コストの最適化で資金を生み出し、地方から日本を元気にする~株式会社大西商事・アセットサービス 大西宏征さん~

Last Updated on 更新日2021.2.14 by 川口 翔平

二足の草鞋を履くコンサルタント。大西さんは、ふたつの切り口から企業のコストの最適化サービスを提供されているコンサルタントです。

ひとつは、不動産、設備、エネルギーに加え保険や税金などあらゆるコストセーヴィング商品やサービスを提供するビジネスを自社と取締役として参画する別会社で展開しています。もうひとつは、商品サービスをアライアンス先から提供してもらい、自らはコンサルティングを提供しています。

元々は、保険の営業で培ったノウハウを顧客のビジネスに活かしたいと考え展開したモデルですが、その軌跡は困難の連続でした。

コスト削減ではなく支出の最適化

増益原資発掘支援サービスとはどのようなサービスでしょうか。

一言でいうと、顧客企業の日々の支払いから最適化されてない支払いを見つけ出し、最適化提案を行うことで、次の投資のための資金を社内から創出するサービスとのことです。顧客には、「資金調達支援サービスの一種で、先行投資や労力をかけることなく、日常的支出の至る所に埋没している資金源を掘り起こします。

毎月のキャッシュアウトが減少し、まるで売上がアップしたかのように手元の資金が増えます。」とお伝えしています。

“無駄の削減という視点”と“支出の最適化”の違いはどのようなところにありますか?

クライアントにもその点はいつも強調してお伝えしています。なぜなら、無駄な支出というのは、“悪”であるので、どうしても責任の所在を探すことになります。しかも、それらを無駄な支出と捉えると、それに費やした担当者の時間的コストも全て悪となってしまいます。それでは担当者の努力が全く報われない。不幸な捉え方に繋がり、従業員のモチベーションを低下させてしまいます。

やはりプロにしか知り得ない支出方法というものありますので担当者を責めるのは違うと考えています。

単なるコストカットとの違い

その取り組み手法にもこだわりあるそうですね。

次の7つのことをいつも念頭に置いて提案しています。

・節約と違い、痛みやストレスのない取り組みであること
・ビジネス活動に支障をきたさない取り組みであること
・支出のあたり前を疑い、深く掘り下げる取り組みであること
・導入すれば即効性のある取り組みであること
・効果が長期間持続する取り組みであること
・資金流出抑制以外にも効果がある取り組みであること
・安定成長への原資が生まれる取り組みであること

見方を変えると、単に、通常のビジネスとは少し違う手法で資金を生み出しているだけなのです。通常のビジネスでは、大きな投資をして大きなリターンを得ることを目的として活動しており、リターンが得られるまでに非常に長い年月がかかることが普通です。しかし、この“増益原資発掘サービス”では早ければ翌日からリターンを得ることができます。かつ効果を安定的に見込むことができるのです。

そんなに無駄な支出をしている企業があるのでしょうか。

通常、多くの企業では、売上獲得には全精力を傾けて取り組んでいますが、支出に関しては、担当者任せで、専門家不在の中で行われていることが多いです。そのため、部分最適は進みますが、全体最適にまで至っていないケースがほとんどなのです。

社長のためではなく、事業のために

経営者にとても喜ばれるサービスですすね。

このサービスは、新たなビジネスへの投資資金や社内のみんなで使うためのお金を生み出すサービスであり、その資金を社長の使う経費や給料に充てるのは意図するところではありません。ですから、いつもコンサルティングでは、そのあたりを強調してお伝えしています。あくまでも次の投資の資金作りのためのサービスであるべきなのです。

収益が改善されれば、金融機関との交渉もスムーズとなり、さらなる資金調達が可能になります。

どうやって開発したのですか?

当初は、顧客の損害保険利用の在り方を最適化して保険料削減のお手伝いをしていました。しかし、「もっと顧客の役に立てないだろうか?」と視野を広げ情報収集を続けた結果、サービスラインナップはどんどん広がり、50を超えるほどにまでになりました。具体的には、新電力や社会保険、401K、固定資産税、施設・設備の保守費用など、どれも顧客のキャッシュフローを改善できる取り組みばかりです。

さらに顧客に役立つ提案をするためには、収入源を保険会社からの手数料だけに限定せず、顧客からフィーをもらって専門性を高めた方が良いのではないかと考えるに至りました。なぜなら、保険を必要としていない顧客に対するコスト削減提案も可能になるからです。

どれくらいの効果が見込まれるのでしょうか?

