独立、開業するために押さえておきたい基本的な考え方

Last Updated on 更新日2019.4.28 by 44@jyuku

コンサルタントや講師、コーチ、士業などで、独立開業を目指される皆様には、様々な悩みがつきものです。これまで培ってきた経験やノウハウ、取得した資格を活かして、やりたいことは明確になったとしても、事業としてどのように行っていけばよいのか、お客様を獲得できるのか、収益につながるのかなど不安は尽きないと思います。
独立開業するための準備や手続き、会社設立の方法などは、行政や経済団体、金融機関などが実施している創業セミナーや創業塾などで学ぶことができますし、開業そのものは難しくはありません。それらに参加することで、多くの不安は払しょくできます。
よって、この記事では、独立開業にあたって基本的なことや、最初に押さえておきたい仕事や事業に対する考え方について紹介いたします。

独立開業とは

自治体などによる創業セミナーや創業塾などが多く開催されるようになりました。これは、日本の中小企業が減少している問題や、開業率が5.2%と欧米にくらべて半分と低迷している問題に対し、国が産業競争力強化法を施行(平成26年)し創業者を応援しているという背景があります。
その法律に基づき、国は地方自治体と民間事業者が連携して創業支援をする取組を、補助金や専門家の派遣などを通じて、応援しています。
創業セミナーや創業塾では、様々な動機で起業・創業し独立開業を目指す方々が参加者されています。実現したい夢や、やってみたい事業がある、人や社会の役に立ちたいという思いがある、今の勤めている会社ではできない事業を実施したい、親族より経営を引き継ぐ、周りに求められて事業を始めるなど、動機は様々です。
起業・創業とは、「業」生活の糧となる仕事を、「起」始めることで、「創」新しい事業を創ることです。
また、仕事とは生活の糧でもあるとともに、夢や、やりたいこと、様々な目的を実現するための手段です。仕事を通して世の中を便利にし、人の役に立つ新しい商品やサービスを打ち出したり、やりたかった事業を推進して自己実現を図るなど、収入だけでない満足感や幸福感を得ることもできます。
新しく仕事を始める過程では、やはり困難や苦労することも多々ありますが、それを乗り越えて、成功に導くことができれば、自らの成長にもつながり、やりがいを見出すことができます。
ただ、夢や目的といった「やりたいこと」があるだけでは独立開業はできません。そのためには、経験や知識や技術、資金、仲間など事業に役立つ全てのものを活かして、自分が「できること」を考える必要があり、また、お客様にどのようにそれらを提供して、どのように「稼ぐこと」ができるかを考える必要があります。
起業、創業し、独立開業することとは、この「やりたいこと」「できること」「稼げること」を全て自分自身で考えて、事業として進めていくことにほかなりません。
それでは、それぞれ項目に分けて考えていきましょう。

「やりたいこと」

初めに「やりたいこと」について考えます。そもそも独立開業する人は、仕事を通じてやりたいことや、叶えたい夢がはっきりしています。多くの人々が仕事で実現したいことや、叶えたい夢を明確に持っているかというと、そうでもありません。
起業、創業は、やりたいことや夢を実現させるための強い思いや情熱があることと、さらに根性と行動力が備わっているからこそ、独立開業後も事業を継続することができます。
また、仕事は、やりたいことや、叶えたい夢を実現するためのプロセスです。日々の仕事を通して、やりたいことや夢に向けて、一歩一歩ステップを踏み、ゴールにたどり着けると確信できることが重要です。
・仕事を通じてやりたいことが明確にある
・日々の仕事は、やりたいことを実現するためのプロセスである
この2点が、仕事人生を生き生きと充実させるための条件です。独立開業はそのための手段です。既に、やりたいことや夢を実現するために日々仕事をしているのであるのならば、無理に独立開業する必要はありません。
起業、創業して独立開業するメリットは、自己実現ができる、事業を拡大することでこれまで以上に収入を増やすことができる、自らの考えで実行ができる、サラリーマンと違い定年がないなどです。
一方デメリットは、収入が安定せず、家族に負担をかける可能性がある、全て自己責任で事業を進めるためリスクを伴う、また社会的な信用が低くなることもあります。
独立開業によって、サラリーマンや会社等に勤めていることと比較して、制約を受けずに仕事ができ、やりたいことや夢を実現させることができます。
反面、独立開業におけるデメリットについて、慎重に見極めて困難を乗り越えていくことが重要となります。
様々な困難を乗り越える原動力となるのが、好きなことをしたい、自己実現をしたい、人を幸せにしたいなど夢の実現を目指すことです。

