していきましょう。

◆事務所を開設する

開業する際は事務所の所在地を登録する必要があります。
開業当初は資金的にも余裕がない時期なので、自宅で開業する先生も多いです。
資金に余裕がある場合は、貸事務所やレンタルオフィスを利用してもいいでしょう。
社労士業務の特性上、こちらから顧客の事業所に訪問するので、顧客が事務所に訪ねてくることはほとんどありません。ですから、大きな事務所を構えなくても開業が可能です。また、近年は電子申請で手続き業務が可能ですので、役所から遠いところで開業してもそれほど業務に差し支えないでしょう。

◆事務所の名称を決める

開業社労士の事務所の名称は自由に設定できます。長く使う名前なので、信頼感と愛着のある名称を選ぶとよいでしょう。一般的には「○○社会保険労務士事務所」など、社労士の事務所であると分かりやすい名称が多いようです。

社労士の業務

社労士として開業した先生は、どのような業務をしていけばよいのでしょうか。ここでは社労士が行う業務についてお話します。

◆社労士の業務
社労士の業務は大きく分けて「1号業務」「2号業務」「3号業務」の3つがあります。社会保険労務士法の第2条第1項第1号から2号に定められていることから、「〇号業務」と呼ばれています。
簡単に説明すると以下の通りです。

1号業務とは、「書類作成・代行」業務です。行政機関に提出する書類(届出書、申請書など)を作成し、提出の代行をします。
2号業務とは「帳簿書類の作成」業務です。帳簿書類とは、労働者名簿や賃金台帳等です。
3号業務は、「労務管理などに関する相談・指導」で、いわゆるコンサルティング業務です。

◆社労士の独占業務
1号2号業務は社労士の独占業務なので、社労士以外の者が「他人の求めに応じ、報酬を得て、業として行ってはならない」と法律で定められています。
一方、3号業務はたとえ労務関係のコンサルティングであっても、社労士の独占業務ではありません。

◆独占業務の将来性

電子申請の普及やAIによる労務管理の増加により、開業社労士は独占業務だけでは差別化できない時代になりつつあります。労務管理が効率化されて、会社にとって社労士に「書類作成・代行」や「帳簿書類の作成」を依頼するメリットが少なくなってきているのです。
会社と顧問契約を結び、社労士の独占業務で安定収入を確保するというビジネスモデルだけでは、将来的に顧客を増やしていくことは徐々に難しくなってくるかもしれません。

◆3号業務で差別化を図る

一方で、働き方改革の推進により「労働に関する悩み・トラブル」は使用者側、労働者側ともに増えています。つまり、社労士が解決すべき課題は増えているのです。これは社労士にとって新たなビジネスチャンスです。
今後、新たに開業する社労士の先生は、自分の得意分野に特化したコンサルティング業務に力を入れ、顧客の悩みを解決する提案をしていくことが求められています。難しい反面、やりがいのある仕事と言えるでしょう。

開業社労士の顧客開拓方法

開業したての社労士の先生がまず行うべきことは、顧客の開拓です。顧客ゼロの状態から開業する社労士の先生も多く、顧問先が見つかるまではほとんど収入がないこともあり得ます。
では、顧客を開拓するにはどのような方法があるのでしょうか。いくつか例を挙げます。

◆知人の紹介
開業したての時期に一番声をかけやすいのは友人や知人です。開業のあいさつをする際、得意先を紹介してもらえないか声をかけておきましょう。

◆他士業からの紹介
他士業との協力関係を築くことで、労務関連の仕事を紹介してもらえる場合があります。税理士や司法書士、行政書士、中小企業診断士、弁護士などの士業の事務所に開業のあいさつに行きましょう。また、異業種交流会に参加して、自分の専門分野をアピールするのもよいでしょう。

◆ホームページでの情報発信
ホームページは事務所の顔となるコンテンツです。営業ツールとして非常に有効ですので、ぜひ開設し、事務所の案内や自己紹介を掲載しましょう。また、労務関連のコラムなどを通じて情報発信をすることで、多くの人に閲覧してもらい、事務所の知名度を高めることもできます。

◆セミナー講師
労務関連のセミナー開催は、会社経営者や総務・人事の担当者との人脈を築くチャンスです。セミナーを開催する際は、セミナーの企画運営会社に講師として登録するとより効率的に集客できるでしょう。

◆執筆活動
専門誌や業界誌などの執筆は、新人社労士の実績作りや信頼感を高めるためにおすすめです。業界紙に掲載された記事は業務実績としてそのまま宣伝材料として使えます。また、記事を読んだ事業所から相談の依頼がある可能性もあります。

この他にも、飛び込み営業や行政協力など様々な集客方法が考えられます。
すぐに契約には結びつかなくても、自分を売り込む経験をすることは、顧客が何を求めているのかを考える貴重な機会となるでしょう。

いかがでしたか。
開業社労士として活躍するためには様々なステップがありますが、ひとつずつクリアして皆さんが活躍されることを願っています。

文:横井ゆきえ(中小企業診断士)/編集:志師塾「ビジネス百科」編集

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