さらに顧客に役立つ情報を提供するため、同業者のネットワークを広げるように努力しました。その結果、新サービスを始めた当初は10社のうち6社程度でしかコスト削減のネタを見つけられなかったのですが、今ではほとんどのクライアントで支出の最適化を図れるようになりました。しかも、75%以上が年間100万円以上のキャッシュの創出が、年商5億円以上の規模の企業に限って言うと93%にまでその確率は上がります。

「クライアントに役立つ仕事がしたい」一心で独立したが・・・

独立はいつ頃から考えていましたか?

大学卒業後、大手の保険会社に入社し、営業担当として走り回っていました。でも、実家が不動産業だったこともありその頃から独立志向は持っていました。独立のきっかけは、金融業界全体の再編の波に所属していた会社も飲まれたことです。これからは、クライアントの役に立つ仕事が思うようにできなくなると感じ、思い切って飛び出しました。

しばらくは、実家の不動産業を手伝わせてもらいつつ独立の準備を進めていました。

しかし、最初から順風満帆とはいきませんでした。

その後、準備が整ったので、ファイナンシャルプランナーの資格を活かしFP事務所を開設し、保険代理店としても活動をスタートしました。その頃の保険業界では代理店の再編が進み、代理店の大型化が進んでいました。その先に見えているのは、各大手保険会社の専属代理店への道でした。

元々クライアント志向でないこの仕組みが嫌で独立したのに、このままでは自分の考えていたクライアント志向の仕事ができなくなると、危機感を持ちました。そこで同業の仲間たちに声をかけ、自分たちで合同会社を立ち上げたのです。

波乱万丈の共同出資会社時代

またもや大変苦労をされたそうですね。

その共同出資会社では、18社以上の大手保険会社の商品を取り扱い、クライアントに最適な提案をすることを目指しました。そして、自身はFP として活動するために、自分の会社の運営を始めました。順調に活動をしていたある日、共同出資会社をメインで運営してくれていた経営者がやむを得ない事情により会社から去ることになってしまいました。そのため、私が、経営から研修や保険会社との折衝、業界の情報収集など、実務の全てを取り仕切ることになってしまいました。

その当時は、業務に追われて、家にも帰れず、会社に泊まり込む毎日でした。今思い出しても大変つらい日々でした。頑張った甲斐があり、なんとか持ち直すことができ、のべ28人のスタッフと同業者が加盟するチェーン組織にまで育てることができました。

なぜ、そこまで育てた会社をまた飛び出すことになったのですか?

共同出資会社は、売上至上主義のおかげで急成長はできましたが、組織運営にまで手が回らなくなってしまい、6年ほどで立ち行かなくなってしまいました。心身がすっかり疲れ果ててしまい、ある日、早朝の職場で全身けいれんを発症し、そのまま入院することになりました。

治療しながら、本来の仕事であるFPに軸足を戻そうと決意し、その会社を飛び出しました。しかし、顧客は共同出資会社に残さざるを得ず、また、役員登記の問題により保険業界で仕事をすることも制限されたため、無収入となってしまいました。

どうやって生活していたのですか?

小学生や中学生の子供がいたにも関わらず、無収入となってしまったため、日々の生活費にも事欠く状態となってしまいました。問題が解決するまでの1年足らずは、日雇いや人材派遣で日銭を稼ぐしか選択肢がなく、解体現場や化粧品の実演販売などそれまでに経験したことのない仕事で食いつなぐ日々でした。

待ち合わせの駅で立っているとマイクロバスが迎えにきてくれて、その日の仕事場へ連れて行ってくれるのです。そこで初めてその日の仕事がわかる仕組みでした(笑)

志師塾との出会い

志師塾はどのような経緯で入塾されたのですか?

