コンサルタントが独立に必要な5つの力

Last Updated on 更新日2018.7.3 by

士業、コンサルタントが目指すゴールは、資格を取ったり開業したりすることではありません。コンサルタントとして信頼され活躍することこそ、成功でありゴールです。独立準備としてよく言われるのは、専門知識を蓄積し、ネットワークを広げ、資金を確保することです。専門知識とは何でしょう。ネットワークを活用して何を得るのでしょうか。資金はどの位あればいいのでしょう、何に使えばいいのでしょう。
成功はどの様にしたら得られるのか、成功への近道はないのか。独立準備の際に抱くそんな疑問に「独立に必要な5つの力」に整理してお話します。

成果を導く専門力

ポジショニングを考える

これまでの仕事や資格取得の勉強を通じて様々な知識を得られたと思いますが、それで充分でしょうか。独立準備をする段階でまず考えるべきなのは、専門家としての知識の深さ、専門力を確保することです。
独立準備の段階で、深くかつ広い範囲の知識を獲得することは難しいですから、専門分野(得意分野)の絞り込みが必要です。ただ絞り込むのではなく、お客様から見たあなたのポジショニングも考えましょう。ポジショニングとは「無競争状態でお客様に選ばれるあなた独自の立ち位置」です。誰に、何を提供するのか、あなた独自の立ち位置を見つけてください。
ある業務改善を専門とするコンサルタントは「もっと成長したい中小企業経営者に、効率だけではなく収益化まで支援するコンサルタント」と自分のポジショニングを考えました。こう考えるだけで彼の自己紹介が変わります。「業務全般の改善コンサルタントです。」から、「業務のムダを取り収益化するコンサルタントです。」と独自の立ち位置を伝えることができるようになりました。

握手

やりたいこととできること

ではどのようにしてあなたの専門分野を絞り込んだらよいのでしょうか。ポジショニングを考えるためには、自分のできること、やりたいこと、社会にニーズのあることの3つが重なる分野を探すのが近道です。これまで経験してきたこと、勉強したことをどんな小さなことも漏らさず書き出して眺めてみてください。ご自身の活動すべき分野が見えてきます。
中には、やりたいことと、できることの重なりがとても小さい方もいらっしゃいます。ポジショニングは最初から完璧でなくてもかまいません。最初はできることを優先して活動をまず始めましょう。その後、活動範囲を少しずつやりたいことに近づけてください。
先ほどのコンサルタントは、営業強化の分野で仕事がしたいと考えていましたが、中小企業の抱える具体的な悩みを理解できずにいました。これまで経験してきたことや勉強したことのリストを改めて見直し、お客様とのやり取りを振り返ってみました。業務の効率化についてはいろいろな経験とノウハウを持っていることに気が付きました。「業務改善のコンサルティングはできる。働き方改革でニーズもある。」そこで独立の手始めは業務ムダ取りコンサルタントとして活動し、次第に営業強化にも活動分野を広げる作戦を考えました。現在はムダ取りも営業も両方できるコンサルタントとして活動範囲が広がってきています。ポジショニングを考え直すことで専門力をうまく活用したビジネス展開となりました。

成果を創る実践力

コンサルタントへの期待

独立して活動を始めれば、どの様な案件であっても成果を出すことが求められます。どうしたら成果を出せるのか頭を抱えてしまうような案件にも必ず遭遇することでしょう。その様な時でもコンサルタントは結果を出すことを期待されています。独立準備の時点から成果にこだわるクセを身に付けてください。スポーツで言うと、勝負を分ける場面で必ず結果を出すスーパースターのような「勝負強さ」を期待されているのです。どの様にしたらそんな実践力を身に付けることができるのでしょうか。

ガッツポーズ

目標実現ストーリーの提案

基本的な手法として、クライアントの目標、ありたい姿につながる一連のステップを提案する方法があります。難しく困難な目標であってもそれにつながるステップ、ストーリーが示されればクライアントの気持ちは落ち着き、納得します。
ステップは目標から逆算して作ります。来年の3月にある成果を実現するためにはその前の年末には何ができていることが必要か。そのためには9月末にはどのようにと逆算するのです。そうすればクライアントは大きな目標ではなく、身近な小さな目標を実現する行動に集中できます。小さな目標ですから達成する確率も大きくなります。たとえ小さな成功でもクライアントはあなたを信頼してくれるようになります。
もちろん成果に導くストーリーは一つではありません。コンサルタントそれぞれの独自の手法、考え方があって構いません。場合によって使い分けるようなバリエーションがあれば更に素晴らしいことです。

冷静な判断が必要

あなたがある案件に対応できるか聞かれたとき、すぐに飛びついてはいけません。自分に成果が出せるかどうかを冷静に判断してください。案件の紹介者にとって成果を出せないコンサルタントは邪魔者でしかありません。最初の失敗を取り返すチャンスは決して多くはないのです。慎重な対応が必要です。とは言っていつも遠慮していては自ら成長の機会を失うことになります。率直に話ができる先輩や仲間から意見をもらってください。仕事を請けるときに相談をした仲間は、あなたの仕事の途中でも成果につながるいいアドバイスをくれることでしょう。

