コンサルタントとしての独立開業の留意点は?

近年、「大企業で働いていれば一生安泰だ」とはいえない、不安定で不確実な世の中を反映してか、企業での就業経験やこれまでに培った技能、知見といったスペシャリティを活かし、コンサルタントとして独立開業を志す方は少なくありません。
今回は、各種コンサルタントとして独立開業を検討されている方向けに、開業に際してのポイントを2つお伝えいたします。

戦略面の検討:事業ドメインを決定しよう

第一のポイントは、開業に際しての経営戦略である事業ドメインを決定することです。
ひとくちに「コンサルタント業」とはいっても、「キャリアコンサルタント」から「経営コンサルタント」「金融投資コンサルタント」など、実際に取り扱う業務は非常に幅広いといえます。また、提供するものが無形のサービスである場合が多く、顧客にとっては「どのようなコンサルティング・サービスを提供してもらえるのか」が非常に分かりづらい業種でもあります。

そこで、開業にあたっては、自社が「誰に」「どのようなコンサルティング・サービスを」「どのように提供するのか」、すなわち自社の「ドメイン」を決定する必要があります。
自社のドメインを明快に説明することができれば、顧客にとっても「提供してもらえるサービス」や「コンサルタントに発注するメリット」が分かりやすくなります。
決定した事業ドメインに基づき、潜在顧客へのマーケティング活動を行い、顧客獲得に繋げていく、という流れが、個人・小規模コンサルタントの開業に際しては一般的です。

コンサルタントとして開業する場合、まずドメインを決定する前に「競合となる大手のコンサルティング・サービス提供企業との違いは何か」を明確にする必要があります。
大手コンサルティング企業は、「従業員数が多いため、コンサルティング・サービスや成果物の納品が早く、成果物の品質は高いが、値段も高い」といった特徴を持っています。
このような大手コンサルティング企業に対し、「自社はどの点で差別化できるのか」、「なぜお客様が大手企業ではなく、わざわざあなたに発注する必然性があるのか」の2点が明確になるよう、自社のドメインを検討していきましょう。

「 『誰に』コンサルティング・サービスを提供するのか」は第一の差別化ポイントです。大手コンサルティング企業に発注していない企業や個人には、何らかの理由があるはずです。
「大手に発注するほどの資金力がない」規模の企業をターゲットにする、「大手がターゲット顧客としていない業種」の企業をターゲットにするなど、標的顧客が大手と重複しないように工夫することで、直接競争を避けることができます。

ドメインの要素のうち「『どのような』コンサルティング・サービスを提供するのか」「『どのように』提供するのか」は、開業される先生ご自身の強みを生かし、決定する必要があります。自身が強みと感じている分野をコンサルティング・サービスとして提供する場合、同じ分野にどのような競合企業が存在するのか調査しましょう。
完全に競争を回避することは難しくとも、「誰に」「どのように提供するのか」を大手コンサルティング企業と重ならないように設定すれば、差別化は可能です。
「『どのように』提供するのか」については、一例として「他の士業やコンサルタントと連携し、ワンストップソリューションを提供する」「オンラインチャットで迅速なサービスを提供する」といった工夫が考えられます。

資金面の検討:独立にあたっての必要な資金を検討しよう

さて、ここまではコンサルタントとしての経営戦略についてご紹介してまいりました。
第二のポイントは独立開業準備に際しての、資金面での検討です。検討要素について、どのような点があるのかチェックしていきましょう。

コンサルタント業の開業にあたって必要となる資金負担は、他業種と比較すると少ないと言えます。その理由は3つあります。

1.「運転資金」が少なく済むこと
2.「人件費」が少なく済むこと
3.「設備投資額」が少なく済むこと

では、それぞれの項目について確認していきましょう。

運転資金

まず、製造業や卸売業などの事業を始めるにあたっては、原料や商品の仕入が必要となり、開業時に相当額の「元手」となる資金が必要となります。
一方、多くのコンサルタント業では、商品を取り扱うことは少なく、開業されるご自身の「頭脳」やそこから生み出される各種の「サービス」さえあれば開業が可能です。
このため、コンサルタント業の開業時には、日々のやりくりに必要な「運転資金」は他業種と比較して少ないことが多くあります。

人件費

次に、「人件費」についても同様です。
開業当初から大人数を稼働させる場合を除き、少人数でコンサルティング会社を立ち上げる場合には、開業序盤から多くの人員を雇用する必要は少ないと言えます。
一定の売上を確保できるようになり、請求書発行や経費処理、契約書・秘密保持契約書の発行などの事務作業量が増えてきた場合には、パートタイム人員の雇用によって変動人件費が発生してくる可能性があります。

近年は、コンサルタント社長ご自身が付加価値の高い仕事に集中するため、書類処理などの事務作業をアウトソース(外注)する方も増えてきました。時間、週、月、などのスポット単位で事務作業を依頼することができる外注サービスも、バリエーションが豊かになってきています。
外注サービスの利用のメリットは、パートタイマーや社員雇用に係る手続きや人件費を抑えることができる点です。
事業規模が拡大してきた折には、事務作業のアウトソースを利用することもぜひ検討してみてください。

設備投資費用

そして、多くのコンサルティング業において「設備投資費用」についても少なく抑えられる場合が多数派です。
製造業や飲食業など建物や設備を要する業種と比較すると、機材や設備への投資額は少なくなることは、想像に難くありません。

特に顧客への訪問を主体とするコンサルタントや、顧客企業のオフィスに常駐するタイプのITコンサルタント、セミナー業・出張講師業等を主体とするコンサルタントの場合、自宅を事務所として開業される方も多くいらっしゃいます。

また、最近はシェアオフィスを事務所として利用される方も増加しています。シェアオフィスを利用する場合、顧客から「個人情報」や「企業秘密」を授受するなど、秘密保持を要するコンサルタントは、情報流出防止に留意する必要があります。
特にキャリアコンサルタントの場合は個人情報を取り扱いますので、オープンスペースのみのシェアオフィスを利用することは避け、個室や電話専用ルームなどがあるシェアオフィスを選びましょう。

ITコンサルタントやECコンサルタントとして開業する場合には、事務所費用に加え、相当額のOA機器やPCなどの購入費用、事務所の内装工事費(LAN敷設工事等)等が必要になる場合もあります。
ご自身の開業形態、コンサルティングの専門分野などによって幅がありますので、この点は十分な情報収集が必要といえます。
競合他社や、先に同業種で開業された方の事務所を訪れるとイメージがつきやすいでしょう。

なお、設備投資費とは異なりますが、ITコンサルタント以外のコンサルタント業においても、コンピュータ用ソフトウェアや、参考資料や書籍の購入などを行う場合には、一定の費用が必要になります。
一例として、経営コンサルタントの場合、専門分野の資料集や書籍、市場調査レポートなどを購入するケースがあり、十万円を超える費用になることもあります。
開業前にこれらを購入したいと考えている場合には、忘れずに開業資金に織り込んでおきましょう。

以上、コンサルタントとして開業する際に留意すべき点を「戦略面」と「費用面」からご紹介してまいりました。
開業に際してのイメージはつかめましたでしょうか。これからコンサルタントとして開業を検討されている方の一助となれば幸いです。

文:狩野詔子(中小企業診断士、かのさん中小企業診断士事務所 代表)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部

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