前の会社との関係を切ることができ、保険料コストの削減ビジネスを再開していく中、保険以外のコスト削減にも範疇が広がり始めました。そしてコンサルタントとして活動することを決め、集客活動を始めました。

しかし、なかなか思うような集客ができず、セミナーノウハウを入手しようとビジネススクールを探していた時に、志師塾が開催する無料セミナーに参加したのがきっかけです。

なぜ志師塾を選ばれたのですか?

他のスクールと比べて提供される情報が非常に多く、授業で使うテキストをそのまま自分のビジネスに流用することも可能だったことなど、驚くほどのコストパフォーマンスに魅力を感じたからです。

入塾によって、ノウハウ以外にも得るものがたくさんありました。自身のやりたいことをビジネスモデルとしてブラッシュアップすることや発信力を身につけることもできました。授業期間中は、非常に大変でした。頭から湯気が出るほど自分や自分のビジネスに対峙することが求められました。しかし、苦労を共にした仲間との結束は、よい財産になっています。

卒業後も関わっておられるのですか?

実は、私が感じた一番のメリットは、卒業生のコミュニティです。それに参加することで、人脈が爆発的に増えました。一般的な異業種交流会と違って、全員が自分のビジネスを前へ進めるという強い意志を持っている同志でしたから、よきビジネスパートナーとなりえる仲間を得ることができました。

今では、塾生が主催する交流イベントの実行委員長をさせていただいています。

今後の方向性

地域貢献に高い関心をお持ちだと伺いました。

現在ミラサポの専門家登録を行っていますが、その活動を通じて昨今の地方の疲弊ぶりに強い問題意識を持つようになりました。そこで自分が身に着けてきたノウハウやネットワークを活かして、地方の活性化のサポートを始めたのです。

大都市圏への集中が進むことで人材も資本も地方から流出し続けており、このまま放置すれば、いずれ地方はなくなってしまう。その街の出身者にとっては故郷を失ってしまうことになります。あまりにも寂しいことだと思うのです。

地方では都市部との情報格差によってコストが最適化されておらず、余分なコストの流出があります。そこにメスを入れるだけで、投資のための資金の一部が捻出されますし、損益計算書が改善されることで金融機関からの融資もスムーズに受けることができますので、必要な資金が捻出することができます。

ノウハウを提供し、支援のネットワークを広げる

ネットワーク作りを意識されているのはなぜですか?

私ひとりでできることは限られていますので、同じ考えを共有できるコミュニティを作り、そのメンバーを介して、地方に私のノウハウを提供できればと考えています。特にその地域に地縁血縁のある人間をパートナーとして活動してもらうことを理想としています。なぜなら、地元の人をパートナーにすることで、地方が自分たちで復活できるようになるからです。そんな支援スタイルを心掛けています。

現在は、岡山県で実証実験のようなことを始めており、徐々に成果も現れ始めています。

最近は、志師塾のネットワークを活かしたサービスもスタートさせました。

ある卒業生の方とのコラボによる新サービスでは、学校教育の手法を使って、オペレーションの改善・効率化を実現するというもので、人件費の削減に取り組んでいます。それ以外にも、借入金の元本の削減やコントロールについての提案も始めています。

色々な活動で忙しい中でも、セミナーを継続的に開催されていますね?

口コミや紹介で相談案件は後を絶たないのですが、せっかく志師塾で学んだセミナー開催ノウハウですので、セミナーを通じていろんな方に今後も情報提供をしていきたいと考えています。

取材を終えて

大西さんは、「地方企業の投資意欲が戻れば、産業が活性化し、人が集まり、地域が復活できる。地方復興の未来図が描けてくる。」と言い切ります。

大都市大阪でも取材を受けた地元の新聞社から主催セミナーへの登壇要請があるほど、コスト削減は、関心が高まっているテーマです。やはり、クライアント側としては、小さな労力で継続的支出の見直しができるため、将来にわたる支出削減が見込まれる点に魅力を強く感じているのだとだと思われます。

クライアントは、それを原資に自社の売上拡大のための投資と回収に専念すればよく、ウインウインを実感しやすい。今後の事業拡大が期待されます。

文:山本哲也(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部

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