成果を期待させる営業力

見えにくいコンサルタントのサービス

独立準備を考えるコンサルタントにとって案件を得られるかどうかは大きな心配事です。紹介をいただくのか、ウェブサイトからの集客か。販路はどちらでも考えることは同じです。なぜあなたのコンサルティングを選ぶべきなのか、これをはっきりと伝える力が必要です。ものを売る営業とサービスを売る営業は違うとしばしば言われます。サービスは形が無いので内容、品質を事前に確認しにくいのです。更にコンサルタントのサービスは見えにくいものです。なぜでしょうか。
例えば、住宅の清掃サービスであれば出来上がりイメージを写真で示すことができます。清掃サービスであれば、成果とその効果を売り手と買い手の間で共有しやすいのです。一方で、業務のムダ取りコンサルティングは簡単ではありません。ムダ取りと言っても何をするのか、本当に成果が出るのか、どのような効果が表れるのかイメージがわいてきません。「この先生は最後までサポートしてくれるのだろうか」「本当に役に立つ提案をしてくれるだろうか」と不安は尽きないものです。

なぜあなたを選ぶのか

コンサルタント
コンサルタントのサービスが見えにくいのは、サービスの必要性、サービスの効果、サービスを受けた場合と受けなかった場合の差を認識できないからです。なぜこのサービスを買うべきなのか、なぜあなたから買うべきなのか、お客様にはっきりと伝える言葉が必要です。
例えば、経営者に自分の会社の将来の姿を想像させてあげます。「ムダ取りを目標にしてはいけません。ムダ取りだけではせっかく創り出した余裕時間をスタッフ同士の雑談で浪費してしまいます。余裕時間は収益を生む活動に活用しなくてはなりません。これができるかできないかは、将来あなたの会社が大企業に成長するか、中小企業のままで終わるかの分岐点です。ムダ取りから収益化まで社員と一緒に実行すれば会社全体が一体となって新たな事業にチャレンジできますよ。」こう説明すれば経営者はあなたのコンサルティングを受けたくなるでしょう。これが独立準備中に身に付けるべき営業力の基本です。

結果を魅せる表現力

第一印象は見た目で決まる

メラビアンの法則をご存知ですか。人は他人の第一印象を決めるとき話の内容が影響するのはたったの7%しかない。残りは55%が視覚情報(見た目、表情、態度)、聴覚情報が38%(声質、大きさ、速さ)と言います。これをメラビアンの法則と言います。
つまり第一印象をよくするためには態度、服装などによる表現力がとても大切ということです。特にあなたを知らない人がウェブサイトで初めて見るのは写真です。必ずプロに写真を撮ってもらうことをお勧めします。その際に必要なことは証明写真とは違うということです。証明写真はあなたのありのままの写真を撮ることが目的です。ウェブサイトに掲載する写真は違います。初めて写真を見る人に「あ、この人ならまかせられるな」と思ってもらえる写真を撮らなくてはいけません。

女性

オーラはあなたにも出せる

有名なファッションカタログ誌で、そのモデルが着れば洋服の売上が数億円も増えると評判をとった伝説のモデルがいます。その方は「どのように写りたいかはっきりと意識してカメラに向かう」と教えてくれました。オーラが出るそうです。
オーラは芸能人だけのものではありません。会社員として勤めているときは目立つことのない様にと、オーラとは無縁の生活だったかもしれません。しかし、独立後はそれではいけません。結果を必ず出す、信頼感あるコンサルタントとしてのオーラは必須です。訓練すればだれでもオーラは出せます。毎日鏡に向かって練習してください。「私は必ず成果を出すコンサルタントです。安心してお任せ下さい。」と強く意識して鏡に向かうだけでオーラは出せるようになります。
このような練習で身に付けたオーラをまとって専門力、実践力、営業力で手に入れた実力を堂々と発揮してください。

成果を生み出す資金力

公的融資の活用

コンサルタントが独立開業するためにどの程度の資金力が必要でしょうか。(1)資格登録費用、所属協会などの会費、(2)事務所の保証金、前払賃料、仲介手数料などの賃貸借契約費用、(3)オフィス家具とパソコンや複合機などのIT機器、(4)ホームページ制作費、(5)名刺やゴム印など様々です。これに数か月分の運転資金と自分の生活費は必要です。多くの独立コンサルタントが「3年は頑張れ」と言います。独立後3年間はなかなか収入が安定しないので業務に集中するためにも生活費もその位の貯えがあれば安心です。
資金計画のゆとりを確保し業務に集中するためにも金融機関からの融資を受けることも考えます。心強い味方になってくれるのが日本政策金融公庫などの公的金融機関の創業融資です。設備資金と運転資金の借り入れが可能です。このほかの金融機関にも創業支援の融資制度があります。また、各自治体やよろず支援などの相談窓口でも情報がもらえます。相談してみてください。

社長

コーチの存在は心の支え

最後に優れたコーチの話をします。野球では王貞治と荒川博、テニスでは錦織圭とマイケル・チャンなど、優れたコーチによって才能の花を開花させたスポーツ選手は大勢います。
ご紹介しているコンサルタントも営業強化からムダ取りにポジショニングを再設定すする際にある研修講師に相談しました。「講師からポジショニング変更について賛成してもらったおかげで、自信を持って活動ができた。加えて営業トークなど改善ポイントを指摘してもらえたおかげで紹介件数が増えた。」と言っていました。

このようにあなたのことを良く知り、成功するための方法を知っている人から率直な意見を聞くのは大切です。あなたのポジショニング、コンサル手法などあなたの実力を高める様々なアドバイスがもらえます。いろいろな機会を通じて様々な方にアドバイスをいただきそれを実践することで、あなたにとって最良のコーチに出会うことができます。独立準備中のあなたにとって優れたコーチとの交流は大きな財産となるでしょう。
独立するコンサルタントが成功を勝ち取るための5つの力についてお話をしました。是非、実践してみてください。

文:山口良明(中小企業診断士)/編集:志師塾「先生ビジネス百科」編集部

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