「できること」

「やりたいこと」が明確にあり、独立開業を選択すると次は具体的に事業を進めることになります。事業を進めるにあたって、自分にどのような強みがあって、強みをどのように活かしていくかを考えていくことが重要となります。この自分の強みを活かしていくこと、すなわち「できること」について、掘り下げて考えましょう。
強みとは、これまでの経験で得られた知識、ノウハウや技術、問題解決の手法、取得した資格、仲間や協力者といった人脈など、蓄積してきたものが源泉となります。他者にはない専門性や独自の技術になることで、より強力な強みとなります。それら活かして「できること」が何かを見極めることが重要です。
この強みを活かすことで、同様の事業を行っている競合に対して優位性を構築し、競争に打ち勝てる優れたものを持っていないと事業は継続できません。
自分の強みは何か、それを活かして「できること」が何かを確認するために、これまでの自分の経歴や得意分野、知識や資格など全てを書き出してみます。その上で、家族や友人など他者に見てもらいましょう。客観的な自分の強みや弱み、活かしていけることや、逆に足りないことが何かを理解することが重要です。これまでの自分を一度棚卸し、何が得意で、何が不得意かを整理してみましょう。
誰がやってもうまくいく事業はありません。必ず得意分野があり、それを活かした事業がうまくいくものです。収益につながる事業は経営者の強みが活かされて、その上で必死になって日々仕事をしているからこそ継続できるのです。

「稼げること」

事業はお客様があって初めて成り立ちます。稼ぐことができなければ事業として継続できません。独立開業して、すぐにお客様に商品が購入されたり、サービスなどが採用されたりすれば良いのですが、うまくいかない事も多々あります。お客様がどのような商品やサービスを欲しているのか、この顧客ニーズを満たさなければ、購入にはつながりません。また、お客様に役立つこと、喜ばれることが提供できなければ、継続して購入いただくことは難しくなります。
さらに同様の事業を展開する競争相手も存在します。競争相手ではなく、自身の商品やサービスを購入していただくためには、差別化していくことが必要となります。事業の差別化を行なって行くためには、マーケティングを行い売れる仕組みを構築していく必要があります。マーケティングの流れは自身の顧客を特定し、商品・サービスの商品価値をどのように高めるか、受け入れられる価格をどのように設定するか、どのように届けていくか、販売の促進や宣伝をどのようにするかを考えることです。

経営とは

これまで確認した「やりたいこと」「できること」「稼げること」それぞれが明確となっても、事業を継続して経営していくためには、これら全ての要素の組み合わせが必要となります。
それでは、経営とはなんでしょうか。
経営とは、一つひとつの事業を継続することです。そして事業とは、お客様に商品を提供して収益を上げることです。事業を継続するためには、お客様が欲っする商品やサービスを次から次へと提供すること。その上で、お客様の役に立つことができることが必要です。これは商品力と言い換えられます。また、役に立つとは、お客様ができないこと、やらないこと、できてもうまくできないことを提供することです。
これらを継続して提供するためには、顧客との密接な関係を構築し、アフターフォローや再購入につながるための仕組みが必要です。これは営業力と言い換えてもよいかもしれません。この商品力と営業力が経営を継続するために欠かせない要素となります。
最後に経営理念について取り上げます。
理念とは「自分はこうありたい」、「社会に対してこのように貢献したい」という自分が社会において存在する意義であり、経営理念とは会社の存在意義を明文化したものです。経営をしていく中で、迷った時の道標になるものです。事業を拡大していく中で、選択に迷った時は自社の方向性を確認して、その方向性にあっているのかどうかを確認する基準となります。仲間を集める際においても、経営理念に賛同されるかどうかで判断できます。
独立開業して事業を推進する中で、「やりたいこと」が経営理念に結び付き、「できること」は商品力、「稼げること」は営業力となっていきます。この「やりたいこと」「できること」「稼げること」全ての要素が組み合わさって、事業が回り、継続していけるのではないでしょうか。

まとめ

「やりたいこと」は何か、「できること」は何か、「稼げること」は何かを考えることは独立開業せずとも、仕事をしていく上で基本的なことです。独立開業とは、サラリーマンや企業等に勤めて仕事そしているよりも、様々な制約がない分、思い切って自分のやりたいことができますが、反面、失敗や責任も自身で背負うことになります。だからこそ、明確にして、自身の仕事とは、ビジネスとは何かを深く考えていく必要があります。
「やりたいこと」は変わらなくても、自身の強みが強化されたり、逆に強みでなくなったり、またお客様が変わることもあります。「できること」「稼げること」は、絶えず見直していきます。
その上で、「やりたいこと」「できること」「稼げること」が組み合わされる領域で、継続できる事業や仕事を見つけていくことが必要です。
独立開業の成功に必要なことは、これだけではありませんが、基本として押さえておきたい考え方です。

文:高橋慎一朗(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部

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